新型コロナウイルスの影響により、まだまだ積極的に外出しづらい状況がつづいています。そこで「歌舞伎町レシピ」では、家庭でも簡単にできる人気店のレシピをこの街きっての職人&シェフがご紹介。
第1回目は1954年創業の老舗とんかつ店「とんかつ茶づけ 新宿すずや」の「豚汁」レシピをお届けします。
歌舞伎町と歩んできた老舗の隠れ名物
1954(昭和29)年、歌舞伎町で創業した「すずや」。茶房からはじまったこちらは、長らくこの街で愛されてきた老舗だ。ここならではの名品「とんかつ茶づけ」をはじめ、特製パン粉で揚げるサクッとジューシーなとんかつは、この街を訪れる人の活力の源となってきた。
そんな「とんかつ茶づけ すずや」で教えてもらうのは、隠れた名物という冬季限定メニュー「豚汁」のレシピ。勤めて10年になる調理部長の森山さんに、お店ならではの工夫を案内いただきながら作ってもらった。
教えてくださるのはこの方!
「ご家庭で材料もそろえやすく、年間を通して食べてほしい一品」と森山さんは話す。家庭料理の定番である「豚汁」だが、職人が仕立てると一体どんなおいしさになるのだろうか? それでは、自慢のレシピをどうぞ。
隠れ名物「豚汁」の作りかた
3つの工夫でぐっとお店の味に
「レシピはいたってシンプル。ほんのひと工夫が大事なんですよ。ポイントは大きく3つあります」と森山さん。
1)野菜を炒める際はごま油を使う
2)ゴボウは皮を剥かずに、笹がきに近い薄切りに
3)肉は豚バラ一択
材料はこちら
▼4人分(時間約20分)
豚肉・・・150g
ゴボウ・・・1/3本
ニンジン・・・1/4本
大根・・・約4cm分
タマネギ・・・1/2個
ジャガイモ・・・1個(小さめサイズなら2個)
こんにゃく・・・100g
ダシ汁(かつお&昆布)・・・100cc
醤油・・・大さじ1
砂糖・・・ひとつまみ
ごま油・・・小さじ1
味噌・・・100g
飾り用の長ネギ・・・少々
1)具材を炒める
「ごま油を使うことで風味がよくなり、豚バラの脂がおいしい甘さを加えてくれます」(森山さん)。
ある程度火が通ったら、そこにゴボウを加えよう
「ゴボウは皮を剥かず薄切りにすると、ふわっと香りがたちますよ」(森山さん)。
2)別の鍋でダシを火にかける
3)アクを取りながら煮立たせる
「すべての工程で大事なのが、こまめにアクを取ること。こまめに見ながら煮立たせてくださいね」(森山さん)。
4)野菜を加えながら煮込んでいく
「ここから約3分、アクを取りながら強火で煮込み続けましょう」(森山さん)。
「このタイミングで、火加減を中弱火に! ここからさらに10分煮込みますが、5分経ってアクが抜けてきたら弱火にしてください」(森山さん)。
5)味噌を溶く
「味噌を溶いたあとに沸騰させると香りが飛んでしまうので、煮立つぎりぎりの火加減を保つのがコツです」(森山さん)。
完成!
ひと工夫でプロの味に
レシピのポイントは「コクと香り」。ほんのひと工夫でここまで変わるのかと、老舗らしい細かなコツには驚くばかり。
森山さんに聞いた3つのことに気を使ってみたら、いつもの一杯がぐっとおいしくなるはず。
text:金城和子
photo:編集部