灼熱の新宿をさらに熱くする路上ライブ！『Kabukicho Music Live Vol.6』

天候に負けず楽しみ尽くす！

なもなき

2日目のスタートを飾ったのは、おにちゃんとランディにより2021年に結成された、なもなき。昨年のTikTok「#夏の歌うま」チャレンジ企画では#TUBE賞の優秀投稿者に選ばれ、9月に行われたTUBEの横浜スタジアムライブに出演。今年5月にはTBS『ラヴィット』にも出演し、生演奏を披露した。アコースティックギターと声のハーモニーというスタイルは、路上ライブの王道でありながら、最近はむしろ珍しいものになりつつある。カバーを演らず、自分たちのオリジナル曲のみというのも同様だ。

この日は今年2月にリリースされたアルバム『Rustic』の収録曲を中心に、「愛なんて」、「夕凪」、「狼煙」、など次々と楽曲を披露。東急歌舞伎町タワーの屋外ビジョンにライブの様子が映し出され、そのカメラに向かっておにちゃんがピースすると「かっこいい！」と黄色い歓声が上がった。『第17回JKJO全日本ジュニア空手道選手権大会』のオフィシャル応援歌に起用された「史上最強の応援歌」や、ランディがハンドマイクでパフォーマンスする「生きる」にも観客は聞き入っていた。音響のトラブルにもすぐ対処し、ライブ配信しているTikTokのコメントにもリアクションするなど、路上ライブ経験豊富でタフな側面も見せながら、最後は「翼」で歌い上げた。

おにちゃん「熱量が高くて活気がすごかったので、僕らも歌ってて楽しかったです。最近、路上ライブを取り巻く環境は厳しくなっているので、こういう機会はありがたいですね。」

ランディ「本当にいい場所で、ステージも作っていただいたのが本当にうれしくて。いつにも増していい歌が歌えたと思います。」

おにちゃん「会えない人に会えたり、一期一会の人に聴いてもらえるのが路上ライブの良さだと思うんですよね。僕らのスタイルならトラブルがあってもすぐになんとかできるし、オリジナルだけでやってるから聴いてる人にも直接届くのじゃないかと思います。」

ランディ「日本国民全員に愛されるデュオになっていきたいですね。」

おにちゃん「ゆずさんやコブクロさん以降、誰もが知ってるデュオはいないと思うので、そうなれるように頑張っていきます。自分たちのやっていくことの延長線上に、また次の目標が見えてくる気もしています。」

荒木一仁

荒木一仁は京都出身、1997年生まれのシンガーソングライター。このイベントの初回にも別のユニットで出演しており、2回目の登場だ。Mrs.green apple「Soranji」、back number「手紙」のカバーからスタート。寡黙な佇まいから誠実な歌声が紡がれる。シンガーソングライターになって初めて作ったという「4月のラブソング」や、「悪い夢を食べてくれる王子様」などオリジナル曲も披露。「自分の大好きな人を思い浮かべて聴いてください」と歌った「君色」では、その姿を熱心にスマートフォンで撮影する観客が多かった。

荒木なりのファイトソングだという「つみき」、コレサワ「たばこ」のカバー、オリジナルのなかでも特に思い入れがあり、これからもずっと歌い続けていくと語った「愛虜」と立て続けに歌う。「TikTokで流行っているようなかっこいいダンスミュージックは作れないし、これからも伝えたいメッセージは変わらないと思います。聴いてくれる人に寄り添えるような、人を救える音楽を作っていきたいです。つらくて、自分で命を絶ってしまいたくなったら、俺の音楽を聴いてください」と話し、最後に「今日も生きてるんだ」をオーディエンスに届けた。

「以前に出演したときよりも、ステージがあったりしてこのイベント自体も進化してるなと思いました。新宿の繁華街のど真んなかで歌えるということは、アーティストにとって大きいですし、こういう場所を作っていただけるのはありがたいです。YouNiqueというバンドでも活動していますけど、ソロだと全部一人でやらないといけないから、バンドの方が何かと心強いんですね。でも、バンドでは曲を書いてないので、ソロの方が自分が伝えたい音楽を100％できるという良さもあります。ソロもバンドも、もっともっとみんなに知ってもらえるようにライブもやっていきたいです。」

Anna

最後に登場したのは日本とロシアをルーツに持つAnna。14歳から独学で音楽をはじめ、17歳でCDデビューを果たした。アーバンなシティポップテイストの「眠る時にあなたの声を」からライブはスタートし、Vaundy「怪獣の花唄」のカバーに続く。小雨がぱらつくが、Annaもオーディエンスも気にせず楽しんでいる。

バラードにするかアップテンポにするか、天気の様子を見つつ悩むAnna。「梅雨も夏っぽいってことでいいよね！」とYUI「Summer Song」のカバーをチョイスした。この二日間は暑さと雨でトラブルが続いたが、それをポジティブに転化するアーティストの底力が伺えるのも路上ライブの醍醐味だ。

夏つながりで、続いては「二人が嫌いな夏がきたね」という歌い出しのオリジナル曲「チーズタルト」。ほろ苦いラブソングで、書き上げたときに「大人になったなあ」と自分で思ったそうだ。だんだんと雨が強くなってくるなか、「どうしてもやりたい！」と新曲「reversal」をパフォーマンス。この曲は7月から放送開始したアニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』のエンディングテーマで、この日がライブ初披露。サプライズにファンも大きな歓声を上げた。残念ながら雨で中止を余儀なくされたが、最後にダメ押しでaiko「花火」のカバーを歌いきり、夏らしくイベントの幕を下ろした。

「路上ライブは片手で数えるくらいしかやったことがないので、新鮮でした。デビュー前に地元の群馬ではやっていたのですが、通り過ぎる人の数が全然違うのでびっくりです。人混みが苦手で、やる前は正直怖かったんですけど、いろんな方に見ていただけて嬉しかったです。ゴジラと目が合うような場所で歌えるのも貴重な体験ですし、海外からの人も多くて、ロシア語でMCしようかと思ったんですけどひよっちゃいました（笑）。今回アニメのエンディングを歌わせてもらえて、本当にうれしくて。アニメやゲームが本当に好きなので、二次元のものに音楽を添える形でどんどん関わっていけたらなと思っています。」