新・歌舞伎町ガイド

エリア

FOLLOW US:

「あーとの禱り」が冬の歌舞伎町を盛り上げる! ダンス、音楽、初音ミクの熱い共演をレポート

歌舞伎町

観る 遊ぶ
イベント ダンス 東急歌舞伎町タワー 音楽
DATE : 2024.01.30
年の瀬の寒さを吹き飛ばすように、アツい歓声があがる新宿・歌舞伎町シネシティ広場。その中心にあったのは、音楽とダンス──。2023年12月16日〜24日の9日間にかけて、イベント「あーとの禱り(まつり) Winter Music Fes2023」が開催された(以下、「あーとの禱り」)。最終日であり、もっとも熱量高く盛り上がった24日の模様をレポートする。

※以下本文中、敬称略

都内屈指の往来で開催されたフリーイベント

“新宿の街とアートが共存したライブエンターテイメントイベント”を目指し、今回で2回目を迎える「あーとの禱り」。歌舞伎町シネシティ広場をメインに、音楽・ダンス・食をめぐる9日間。一部有料エリアもあるものの、基本的にはオープンなフリーイベントとして執り行われた。

個性豊かなキッチンカーも登場

広場の中心には、巨大LEDパネルを備えた印象的なステージ兼ヤグラがスタンバイ。期間中はさまざまなアーティストがこの場所に集結し、音楽ライブやDJパーティーなどを繰り広げた。それぞれの表現で、年末の歌舞伎町がますます賑やかに彩られる。都内屈指の繁華街であり、普段から往来の多い歌舞伎町でのフリーイベントとあって、音楽ファンはもちろん、居合わせた通行人も足をとめる姿が印象的だった。冬の寒さも感じないほどに、“今、ここ”の熱量を一緒になって楽しむ姿がそこかしこに。

そして今回の「あーとの禱り」で最も大きな盛り上がりを見せたのは、最終日である24日だろう。この日の柱となったのは、MIKU BREAKとのコラボ、そして冬の歌舞伎町を熱く揺らしたDJライブ。それぞれ詳しくレポートしたい。

13:00、白熱のダンスバトルを目撃! それぞれのボカロ愛が炸裂

まずはMIKU BREAKコラボの模様をご紹介しよう。
この日は、夜からZepp Shinjuku (TOKYO)にて「MIKU BREAK Xmas Party」が開催される運びだ。「MIKU BREAK」とは、バーチャル・シンガー 初音ミクがダンス・ラップなどのストリートカルチャーと融合し、生身の人間や高度な映像演出とタッグを組みながら次元の境界線を壊していくライブプロジェクト。これに先駆け、13:00からシネシティ広場で始まったのが「MIKU BREAK presents VLOCK PARTY CREW Battle」だ。

ボーカロイド楽曲限定のフリースタイルダンスバトルであり、この日行われたのはチームで競い合う団体戦。ダンスを愛し、ボーカロイドを愛する精鋭たちが全国からシネシティ広場に集結! 優勝賞金は100万円、さらに広場でのトーナメントを勝ち抜いた2チームは、なんと夜からの「MIKU BREAK Xmas Party」で決勝戦を行う。Zepp Shinjuku (TOKYO)のステージで、MIKU BREAKとの共演が叶うというわけだ。

審査員はDRAGON(REAL AKIBA BOYZ)、ケイゴイノウエ、KEN THE 390、チャーリーの4名。
「新宿歌舞伎町、楽しむ準備はできていますかー!」司会を務めるMC KENSAKUの掛け声とともにバトルの口火が切られる。

CREW Battleのチーム編成は1組2人〜10人まで。各チーム、人数や男女・年齢の構成もバラバラだ。正統派ストリートダンスもあれば、ポールダンスや新体操、果てはオタ芸まで、それぞれの持ち味を武器に繰り広げられる熱いバトルは、さながら少年漫画の異種格闘技戦のよう。

大技が決まるたびに観客席からどよめきが上がり、審査員のみなさんもつい前のめりに。「この場をモノにする!」というクルーの気合いもひしひしと伝わってくる。

「パラサイト」「ドラマツルギー」「カゲロウデイズ」……DJが数々の名曲をまわすたび、ダンスチームからも観客からも大きな歓声が。すさまじい一体感だ。時には対戦相手同士、一緒になって歌詞を口ずさむシーンも。バトルではライバルでも、ボカロを愛する気持ちは同じ。対戦後に固く握手を交わす様子には、見ているこちらも思わずグッときてしまう。

そして熾烈なトーナメントを勝ち抜いたのは、「ラーメン大好きツインテール」と「MONSTER」の2組! 果たして、優勝の栄光を掴むのは……? 最終結果は、記事後半をぜひご覧いただきたい。

KEN THE 390インタビュー
「先攻・後攻関係なく、結局全員で盛り上がっちゃったり(笑)。愛に溢れる空間でした」

KEN THE 390

決勝戦が始まる前に、審査員のひとり・ラッパーのKEN THE 390に話を聞いた。

─ まずは、みなさんのバトルをご覧になった感想を教えてください。

とてもおもしろかったです。曲の持っているエネルギーというか、「この曲が好きなんです!」っていうパッションが、演者からとてもよく伝わってきました。原曲のフレーズやキメの部分も、自分達のスタイルにうまく活かしながらパフォーマンスしていて、これまでのダンスバトルのイメージとは一味違っていいですよね。曲が単なるバックトラックではなく、主役としてずっと機能している印象がありました。

先攻・後攻関係なく、掛け声や合いの手を一緒になってやっていたりとか、結局全員で盛り上がっちゃったり(笑)。たまに対戦相手同士で一つになっちゃうんですよね。とても愛に溢れる空間でした。

審査員として注目したのは、曲の持つエネルギーをどう表現できているか。「このメンバーが踊ることによって、曲がよりかっこよく見える」そんな瞬間が多いチームを、より高く評価しています。

─ KEN THE 390さんは、これまでにMCバトルの審査員もされていますよね。ダンスバトルとMCバトルを比べて、どう思いますか。

ラップとダンスは基本的には違うものですが、即興性の高いバトルという点では共通するものがあって“ひらめき”が伝わるときがあるんです。予定調和を超えた瞬間というか、楽曲のビートと演者の振りがカチっとハマるタイミングで「今降りてきた!」みたいな瞬間がちゃんと観ている側にも伝わってくるんですよね。今回もそんなシーンがたくさんあって、とてもよかったです。

─ 「あーとの禱り」は新宿・歌舞伎町を舞台にしたフリーイベントですが、その点についてはいかがでしょうか。

ダンスもヒップホップも、もともとストリート発のもの。“手ぶら感”がいいんです。音さえ鳴っていれば、体一つでパフォーマンスができる。だからこそストリートパフォーマンスには、“街で偶発的におこる”という魅力がセットになっている。

今回は「初音ミク」という日本のカルチャーと、インターナショナルな要素もあるダンスが、うまく混ざっていて。それがとても新宿らしいですよね。オーディエンスのみなさんも、すごく国際色豊かでした。日本に旅行に来ている人が、新宿・歌舞伎町でバトルを目撃する。とても素晴らしい光景でした。

こんな記事もおすすめ