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【体験レポ】人力車に乗って、まだ見ぬ新宿・歌舞伎町に出会う。街を楽しむ新しい視点

歌舞伎町

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イベント 東急歌舞伎町タワー
DATE : 2026.05.22
歌舞伎町といえば、ネオン輝く「夜の街」。そんなイメージを持つ人は多いだろう。その「昼間の姿」をじっくりと見ることは、あまりないかもしれない。しかし近年は、東急歌舞伎町タワーの開業を契機に、日中の楽しみ方も定着しつつある。観光客や家族層にもひらかれた空間として、街が新たな一面を覗かせるようになった。そんな新宿の“もうひとつの表情”を知るのにうってつけのイベントが開催された。おだやかな春の空のもと、人力車で街をめぐる特別な体験。その模様をレポートしよう。

人力車の目線から、新宿・歌舞伎町の新たな一面を目撃する

歌舞伎町での人力車体験は、3月25日から5月5日までの期間限定で実施された。東急歌舞伎町タワー前を出発し、歌舞伎町一番街から靖国通りへ。ゴールデン街や花園神社のそばを駆け抜け、区役所通りを経由してタワー前に帰還する30分間のコースだ。

体験したのはゴールデンウィークまっただなかの5月2日。青空にも恵まれ、午前11時の新宿には想像以上に爽やかな風が吹いている。

シネシティ広場では、この時期だけの鯉のぼりの装飾がお出迎え。「東急」にちなんで、109匹の鯉がのびのびと空を泳ぐ。

よく見ると、鯉のぼりの顔は歌舞伎の「隈取」デザイン。5月は東急歌舞伎町タワー6階・THEATER MILANO-Zaにて「歌舞伎町大歌舞伎」が上演される月でもあり、これを記念した祝祭仕様になっているのだ。

なお、タワー2階では歌舞伎にちなんだ装飾も実施中。こちらもぜひ注目してほしい。

鯉のぼりの下では、小学生を対象にした「かけっこアタック」が開催されているのを目撃。レッドカーペットを駆け抜ける子どもたちのキラキラの笑顔、そして自然と沸き起こる「がんばれ!」の掛け声。歌舞伎町の「夜」のイメージを一新するような清々しさに、こちらまで心がほどけてくる。

歌舞伎町一番街で記念写真をパチリ。靖国通りを駆け抜けるスピード感は爽快!

さて、人力車は角をぐるりと曲がって歌舞伎町一番街の通りへ。日中は人通りも少なく、すいすいと進んでいくのが新鮮。人力車の座席は思いのほか目線が高い。何度も歩いたこの道が、まったく違った印象になるのはそのためだろうか。

人力車が走り出すと、ゲートをくぐって靖国通りへ。「歌舞伎町一番街」の文字をこの距離感で見上げるのは、なかなかできない体験だ。

そのまま車道に入り、自動車と肩を並べて駆けていくさまは圧巻。思い描いていたよりもずっと爽快なスピード感で、ついつい歓声が漏れるほど。身体いっぱいに感じる風がじつに気持ちいい!

街の表情が変わっていく「移動体験」

続いてはゴールデン街、花園神社、区役所通り…新宿・歌舞伎町らしい風景をたどりながら、人力車は駆ける。あちこちに残る旧きよき面影もまた、この街の魅力のひとつ。歓楽街と地続きに息づく歴史と文化が、新宿をいっそう奥深い街にしている。

あっという間に30分の体験時間が過ぎ、人力車は再び東急歌舞伎町タワーへ。

平坦な道ではしっかりと加速し、上り坂は慎重に力を込めて、そして下り坂ではスピードが出過ぎないよう、一歩一歩踏みしめて進む。俥夫の熟練のテクニックにも惚れ惚れだ。何気なく歩いていると気づかないが、このエリアにはゆるく起伏が続いていることも体感する。

また、人力車に乗っていると、自然と視線が遠くへ、上へと広がる。空の高さ、ビルのスケール感、街を彩る緑の存在…まさに、「まだ知らない新宿」が次々と目に飛び込んでくる。それは、ずっとそこにあったけれど、「私たちが出会えていなかった新宿」なのかもしれない。これまで、ただただ目の前だけを見て歩いていた自分にも気付かされる。

人力車が教えてくれた“まだ見ぬ新宿”

新宿・歌舞伎町で人力車に乗る。それは単なる「移動」ではなく、街の広がりを身体いっぱいに感じる体験だった。

新宿はしばしば“目的地の集合体”として認識されるが、実際にはいくつもの表情をあわせ持つ街だ。ただ歩くだけでは見過ごしていた景色に、移動そのものが光を当ててくれる。人力車に揺られた30分は、新宿・歌舞伎町という街を、もう一度見直すための時間でもあった。

いつもと違う時間にこの街を訪れて、少し立ち止まって見回してみるのもいい。まだ見ぬ新宿の表情を、あなたもぜひ発見してほしい。

文:徳永留依子

写真:山口こすも

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