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【歌舞伎町 BON ODORI来場者スナップ】大都会のど真ん中で、老いも若きも外国人も元気に踊る!

歌舞伎町

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イベント ダンス 東急歌舞伎町タワー 音楽
DATE : 2024.08.30
2024年8月17日、歌舞伎町シネシティ広場で「歌舞伎町BON ODORI」が開催。3回目を迎えた今年は、昨年を越える大きな盛り上がりを見せた。そんなイベントの様子をレポートするとともに、年齢や国境を超えて会場を盛り上げる多彩な人々をスナップ!

シネシティ広場に踊手が集結。多様性に満ちた盆踊り

台風一過の歌舞伎町。まとわりつくような暑さと湿気がありながらも、夕暮れの風は心なしか、ほんのりと涼しい。少しずつだが、夏が終わりに向かっているのを感じる。

そんな季節を惜しむように、シネシティ広場に多くの人が詰めかけたこの日。特設の櫓の周囲をぐるりと取り囲み、今か今かと祭りのはじまりを待っている。海外からの観光客の姿も目立ち、このイベントへの注目度の高さが伺える。

「歌舞伎町BON ODORI」は古典踊りを中心にした「第一部」、J-POPや洋楽で“盆ダンス”を楽しむ「第二部」で構成されている。ナビゲーターを務めるのは、昨年に引き続き日本民踊鳳蝶流・家元師範の鳳蝶美成(あげはびじょう)さん。華やかな太鼓で盛り上げるのは、こちらも2年連続の出演となる和太鼓アイドルユニット・東京おとめ太鼓のみなさんだ。

まず第一部は「東京音頭」からスタート。鳳蝶さんが丁寧に振りを説明してくれるので、初心者もすんなりと踊りに参加できる。はじめこそ少し探り探りの雰囲気だったが、2曲目の「炭坑節」ではすでに、櫓を囲む輪がかなり大きくなっていた。海外観光客のみなさんも、気軽に輪に加わっているようだ。

その後も全国津々浦々の盆踊りが続くなか、突如流れ出したのはTRFの「EZ DO DANCE」! 音楽にあわせてあちこちでジャンプが巻き起こる。第二部への布石のような展開に、期待は高まるばかりだ。

続いて、第二部の火蓋を切ったのは、TM NETWORK「Get Wild」。新宿を舞台にしたアニメ『シティハンター』の主題歌とあって、イントロが流れた瞬間に大きな歓声が上がる。

さらに間髪入れず「Bling-Bang-Bang-Born」、「残酷な天使のテーゼ」、「群青」と、人気J-POPやアニメソングがこれでもかとたたみかけられる。一曲、また一曲と音楽が投下されるたびに会場のテンションは加速し、老若男女が文字通り汗だくで踊る。

心なしかスピーカーからの音量も上がっている気がして、会場はさながらDJパーティーのような熱気。だが櫓を囲んで踊り、まわる姿は確かに「盆踊り」そのもの!「スリラー」、「ダンシング・クイーン」といった洋楽ダンスミュージックと和太鼓のビートも、不思議とよく合う。

第二部が始まって約1時間ものあいだ休みなく、とどまることを知らない人々のエネルギー。そして「最後の曲になります!」と流れたのは椎名林檎「歌舞伎町の女王」。今日一番の歓声が巻き起こり、「盆踊りって、こんなにロックだったっけ!?」と興奮気味に話す観客の姿が印象的だった。

アンコール的にふたたび「EZ DO DANCE」で締めると、みなすっきり晴々とした表情。過ぎゆく夏をめいっぱい祝い、楽しむ──そんなひとときとなったことだろう。

イベント終了後も興奮冷めやらぬシネシティ広場だったが、ここでさらなるサプライズが。櫓に登場したのは、ロック・アート・コメディを融合したパフォーマンスで世界的に活躍するブルーマン!

東急歌舞伎町タワー・THEATER MILANO-Zaでジャパンツアー中の彼ら。急遽、特別にパフォーマンスを披露してくれたそうだ。「今、ここ」でだけ目撃できる突然のできごとに、集まった人たちが口々に驚きの声をあげる。歌舞伎町のひと夏の思い出が、また刻まれた瞬間だった。

歌舞伎町BON ODORIを盛り上げる多種多様な人々をキャッチ!

ここからは、盆踊りを楽しむ個性豊かなみなさんの姿をご紹介しよう。

シネシティにトムジェリ&ヤムチャが降臨!? アンチックラバーズ&バードフミヤさん

第一部と第二部の幕間に登場したのが、アンチックラバーズとバードフミヤさん。所属する東村プロダクションが運営するライブハウス「Sparkle」が歌舞伎町にある縁で、町をモチーフにした「アンチック音頭」を披露。この夏、発表されたばかりの新曲だ。

突如現れたトムとジェリー、そしてヤムチャの姿に観客の目は釘付けに。歌舞伎町の情景を歌ったキャッチーな歌詞とメロディにのせて、シネシティ広場をキュートに盛り上げた。作詞を担当した漫画家・東村アキコさんの姿も。

夫婦芸人のアンチックラバーズ。左から石原昌美さん、石原石子さん
バードフミヤさん

「楽曲をリリースしてすぐに、町のみなさんに(出演の)声をかけていただいて、これは運命的だなあと。歌舞伎町BON ODORIともに、この曲を全国に発信していけたらうれしいです」(石原昌美さん)、「海外の人もたくさん来ているので、世界中にも広げていきたい!」(石原石子さん)、「Sparkleをもっとアピールできるように、がんばって“賑やかし”を務めます!」(バードフミヤさん)と力強くコメントしてくれた。

粋な浴衣姿に注目! みやこさん&なつえさん

みやこさん
なつえさん

華麗な手捌きと楽しそうな笑顔がひときわ目を引いた、みやこさん&なつえさん。あでやかな浴衣姿がとても素敵だ。「踊り仲間同士で来ました。ナビゲーターの美成先生が“推し”で、歌舞伎町まで追いかけてきたんです」(みやこさん)とのこと。

初めての盆踊りに笑顔。イタリアから旅行中のヴァレンティナさん一行

イタリアから観光に来たと言うヴァレンティナさん一行。「大阪など、各都市をめぐる10日間の旅行中です。新宿には昨日来たばかり」。盆踊りの感想を聞くと「イタリアにも夏に集まって踊る伝統的なダンスがあるのだけれど、どちらかというと社交ダンスのような、グループで踊るスタイル。日本の盆踊りは、振りもわかりやすくてひとりでも気軽に参加できるのがいいですね」と笑顔。

「盆踊りはCoolだね」新宿で働くフランス人・ラゴットさん

ビールを片手に踊りを見ていたのは、フランス出身のラゴットさん。アパレル系の仕事をしており、新宿で働いて1年とのこと。「今日はこれ目当てで遊びにきました。盆踊りの存在は知っていたけれど、見るのは初めて。ライブ感がすごくて、とてもCoolだね」

夏の新宿を楽しむさらさん&はやとさん

歌舞伎町にはよく来るというカップルをキャッチ! 20代の社会人、さらさん&はやとさん。「毎日暑くて出かけるのも億劫だけれど、雰囲気だけでも夏を味わいたくて。盛り上がっていて楽しい」とさらさん。歌舞伎町といえば?と聞くと、「ハッピーカオス」となんとも的確に答えてくれた。

歌舞伎町を本拠地にするみなさんの愛あるコメントも

左からしゅんさん、奈苗さん、なおこさん

ドリンクカウンターでイベントを盛り上げる、スタッフのみなさんの姿もキャッチ。ふだんは歌舞伎町のネオ居酒屋「人間レストラン」で働くしゅんさん、奈苗さん、バー「MISO SOUP」のなおこさん。歌舞伎町の魅力を聞いたところ「眠らないところ」(しゅんさん)、「汚ねぇところ!」(奈苗さん)、「意外とトイレがあります」(なおこさん)と、三者三様の答えが。

歌舞伎町商店街振興組合常任理事の手塚マキさん

歌舞伎町商店街振興組合常任理事の手塚マキさんの姿も。普段はスーツ姿の手塚さん、いなせな浴衣姿が新鮮だ。「活気があっていい感じです。歌舞伎町の魅力は、いろんな人がいるところだね」とのこと。

パワフルで華やかな和太鼓で踊りを盛り上げる! 東京おとめ太鼓のみなさん

最後に、第一部・第二部とノンストップで盛り上げてくれた東京おとめ太鼓の3人にもクローズアップ! リーダーの桜りりぃさん、星乃まおりさん、柚木えりなさんにお話を聞いた。

左から桜りりぃさん、星乃まおりさん、柚木えりなさん

「今日のためにすごくすごく練習しましたが、本番はただただ楽しくて、不安はなかったです!」(柚木えりなさん)、「昨年よりも盛り上がりがさらに倍、倍になっていて本当に驚きました。集まったみなさんに元気をもらえました」(星乃まおりさん)と口々に笑顔。

以前、歌舞伎町のロボットレストランで8年にわたって和太鼓指導をしていたという桜りりぃさんは「私は歌舞伎町が本当に大好きで。演者として、またこの町に戻って来られて本当にうれしいです。歌舞伎町の魅力は、進化する町であること。歌舞伎町BON ODORIも、“進化する盆踊り”ですよね! そこが見どころだと思います」と話してくれた。

国境も年齢の垣根も超えて新宿が大きな盆踊り会場に

古典踊りあり、J-POPにアニソンあり、洋楽ヒットソングあり……。さらにはこの夜だけのサプライズもありと、歌舞伎町BON ODORIは今年も大団円で幕を閉じた。年齢層も出身地もさまざまな人々がまざりあい、一人ひとりが「主役」となって作り上げた一夜。この興奮はなかなか冷めそうにないだろう。

文:徳永留依子
撮影:坂本美穂子

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