※JAM17 DINING & BARは「JAM17 DINING」「JAM17 BAR」「JAM17 SPACE EAST/TERRACE/SPACE WEST」「JAM17 GELATERIA」の4つで構成されている。今回は、イタリアンスタイルダイニングである「JAM17 DINING」を中心にご紹介。
佐藤栄介シェフ
<プロフィール>
服部栄養学校卒業後、ホテル業界で研鑽を積む中「開業スタッフとして新しいことに挑戦したい」という想いから2002年に「セルリアンタワー東急ホテル」へ入社。福田順彦総料理長に師事し、宴会調理、コーヒーハウス、メインダイニングと多分野で研鑽を積む。2021年には「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel」が運営する「JAM17 DINING & BAR」の開業スタッフとしてシェフに抜擢。2024年4月、同ホテル及び、「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」の総料理長に就任。
“やさしい強火”が特徴。日本有数の最新石窯を使ったメニューが食べられる!
まず、「JAM17 DINING」の自慢は、オープンキッチンの中央に構える「石窯」を使った料理の数々だ。佐藤シェフもダイニングのメニューを開発するうえで、起点となったのは石窯だと話す。
「私自身20年以上料理に携わらせていただいていますが、石窯の火力や熱伝導性などは未知の体験で衝撃を受けました。その特徴をたとえるなら“やさしい強火”。石窯を使って初めて料理をした日は非常にワクワクしたことを、今でも鮮明に覚えています」(佐藤シェフ、以下同)
佐藤シェフがいう“やさしい強火”とは、パワフルな高温機能を持ちながら、食材のうまみや新鮮さを保つ繊細さを兼ね備えた火加減のこと。埼玉の窯工房に特注したという石窯で、400℃以上の超高温で一気に肉や野菜を焼き上げる。
「超高温だからこそ食材の魅力を内部から引き出し、それらのうまみエキスを閉じ込められるのが、この石窯の特長。お肉はもちろん、野菜も非常に甘くみずみずしい状態で提供することができます。食材の味を生かすという点では、ある種、理想的な調理器具といえるでしょう」
さらに、石窯での加熱の仕方にもこだわりがある。たとえば塊肉の場合、ドリップ(うまみが詰まった肉汁の滲出)を防ぎながら、表面を全方位から1~2分焼き上げる。続いて、窯の上部の120℃前後の温度を保ったスペースで肉を休ませながらじっくり加熱。最後に、再度、石窯へ入れて急激に熱を加えることで、カリッと香ばしくもしっとりジューシーな、圧倒的においしい肉料理を提供できるのだ。
関東の産直野菜を使ったグリルで日本の四季を味わう
さらに、石窯によるグリル野菜も同店の醍醐味である。各地から数多の路線が乗り入れる交通の要所、新宿という土地柄を表現するべく、主に関東の生産者から積極的に旬の青果物を仕入れている。
「特別な石窯のために、食材も厳選しています。グリル野菜の多くは、熟成度合いや水分量が決め手ですね。たとえば、神奈川県・三浦野菜の青木農園さん。根菜類であれば、土の中で最大限に完熟させてから送ってくださるので、みずみずしさとうまみが豊潤なんです。そのポテンシャルを高温の石窯で引き出すことにより、ほかにないおいしさを提供できるのです」
そんな青果の魅力は石窯メニュー以外でも生かされている。人気メニューの「17種類の野菜 農園サラダボウル」は、生野菜のほかグリル野菜や煮込みなど、調理法の異なる野菜が盛り込まれ、味も食べごたえも満足度が高い。
石窯料理と産直野菜を、コース料理で心ゆくまで堪能
ここまでご紹介した超高温の石窯による肉料理と四季折々の野菜がコース料理で同時に楽しめるのも「JAM17 DINING」の持ち味だ。今回は秋のコースの一例から、イチオシのメニューを紹介しよう。
「こちら『バジルと共に蒸した数種の茸と鮑 カルトッチョスタイル』です。青木農園産フレッシュバジルのペーストを加えた、クリームソースの包み蒸しですね。お客さまの目の前で包みを開き、豊かな香りを楽しんでいただきます」
メインには、石窯を駆使した銘柄牛のグリルが登場。
「当店の石窯と相性のよい銘柄を数種食べ比べたところ、霧降高原牛が最適でした。脂ののりが適度で肉の甘みも濃く、そのおいしさを存分に実感いただけます。召し上がる際には、牛スジのフォンに赤ワインを加えたソースのほか、ヒマラヤ産ローズソルト、黒ニンニクを加えたタプナード(ペースト)もお好みで付けて味わっていただけたらと思います」
ほかにも、前菜から魚介、パスタ、ドルチェまで、その時期に応じた「JAM17 DINING」の魅力が詰まった内容に仕上がっているので、ぜひ一度味わってみてほしい。
ティータイムから特別な日まで幅広い用途で利用できる
季節感あふれるイタリアンを味わえることも「JAM17 DINING」の魅力であるが、年間を通して好評なのが誕生日会などに重宝するアニバーサリープランだ。ホールケーキのほか、シルバーの枝にメッセージプレートや小菓子などをのせた「アニバーサリーツリー」もあり、コースとのセットでも、アラカルトとの組み合わせでも自由に選べる。
「お客さまのニーズに沿ってフレキシブルに対応できることは、ひとつの強みといえるかもしれません。当店は年代を問わずご利用いただけるよう、あらゆるタイプの席を備えており、もちろん小さなお子様連れでのご来店も大歓迎。また、アニバーサリープランは当日のご来店でもオーダーできます。特別なサプライズ演出などもありましたら、ぜひご相談いただきたいですね」
ホテルとまちを繋ぐ。この場所の歴史と未来を感じられる空間
ここからは、「JAM17 DINING」だけではなく「JAM17 DINING & BAR」の空間全体についてもご紹介したい。レストランが入る17階は、同館18階から上にあるホテルと東急歌舞伎町タワー内のエンターテイメント施設を繋ぐフロアでもある。
ホテルのコンセプトは、「歌舞伎町のまちを遊びつくすための拠点となるライフスタイルホテル」。エンターテインメント施設で得た感動や喜びなどの余韻に浸ることができる空間で、この場所の歴史を感じられるミッドセンチュリーモダンのデザインが特徴。レスランからもその趣を感じることができる。たとえば、新宿の過去がデザインに落とし込まれ、随所に見られるボウリングのモチーフはそのひとつだ。
かつてこの場所には、映画やボウリングなどを楽しめる複合施設「新宿TOKYU MILANO」があった。「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel」は施設の前身「新宿東急文化会館」が竣工した1956年ごろの意匠・ミッドセンチュリーをオマージュ。その様式美が「JAM17 DINING & BAR」店舗のサインにも表現されている。
開放的な空間でカジュアルにイタリアンを楽しむ
「JAM17 DINING & BAR」の用途は多彩だ。冒頭でも記載した通り、ルーフトップテラスを有するオールデイダイニングのほか、バーとジェラテリアがあり、さらには大規模なパーティーやイベントなどに使えるファンクションスペースも備えている。
オープンキッチンが開放的なダイニングでは、自慢の石窯を使ったイタリアンスタイルの料理を五感で味わえるのが醍醐味。
バーは同店ならではのグルーヴや新宿らしさ、季節感などを表現したカクテルを筆頭に、個性派から定番まで世界中の美酒がそろう。
そしてジェラテリアには、フレッシュでエシカルな食材のおいしさを凝縮した、彩り鮮やかで上質なジェラートが種類豊富にラインナップ。17階からは副都心の摩天楼をはじめとする東京の絶景が広がり、壮大な眺望を気軽に楽しめるのも大きな魅力となっている。
料理はハイクオリティでいて、シーンはフォーマルな会食からカフェ利用まで多様的。ふらっと訪れてバーで一杯嗜んだり、ジェラートだけを味わったりという使い方もできる。ホテルのレストランでありながら、カジュアルに楽しめるスポットが「JAM17 DINING & BAR」なのだ。
都心ならではの眺望や開放感を気軽に楽しめるのも、このフロアならでは。「東急歌舞伎町タワー」に訪れたら、躊躇せずに上を目指して構わない。ぜひ17階へ行ってみよう。
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文:中山秀明
写真:小島マサヒロ