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路上で人生の岐路が交差する、エモーショナルな二日間 Kabukicho Music Live vol.12レポート

歌舞伎町

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Kabukicho Music Live イベント 音楽
DATE : 2023.12.27
新宿駅南口などを中心に、各地で盛り上がりを見せている路上ライブ。数々のミュージシャンが路上からブレイクのきっかけを掴んでいる一方、公共の場であるがゆえの問題を抱えているのも事実。昨年からはじまった「Kabukicho Music Live」は、歌舞伎町の真ん中にあるシネシティ広場で行われる「公認」の路上ライブイベントで、演奏する側も観る側も思う存分堪能できる稀有なイベントだ。2023年12月5、6日に行われた、今年最後の「Kabukicho Music Live vol.12」の様子をレポートする。

過酷な寒さにも負けず、歌声は響く

nene

一人目は都内を中心に活動しているシンガーソングライターnene。この日は非常に冷え込んでおり、演奏する方にとっても観る方にとっても、路上ライブにはなかなか厳しい環境。しかし彼女はエフェクターがつながれたアコースティックギターを抱え、椅子に座って粛々と歌う準備を整えていた。緊張気味な挨拶のあと、自身の楽曲「シリー」を歌いはじめる。ギターの音色は幽玄で、歌声は凜と伸びやか、MCと打って変わって大きく響く。2曲目は映画『キリエのうた』の主題歌、アイナ・ジ・エンドの「キリエ・憐れみの讃歌」をカバー。ちなみに、この映画は路上ライブがモチーフのひとつになっており、多くの路上ライブアーティストの動画をYouTubeを通して拡散し、また本イベントにも協力しているYouTuber「もっちゃん。」も本人役で出演している。

「Hay fever」、「センシティブガール」、「ララバイ」と続けて披露。特に「ララバイ」はブルージーで気怠げなメロディーと歌唱が、歌舞伎町の空気によく馴染んでいた。あらためて自己紹介を挟み、今年リリースされたEP『眠れない僕ら』から「いらない」を、そして鎌田純子「週末のこと」のカバーを歌った頃には、まばらだったステージ前にも人が集まり、neneの音楽に耳を傾けていた。最後はEPのリード曲であり、この街にぴったりな「Sleepless town」をしぼり出すように歌ってステージを降りた。

「実は今日が人生初の路上ライブで。野外で歌うことが気持ちいいし、いろんな人が立ち止まってくれたりして、ノリノリで歌っていたんですけど、いかんせん寒かったです(笑)。でも、季節にかかわらずこういうイベントがあることは、私みたいな駆け出しのアーティストにとってとてもありがたいですね。ライブハウスに行くほどでもないけど音楽が好きという人も多いと思うんです。そういう人に、実は身近でやっているんだよって気づいてもらえる機会でもあるなと。実力勝負で振り向いてもらう感じで。

高校生のころは音楽仲間に合うためによく歌舞伎町に来ていました。そういう思い出が「ララバイ」や「Sleepless town」みたいな曲のベースになっている気がします。今はとにかくたくさんの人に自分の音楽を聴いてほしくて、コンスタントに音源をリリースしたり、映像制作にも着手したりして、いろんな人の目に留まるようにしていきたいです」

nene

シンガーソングライター。東京のライブハウスを中心にライブ活動中。その他、楽曲提供、作詞等。
各種ストリーミングサービスにて、1stEP『眠れない僕ら』配信中

ご依頼等はメールにて承ります
nene.sgno.02@gmail.com

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アオイエマ。

2001年生まれのシンガーソングライター、アオイエマ。はオーディエンスに「よければ少しでも聴いていってください」と丁寧に挨拶し、手島葵「明日への手紙」のカバーからライブをスタート。伸びやかな声がシネシティ広場に広がる。東急歌舞伎町タワーの巨大な屋外ビジョンに映し出されているコートを着込んだ自分の姿を見て、「むっくむくになってる! ムクドリみたい!」と笑う。生配信にも「エマさんモコモコ!」とコメントが。続いてUru「それを愛と呼ぶなら」、Aimer「茜さす」をカバー。カイロで寒さをしのぎながら、懸命にパフォーマンスする。ヒグチアイ「悪魔の子」、木村弓「いのちの名前」と、異なった曲調も歌いこなし、「選曲がいい」というコメントも寄せられた。

「寒いなか聴いてくれて本当にありがとうございます」とあらためてお礼を述べて歌われたのは、この季節にぴったりのBoA「メリクリ」。次はピアノの伴奏に乗せて切々と自身の曲「プレゼント」を歌い上げた。最後はゲストに結美、TOMI、TAKUYAの3人のシンガーを呼び込み、YouTubeチャンネル「MOTCHAN NO HEYA」で公開された「Ado×YOASOBIマッシュアップ」を披露。両アーティストのヒット曲が次々と飛び出す展開に、オーディエンスから大きな歓声が上がった。

「すごく緊張したんですけど、いろんな人が聴いてくれてうれしかったです。普段の路上ライブよりも明るい感じがしましたね。ほかの場所だと周りの目を気にしなくちゃいけないことも多いし、こうやってステージに立って歌える場所があるのは、本当にありがたいです。

今日ははじめて私を観る人もたくさんいるし、海外からの人もいると思ったので、アニメやドラマの主題歌になっている曲だったり、季節感にそった冬の曲を選びました。7月7日にユニットを解散して、ソロになったばかりなんです。今年は基盤を作ってきたので、来年は自由にいろんなことに挑戦して、アクティブに羽ばたいていきたいです!」

アオイエマ。

大学生シンガーソングライター。東京や神奈川で路上ライブやライブハウスを中心に活動中。

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sae

ミュージシャンとしてだけでなくモデルや動画クリエイターなど、さまざまなジャンルで活動するsae。アコースティックギターを抱えて登場し、「冬に路上ライブやるの久々だから不安がいっぱい。指が動かなくなるかも」と笑いながら、明るく踊り出すような歌声で「キスミーダーリン。」をパフォーマンス。「冬だけど夏の曲を」とカバーアルバム『SUMMER COVERS~あの日聴いた夏の歌~』に収録されているZONE「secret base~君がくれたもの~」を、続けてback  number「ヒロイン」、片平里菜「女の子は泣かない」をカバー。観客から自然と手拍子が起こり、「温まってきた?」とsaeも笑顔に。

コレサワ「たばこ」、自身の「ひとりじゃない」を歌うと、「今日が今年最後のライブです。来年もよろしくお願いします」と少し早めのご挨拶。「とてもかわいい曲です」と坂口有望「好-じょし-」、YUI「CHE.R.RY」をカバーすると、配信には「きれいな歌声」とコメントが寄せられていた。最後は2021年にリリースされたシングル「こんなはずじゃなかった」を披露。エモーショナルにバラードを歌い上げてライブを終えた。

「すごく安心して思いっきり歌えたのでとても気持ちよかったです! 時間も長めだったし、満足度が高いですね。寒いのが苦手なので、ギターを弾く手が固まっちゃいそうだったんですけど、なんとかカイロで温めながらやりました(笑)。途中でちょっとギターの音が出なくなったんですけど、それも路上ライブ感というか、アクシデントも楽しかったですね。

今年は路上ライブを中心にやらせてもらいました。来年は路上ライブをやりつつ、曲をたくさんリリースしたいと思っています!」

sae

1998年8月26日生まれ、東京都出身ギター弾き語りシンガーソングライター。伝わりやすいストレートな歌詞とキャッチーなメロディー、一度聴いたら忘れられない愛らしい歌声で聴く人の心を癒す。

2017年に活動を開始し、2018年8月、渋谷gee-ge.にて20歳記念レコ発ワンマンライブを開催。チケットソールドアウトの満員御礼。2018年10月、タワーレコード渋谷店タワクルコーナーにて1stAlbum『Bloom』をリリース。アルバムは5週連続で売り上げランキング1位を獲得し、注目を集める。同年12月にはロングセラー記念インストアライブも開催。

さらに翌2019年3月にはタワーレコード渋谷店限定CD「キミがいたから。」をリリース。2019年11月4日、渋谷eggmanで開かれたレコ発ワンマンライブは、チケットソールドアウトの満員御礼で終えた。2019年11月4日には初の全国流通シングル「Strawberry」をリリース。2022年12月に「PLACORE&DRESSY MUSIC CHANNEL」とのタイアップ曲「キスミーダーリン。」をリリース。楽曲制作に留まらず、モデルやほかアーティストのMVに出演するなどの活動も行い、YouTubeやTikTokなどの動画クリエイター活動も積極的に行うZ世代アーティストの1人だ。

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