子どもも大人も楽しめる。歌舞伎町がK-POPに染まる「KABUKICHO K-POP FES 」
「KABUKICHO K-POP FES 2024」が行われた日は、3連休の中日ということもあり、東急歌舞伎町タワー周辺は賑わいを見せていた。そんな中歌舞伎町シネシティ広場では、大音量でK-POPが鳴り響いた。
各グループが本家顔負けのパフォーマンスを披露する「K-POPダンスショーケース」
今回のメインイベントとなるのは、一般参加のダンサー陣47組による「K-POPダンスショーケース」だ。ダンスショーケースでは、K-POPの音楽に合わせて振り付けや構成をカバーし、アーティストになりきってパフォーマンスをする。参加するダンサーたちも小学生からベテランのダンス講師まで幅広いのが特徴だ。
ダンスナンバーは、少女時代など日本でK-POPブームを巻き起こした第2世代のヒット曲からNewJeansやaespaといった第4世代の最新曲までを網羅。
またどのダンスチームも単に踊るだけではなく、衣装やヘアメイクまで完全に再現していてK-POPへの熱量の高さも表れている。
ペンライトを振って応援する観客や掛け声も加わり、ライブのような盛り上がりだった。
中でも一糸乱れぬエネルギッシュなダンスで観客を沸かせたのが、aespaの『Supernova』を披露したダンスチーム「業務スーパーNOVA(ノバ)」。約5年前にカバーダンスサークルで出会い、結成されたダンスチームだ。
ちなみに各チームのダンスの様子は、東急歌舞伎町タワーの大型モニターに映し出される。まるでアーティスト映像のように大画面で自身のパフォーマンスが流れるというのは、このフェスでしか味わえない貴重な経験だろう。
実際、ステージ後に「業務スーパーNOVA」の4人に話をうかがうと、「外で踊ることは滅多にないので気持ちよかったです。ステージも広いしたくさんの人が掛け声をしてくれてテンションが上がりました」(いそさん/ウィンター役・集合写真右から2番目)、「夜だったからライティングも綺麗で、有名人になった気分になりましたね(笑)」(ちさとさん/カリナ役・集合写真右から3番目)などとコメントしており、気持ちよく踊ることができたようだった。
ダンスショーケースに参加しているチームには、男性陣の姿も。男子11人組の「YUKI Number from CHUDA」はSEVENTEENの『MAESTRO』を完璧に披露し会場を熱くした。
10歳から19歳という幅広い年齢で構成されたチームは、CHUDAというK-POPダンススクールの生徒が中心だという。さらに、SNSなどでメンバーを集めて今年に入り結成されたフレッシュなダンスチームだ。
アップテンポな曲調に複雑な足捌きが特徴の難易度の高い『MAESTRO』のダンスを、堂々と披露した「YUKI Number from CHUDA」。そんな彼らは、当日まで練習に明け暮れていたという。
「11人全員のダンスを揃えるのは大変でしたが、2カ月間、週1回のペースで練習してきました。思った以上に観客がいて、いつも以上の実力が出せたと思います」(MASAさん・集合写真上段右から2番目)とパフォーマンスに自信がついた様子。さらに、センターを担当した10歳の末っ子KIPPEIさん(集合写真下段右から2番目)は、「緊張はしたけど、ステージに立ったら緊張は忘れました」と大人顔負けの回答。
子どもから大人まで、憧れのK-POPアーティストになりきったパフォーマンスは、多くの観客を魅了した。
ダンサーから観光客まで。踊りたい人は誰でも参加できる「ランダムダンス」
K-POP FESでは「ランダムダンス」の時間も。ランダムダンスとは、K-POPのサビの部分をみんなで踊るというダンスイベント。DJが流した音楽に合わせて自由に誰でも参加できる。
ランダムダンスで流されたのは全部で25曲。少女時代、BTS、TWICEなどの往年のヒット曲から今年9月にデビューしたばかりのMEOVVといった新人グループまで、幅広い楽曲がノンストップで会場に鳴り響いた。そんな躍動感のある空間に、 “我こそは!”とダンサーたちが飛び出してくる。
参加者の熱気が漂う中、開始からBABYMONSTERの「SHEESH」で幕を開け、続く「BATTER UP」でも数多くのダンサーが飛び出し、力強いダンス魅せる。
ILLITの『Magnetic』をはじめSNSで話題になった曲が流れると、100人近いダンサーたちが歌舞伎町シネシティ広場に集結。
さらに、ダンスを見守る観客たちも一緒に会場を盛り上げる。時には観客たちから大きな手拍子や、その曲独自の“掛け声”が上がり、本場のコンサート会場のようだった。
ランダムダンスが始まる前には、2023年11月にデビューした韓国の7人組ガールズグループ「BABYMONSTER(ベイビーモンスター)」のサプライズ動画が流され、ステージ前に集まったダンサーたちからは歓喜の声が。
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ダンサーたちの中には、K-POPアーティストやプロのダンサーを目指す人も多い。日本人メンバーも所属する「BABYMONSTER」は、彼らにとって夢を叶えた先輩でもあり、声が上がるのも頷ける。もしかしたら近い将来、KABUKICHO K-POP FESのダンサーから、世界的スターが生まれるかもしれない。
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ダンスあり、バラードありのライブのようなセットリストに。初開催の「K-POPカラオケ大会」
ショーケースとランダムダンスの終了後は、今年初開催となる「K-POPカラオケ大会」がスタート。会場は多くの外国人観光客で賑わう、東急歌舞伎町タワー2階のフードホール「新宿カブキhall~歌舞伎横丁」だ。この日も、お酒を飲んだり大人数で食事を楽しんだりする人たちが集まっていて、カラオケ大会の開始前からオーディエンスの準備は万端だった。
同会場では毎月1回、事前参加者は募らず、飛び込み参加という形でのカラオケ大会を実施してきたが、K-POP縛りのカラオケは今回が初めて。大勢の観客に囲まれ誰がトップバッターを務めるのか……と注目する中、名乗りを上げたのは9歳の少年、あらたくんだった。
カラオケに選んだのはBTSの『Dynamite』。2020年にリリースし、世界的にヒットした全文英語のダンスナンバーだ。
インターナショナルスクールに通っているということもあり、英語の歌詞は完璧。外国人観光客ともコミュニケーションを取り、最後には“あらたコール”も起こるなど会場を盛り上げ、トップバッターという重役をやり遂げた。
会場にいるほとんどの人が知っているであろう大ヒット曲を皮切りに、ダンスナンバーが続き会場もライブ会場のような雰囲気に。
そんな中BIGBANGのメンバー・SOLのバラード曲『EYES, NOSE, LIPS』をチョイスしたのが、DAN-TRAりょうさん。
伸びやかで色っぽい声色で歌い上げたりょうさんは、ダンサーとしてアーティスト活動をしているそうだ。今回バラードを選んだのは、「ダンスミュージックが多いので、あえてしっとりした曲を選んだ」というが、歌をしっかり歌えるからこそのいい選曲だった。
このカラオケ大会の面白いところは、誰でも飛び込みで参加できるというところ。周りの歌声に触発されたり、リズムに合わせて体を揺らしたりしているうちに、歌いたい気分になってくるのだ。
実際、外国人観光客も高揚感に駆られてカラオケ大会に参加し、TWICEの英語曲を見事に歌い上げていた。
そんな参加者たちの熱唱ぶりを見て参加しようと決意したのが、大阪から観光で訪れていたゆかりさん。
彼女がステージで披露したのは、KARAの『ミスター』。日本でも“ヒップダンス”で一世を風靡したヒット曲だ。曲が始まると、プロ顔負けの美声で歌い出す。サビでは“ヒップダンス”も軽く披露し、会場の熱気もさらに高まった。
ステージを降りたゆかりさんに感想を聞いてみると「人前で歌えてとても楽しかったです」とにっこり。隣にいた旦那さんによると「いつも家でもノリノリで踊っているんですよ」とのこと。きっと、家族にとって東京観光の良い思い出になったはずだろう。
K-POPを愛する気持ちに年齢も国境も関係ない!
昼から夜までK-POPづくしだった「KABUKICHO K-POP FES 2024」。この日会場に集まった人たちに共通しているのは、老若男女関係なく、みんなK-POPが大好きだということだ。
子どもも大人も、日本人も外国人も一緒になってK-POPを楽しむ姿に、ジェネレーションやカルチャーのギャップは関係ないということを思わせてくれた。
文:西門香央里
写真:坂本美穂子
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