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【NEXT UP! #14】COMET:東京を編集する新世代クルーが映し出す、カルチャーの未来図

歌舞伎町

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NEXTUP
DATE : 2026.03.16
劇場、ライブホール、屋外ステージ、路上ライブスペース、ナイトクラブ──さまざまな“表現の場”が、東急歌舞伎町タワーにはある。ダンサー、シンガー、アイドル、DJ……。そこで日々パフォーマンスを行うクリエイターたちの顔ぶれもまた、幅広い。

あらゆる価値観が交差する歌舞伎町に集う次世代の才能たちの、過去・現在・未来に迫るインタビューシリーズ「NEXT UP!」。

第14回に登場するのは、カルチャー雑誌『COMET MAGAZINE』を刊行するクルーCOMETのメンバー。アート、ファッション、音楽を横断しながら“東京の今”を紙に刻み、イベントやショップ運営へと活動を広げる彼らは、なぜチームで動き続けるのか。コロナ禍を経て芽生えた衝動と、歌舞伎町から描く未来像を聞いた。

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<NEXT UP!的 推しポイント>

  1. “シーンを自分たちでつくる”実践力
  2. 分業型クルーが生む総合クリエイション
  3. 東京のストリートを“紙”で残す編集力
写真左からKOUSEI、TAKERU 、YAMEPI©、RIN

COMET(コメット)

アーティストのYAMEPI©を中心に結成された東京発のクリエイティブ・クルー。美術大学での出会いを起点に、編集、デザイン、写真、造形など異なる専門性を持つメンバーが集まり、コロナ禍を経て本格的にチームとしての活動をスタートした。カルチャー雑誌『COMET MAGAZINE』の創刊を軸に、東京ストリートの同時代的な表現者を独自の視点で記録・発信。誌面制作は企画から取材、撮影、デザインまでをセルフプロデュースで行い、紙媒体ならではのアーカイブ性を重視している。さらにDJイベント『COMET SOUNDS』の主催、ショップ「CC STORE」の運営、映像発信プロジェクト「COMET TV」など活動領域は多岐にわたり、アート、ファッション、音楽を横断する複合的なプラットフォームへと拡張。東京ローカルの熱量を世界へ接続する次世代クルーとして注目を集めている。

Instagram

—Beginning— 
東京のストリートで「カマしてる人」を取り上げたい

― まず皆さんに、簡単に自己紹介していただけますか。

YAMEPI©:アーティストで、 COMETのプロデューサーで、全体的な進行を担当しています。

TAKERU:『COMET MAGAZINE』の編集長で、デザインからライティングまで、ほぼ全般をやっています。

RIN:自分も『COMET MAGAZINE』では編集や文章を書いていて、それとマネージャー的な役割も担っています。

KOUSEI:僕はカメラマンとして参加しています。実家が祖父の代から写真館を営んでいて、自然と写真の仕事に就きました。

YAMEPI©:それと、今日ここにはいないですが、JUJIROという造形・彫刻家のメンバーもいます。あと、自分とTAKERUは兄弟で、もともと洋服ブランドをやったりもしていました。

YAMEPI©

― そもそも、皆さん同じ美術系の大学で知り合ったそうですね。

YAMEPI©:コロナ禍で学校にも行けない時期で、最初はSNSを通じて知り合った感じですね。しばらくして大学も再開して、それぞれ学科は違ったんですけど、さらに仲良くなっていった感じです。

― COMETがチームとして結成されたのは、どういったきっかけでしょうか。

YAMEPI©:自分は二年生の時に大学を辞めて、本格的にアーティストになろうと決意したんです。それから、初めて個展を開いたんですが、その時にTAKERUと、JUJIROやKOUSEIたちに手伝ってもらったのがきっかけですね。これはもう今後もこの4人のチームでやっていった方が面白いだろうな、と思いました。

RIN:自分は、その個展をやったギャラリーでスタッフをしていたんです。そこから、4人のチームに加わりました。

RIN

― 大学を辞めるのは大きな決断だったと思いますが、皆さんはどう感じましたか。

TAKERU:まあYAMEPI©はその時点でアーティストとしても売れはじめていたし、辞めてもイケるだろうとは思ってました。

KOUSEI:僕は結構、驚きました。急な話だったし「スゴいなぁ」と思いましたね。

KOUSEI

― チームとしてやっていくにあたって、モデルにしていた存在はいますか。

YAMEPI©:憧れていたのは、YouthQuake(DJや映像作家によるクリエイティブ・チーム)ですね。東京で、友達と好きなことをして、クリエイティブな仕事で「カマしてく」っていう所に、憧れましたね。「クルーでやる」ってことに価値があると俺は思います。

― 『COMET MAGAZINE』はどのようにスタートしましたか。

YAMEPI©:俺らの世代を取り上げるメディアや雑誌が全然なかったし、そもそも雑誌というもの自体が少なくなっていますよね。「俺らが雑誌やった方が面白いんじゃないか」と感じていました。

COMET MAGAZINE 創刊号

― 今の雑誌の状況には不満があると。

YAMEPI©:「なんでこんな人を載せてんだろ?」とか(笑)。もっとちゃんと、東京のストリートで「カマしてる人」を取り上げて欲しいんですよ。ただ、雑誌っていうもの自体は好きだし、特に昔の雑誌は自由度も高くて、今読んでも面白い。神保町で、NIGOさんが載っているような、裏原系の雑誌を買ったり。そこから、自分たちのやっていることも「紙」に残したいなと思いました。

― ネットの時代に「紙」で残すことは、より特別な意味がありますよね。

YAMEPI©:自分たちより下の世代の子たちが、上の世代を参照しようとした時、(SNSやウェブ上のサービス)だと情報の流れが早すぎて、参考にしづらい。それはもったいないし、紙なら後からも見ることができる。それを俺らが残せるのはやり甲斐がありますね。雑誌を作る上で必要な人材も揃っているので「じゃあ自分たちでやるか」という感じではじめました。

TAKERU:DTPソフトや誌面デザインといった雑誌の作り方については先輩に教えてもらいつつ、ほとんど独学ですね。勢いで「できるだろう」と。実際にやってみたら、なかなか大変でしたが。

TAKERU

YAMEPI©:号数を重ねるごとに、広まっている手応えはあります。自分より若い世代や、海外の人も読んでくれていますね。「『COMET MAGAZINE』に影響を受けて、自分も雑誌を作りはじめました」と言われたこともあります。

—Essence— 
いきなりの大箱でイベント開催「イケるでしょ」

― ZEROTOKYOで開催しているイベントシリーズ『COMET SOUNDS』を企画したきっかけも教えてください。

YAMEPI©:ZEROTOKYOさん側から「やりませんか?」と声をかけていただいて。それまでポップアップでDJを呼んだことはありましたが、本格的な音楽イベントは『COMET SOUNDS』が初めてですね。ZEROTOKYOは大きい会場なので驚きましたが「イケるでしょ」とも思ってました。

― 出演するラッパーやDJは、どのように決めていますか。

YAMEPI©:「東京でカマしてる人」そして「世界でもカマせるであろう人」ですね。これは雑誌で取り上げる人でも、同じですね。

― 今回のイベントはkZmさんも出演しますよね。

YAMEPI©:10代の頃から、それこそコロナ禍でもめっちゃ聴いていた人なんで、嬉しいですね。

TAKERU:ライブで『Dream Chaser』とか、やってくれたらアツい!

― 出演者をキャラクター化したオリジナルのカードが、会場でゲットできるのも面白いですね。

YAMEPI©:これも俺が描いて、自分たちでデザインしています。

―Future― 
さらなるマルチチャンネル化、ゆくゆくは海外進出も

― 歌舞伎町はどういう街だと思いますか。

YAMEPI©:そもそも東京は「編集力」というか、いろんなカルチャーがこの島国に入ってきて、それを編集する場所だと思うんです。その中でも歌舞伎町は、本当にいろんな要素が入り混じっている、カオスで面白い街ですね。この空気感はずっと続くんじゃないかと思います。

― COMETとしての展望を教えてください。

YAMEPI©:COMETは現在、CC STOREという店舗もやっていますし、それからCOMET TVというYouTubeチャンネルもやっています。今後はさらにいろんなことをやっていきたいですね。ゆくゆくは「ComplexCon」(世界的なストリート系ファッションイベント)みたいなイベントをCOMETでやれたら最高です。

TAKERU:それと『COMET MAGAZINE』を、翻訳して海外に出したいですね。

YAMEPI©:COMETをより大きくして、自分たちが30代になる頃には、若手をフックアップできるような存在になりたいですね。海外のマネじゃない「東京らしさ」を発信していって、もっともっと東京を盛り上げたいです。

文:小鉄昇一郎

写真:Tomohiro Takeshita

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