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歌舞伎町に根付きつつ、進化する路上ライブ Kabukicho Music Live vol.7

歌舞伎町

コミュニティ
Kabukicho Music Live イベント 音楽
DATE : 2023.09.11
新宿駅で降りたことがある方は、南口やバスタ新宿の前で路上パフォーマンスするミュージシャンを見たことがあるのではないだろうか。今や新宿は「路上ライブの聖地」になっている。

それを受けて、歌舞伎町の中心といえるシネシティ広場で2022年11月からスタートした「Kabukicho Music Live」も早くも7回目を迎える。普段はゲリラ的に行われている路上ライブを公認のもとで行う試みで、段々と歌舞伎町に根付きつつある。

計6組のミュージシャンが出演し、偶然居合わせた通行人も巻き込んで盛り上がった2023年8月16日(水)、17日(木)のイベントの様子をレポートしたい。

三者三様の歌のかたち

空野大

最初に登場したのは福島県会津出身、POPSと民謡を融合させたオリジナル民謡「訛り唄」を歌うシンガーソングライターの空野大。自転車で日本一周弾き語りの旅に出たり、地元福島のロックフェス「風とロック」にも出演したりと、場所を問わず歌を届ける活動を続け、宮本亜門を中心に平原綾香や牧野アンナなどが審査員を務めた「あなたが“NEXTアーティスト”~若手応援プロジェクト~2023」にも選出されている。今回のステージは、同じく「あなたが“NEXTアーティスト”」に選ばれた尺八×DJパフォーマンス グループ「DEAD COUNT」との3人編成で、尺八の音色とジャンベのリズムが空野の歌を彩った。

1曲目は美空ひばり「リンゴ追分」のカバー。こぶしを効かせた節回しがシネシティ広場に響き、間奏のセリフからは故郷を離れて東京で死んでしまった母を想う情感が漂う。続いて「訛りを大切にしよう」という思いで作られたオリジナル曲「お国訛り」。民謡調のリズムに合わせて、観客が手を打つ。ハンドクラップではなく、手拍子と表現するのがしっくりくる光景だ。夏らしいバラード「茜色」、「歌舞伎町はお酒を飲む街だから」と選曲されたテレサ・テン「時の流れに身をまかせ」のカバー、空野曰く「歌謡曲の代表」である中島みゆき「ファイト!」のカバーを歌い、その力強さに引き寄せられるように人が集まってきた。

福島の民謡「会津磐梯山」をミックスして作られた「村」では、一際大きい手拍子が送られ、空野も「みなさん手拍子がお上手でございます!」とご満悦。一転、リズミックな「笹舟」では尺八ソロ、ジャンベソロも披露され、大いに盛り上がった。戦前生まれのおばあちゃんのしなやかな強さを描いた「ちゃんちゃんこ」、雪原に咲く花のように強く寂しくも美しく生きる女性たちの姿からインスパイアされた「雪原の花」と、連綿と続く歴史と自然のなかで生きる先人たちへのリスペクトを歌い上げ、ライブを締めくくった。

「思った以上にいろいろな人が立ち止まって聴いてくれて、すごく嬉しかったです。後半になるにつれて僕らも盛り上がって演奏できて、それに合わせてお客さんも盛り上がってくれました。野外で演奏するのは慣れているのですが、歌舞伎町の雑踏のなかで歌うというのは新鮮でした。

日本のルーツミュージックに沿ったJ-POPを生み出して、世界に発信していきたいという思いがあるので、今日は海外の人からも反応があって素直にうれしかったです。それに加えて、こういう機会に偶然に聴いた日本人の血がたぎるような音楽でありたい。やっぱり日本を大事にしながら、海外に受け入れてもらえるようなスタンスでやりたいなと思ってます。民謡は日本古来のダンスミュージックでもあると思うので、テクノやエレクトロニカなどの電子音楽ともコラボしていきたいですね」

空野大

福島県会津出身。唯一無二の声とスタイルで、POPSと民謡を融合させたオリジナル民謡「訛り唄」を歌うシンガーソングライター。メッセージ性のある歌詞と情景を浮かばせる楽曲を得意とし、その唄声は、聴く人の琴線に触れる。

2018年/アコワングランプリ優勝。風とロック出演。

2021年/ワンマンライブにて日髙のり子さんと共演。

2023年/あなたがNEXTアーティスト2023選出。発掘!おもしろ東北人 優勝。

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DEAD COUNT(デッドカウント)

都山流尺八師範と浮世絵のNFTアートを手がけるデザイナーの2人による尺八×DJパフォーマンスグループ。宮本亞門氏らが審査員を務める日比谷フェスティバルNEXTアーティスト2023に選出。デジタルサウンドと尺八の生演奏を融合させた楽曲のほか、打楽器のリズムと体の動きのみで構成されるライヴパフォーマンスなどジャンルや形態に捕われない多様な表現を用い、イベント出演や楽曲・映像作品の配信を中心に活動中。

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冨岡愛

2021年からTikTokを中心に活動をはじめたシンガーソングライター、冨岡愛。2022年には路上ライブもスタートし、リアルな現場でも精力的に活躍している。あいみょん「マリーゴールド」、THE BLUE HEARTS「青空」、綾香「三日月」と、路上ライブではもはや定番といえるカバー曲を立て続けに披露し、初めて彼女を観る人々にアピール。「誰もが知っている名曲」の力を借りて、偶然居合わせた通行人に歌を聴いてもらうのも路上ライブの醍醐味だ。

「大切な瞬間を思い出すような、誰かの懐メロになりたい」という想いを込めた「あなたは懐メロ」、リリース前の新曲「グッバイバイ」とオリジナル曲を2曲歌い、自身のクリエイティビティーも披露した。テンポ良く、川崎鷹也「またね、ヒーロー」、オリジナル曲「劣り」、エド・シーラン「Perfect」と歌っていく。エド・シーランのカバーには海外から来たであろう人々からも拍手が送られた。

冨岡は4歳から15歳までオーストラリアで過ごしていたそうで、その11年間住んだ土地を想いながら「センチメンタルメモリーズ」をパフォーマンス。サザンオールスターズ「真夏の果実」を歌いはじめるや否や「やばい、時間配分間違えた!」と笑ってこの曲は1番で終了、盛りだくさんのライブの最後はオリジナル曲「ぷれぜんと」が飾った。

「いつもの路上ライブだと、途中で止められないか緊張しているんですけど、その心配がなくゴジラと目を合わせて歌えるなんて最高に気持ちよかったです! ロケーションもめっちゃいいし、特別感が100倍ありましたね。いつも来てくれるみんなも楽しかったと思います。

新宿は今まで路上ライブをやっても立ち止まってくれない人も多くて、嫌な思いもしたんですけど、今日はいい思い出になりました。誰かの懐メロになれるように、100人、200人、300人と、どんどんたくさんの人の前で歌えるようになっていきたいと思っています!」

冨岡愛

2002年10月6日生まれ。2020年テレビ朝日「歌カツ!~歌うま中高生応援プロジェクト~」選出。優里が審査員を務めた「ネクストブレイクシンガー発掘オーディション」において、1位に輝いた実績を持つ。優里が作詞作曲した「ラプンツェル」で注目の的に。

Tik Tokでの活動を始めてから、約1年弱で同世代の多くの男女から支持を集めた2023年も注目のアーティスト。更に、SNSで投稿した楽曲「グッバイバイ」が300万回以上再生され、今年9月20日に自身の5曲目として配信されることが決定した。

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うぴ子

元看護師という異色の経歴を持つうぴ子は、2020年に音楽活動のために上京し、路上ライブやSNSを中心に活動している。2021年に新宿駅前で中島みゆき「ファイト!」をカバーした動画が話題となり、現在では430万回以上再生されている。今回はそのとき以来の新宿での“凱旋”路上ライブだ。一曲目はその「ファイト!」を披露。いつものリクルートスーツ姿でギターを抱え、一点を睨みつけながら歌声を絞り出す。観客もその切実さに息を呑んでいた。

挨拶がわりのカバー曲はこれで終わり、オリジナル曲を次々と繰り出していく。看護師時代に担当した患者から「まだ若いから好きなことやりや」と言われ、一人一人に壮大な人生があることも描いた「蓮」。前日が終戦記念日だったことに触れ、「ジジイが始めて若い人が死んでいくのが戦争」と喝破した「世界中のライフル銃をギターに持ち替えたなら」。「幸あれ!」という叫びがこだました「ヒューマンスクランブル」。曲が進むごとに広場全体の熱気がジリジリと上昇した。

「『頑張れ』は時に心が重くなる言葉だけど、自分に対しては心から『頑張れ』と言ってあげたいし、辛いときには『頑張らなくてもいいよ』とも言いたい」というMCから歌われた「頑張れ、私」では「私を笑う資格があるやつなんているものか」とサビで絶唱。近々リリースされる予定の「カラス」を歌い上げライブを終わろうとするも、観客からアンコールが。急遽「人間だから」をアップテンポで歌い幕を閉じた。

「普段、歌舞伎町にはあまり来ないのですが、賑やかで人間模様が交わっていて、すごくいいところだと思いました。ここで歌えたことは本当にうれしかったです。新宿で路上ライブをやったのは、あの動画のとき一度きりだったので、今日こうやって来れたのはいろんな人の思いの繋がりで帰ってこれたのかなと。

私のライブを観てくれる人は、みんな仲良くて。みんなの居場所を作れてるのかもと思うとうれしいし、その輪がどんどん広がってるのを見ると私も頑張らなくちゃと思います。今年の夏にクアトロツアーをやったので、次はZeppツアーができるようになりたいですね。駆け足でいきたいところをグッと堪えて、一歩一歩、一人一人にちゃんと届くように音楽をやっていきたいです」

うぴ子

山口県出身、2020年11月音楽活動のために上京。

TikTok、YouTubeにアコースティックギターと歌のみでオリジナルソング、カバーソングを投稿。自殺志願者や悩める若者の心情をストレートに歌う歌詞と圧倒的な歌唱力、表現力が話題になりフォロワー急増中。

また、アニメのキャラクターの心情を歌った“勝手になりきって作詞作曲してみた”シリーズがTikTokで大バズり。多彩なオリジナル楽曲のスタイルを持つ2023年最も注目すべきアーティストのひとり。

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