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「好きを極める」東急歌舞伎町タワーで高らかに歌い上げる『Kabukicho Music Live Vol.4』レポート

歌舞伎町

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Kabukicho Music Live イベント 音楽
DATE : 2023.06.01
東急歌舞伎町タワーの1Fの屋外ステージ「KABUKICHO TOWER STAGE」にて、路上ライブシーンで活動するシンガー3組が出演するイベント『Kabukicho Music Live Vol.4』が5月13日(土)に開催された。

新宿は近年、路上ライブの中心地として盛り上がりを見せており、それをパッケージングすべくスタートした本イベントも4回目を迎えた。実は3月に予定されていた『Vol.3』が激しい雨によって中止になり、リベンジ戦となった今回。朝からあいにくの雨模様でまたしても中止が危ぶまれたが、アーティストと観客の熱量によって無事開催され、ステージ向かいのシネシティ広場で行われていた「激辛グルメ春祭り2023」にも負けない、熱いライブが繰り広げられた。

雨にも負けず新宿に響く歌声

加藤結

トップバッターは「なきむし見習いシンガー」こと加藤結。2020年までアイドルグループに所属し、卒業後の2022年よりソロシンガーとしての活動をスタートしている。グループ時代のメンバーカラーと同じミントグリーンの装い(Tシャツには手書きで「わたしが加藤結です。」)に身を包んでステージに登場すると、緊張した面持ちで「みなさんはじめまして!」とオーディエンスに挨拶し、miwa「ヒカリヘ」のカバーからスタート。曲の後半で機材トラブルに見舞われバックトラックが聞こえなくなるも、自然発生した観客のハンドクラップにのせて無事に歌いきり、その勢いのままJUDY AND MARY「そばかす」のカバーへ。緊張もとけてきたのか、ぴょんぴょん飛び跳ねながら笑顔を見せる。

曲間のMCでは事前に用意してきたメモを読みながら、集団行動が苦手なせいでアイドルグループをやめてしまったが、歌うことを諦めきれずに現在の活動をはじめたという想いをとつとつと語った。プリンセス プリンセスやチャットモンチーのカバーをはさみ、初のオリジナルソング「青空を見上げるな」を披露。アップテンポで爽やかなロックチューンで、ファンと一緒に振り付けを踊る。I WiSH「明日への扉」を誠実に歌い上げると、ラストは自身が推しているという、=LOVEの「青春”サブリミナル”」。「オイ! オイ!」というコールも起こり大いに盛りあがった。最後には6月15日に高田馬場「CLUB PHASE」で行われるソロライブに触れ、「一日一回泣いちゃうくらい落ち込みやすいけど、逃げるのは封印します。覚悟の詰まったライブにします!」と意気込みを語った。

「はじめて歌う場所なので、すごく緊張しました。普段の路上よりも、お客さんとの距離が近くてドキドキしましたし、緊張に慣れる練習をしないとダメですね(笑)。いつも緊張するんですけど、歌っていると頭がボーッとするようなゾーンに入るときがあって、その瞬間がすごく楽しいんです。最後の曲のときはお客さんがすっごく暖かくて、そういう感じになれました。今後はアニメが大好きなので、いつかアニメの曲を歌うのが目標です! 普段のライブも来ていただいた方に確実に楽しんでもらえるように中身を充実させていきたいです」

加藤結(かとうゆい)

2001年生まれ。大阪府出身。
かとゆいでお馴染みのなきむし見習いシンガー。初のオリジナル楽曲「青空を見上げるな」は、手の届かない「理想」ばかりを見上げずに、「今」を踏みしめて生き抜こうというメッセージが込められた応援ソング。「かとゆいライブ〜なきむし見習いシンガー〜」が開催中。

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水上宙

続いては岩手県出身のシンガーソングライター、水上宙。グループでの活動などを経て、2023年よりソロ活動を本格化させている。アコースティックギターを手にステージに上がると、秦基博「鱗」、マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」のカバーを立て続けに披露。真っ直ぐなハイトーンボイスが歌舞伎町のビル群にこだまする。3曲目は今年リリースされたオリジナルの「にこいち」。同棲中のカップルの日常を描いた、温かいメロディーが耳に残るラブソングだ。

マルシィ「絵空」、Official髭男dism「115万キロのフィルム」のカバーを披露し、「野外でのライブははじめてです。前回も雨で中止になって、今回も雨だし、どんだけ雨男なんだって(笑)。まだまだ音楽業界は苦しいけど、こういう素敵なイベントをやっていただいてありがたいです」とMCで感謝を述べた。優里「ドライフラワー」、My Hair is Bad「真赤」、kobore「ヨルノカタスミ」をエモーショナルに弾き語り、最後は5月10日にリリースしたばかりの新曲「コーヒー」で締めた。

「ステージが高くて、めっちゃ気持ちよかったです。いつも来てくれるファンの方もいてくれてうれしかったです。普段の路上ライブは8割の人が素通りするんですけど、今日はみんな立ち止まってくれてやりやすかったですね。新宿はほかの街より年齢層も若いですし、路上ライブに限らず音楽を楽しんでいる人が多い印象があります。シングルをリリースしたばっかりなんですけど、年内にアルバムを制作してワンマンライブをやれるようにがんばっていきます!」

水上宙

岩手県出身。シンガーソングライター。
高校でバンドを組みそのまま音楽の道に進む。
18歳で上京し、19歳の時に「ゆめたまご」と言うグループを組んで活動。
YouTubeにて替え歌企画をし、「水平線」という替え歌が話題となり55万回再生される。
2022年10月からソロ活動を始動。
2023年1月ソロ初のシングル「にこいち」リリース
2023年2月「ドラマ」リリース
2023年5月「コーヒー」リリース
現在は都内中心に路上ライブ・箱ライブを行う。

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茉ひる

雨もやみ、ステージエリアはいつしか老若男女でパンパンになっていた。急遽、東急歌舞伎町タワー1F屋外ビジョン「KABUKICHO TOWER VISION」にライブの模様が映し出されることになり、茉ひるは「モニターに映るみたいなんで、今日は変顔いたしません(笑)」と早速オーディエンスを笑わせる。このイベントには2回目の出演になる彼女は、三重県出身のシンガーソングライター。路上で西野カナをカバーしている動画をきっかけに人気を集めている。この日も声出しとして、西野カナのメドレーを披露。街行く人々が足を止めて聴き入っていた。

本編はオリジナル曲「Blue Star Remix」からスタート。「みなさんへの感謝を込めて作りました」とオーディエンスを見回しながらみんなに手を振っていく。ダンサブルな4つ打ちが気持ちいい「Gleam Horizon」、トラックメイカーSquid inkとのコラボ曲「CHEESE CAKE」と次々にプレイ。4曲目の「バブルバス」は3週連続でTikTokのランキングに入り、ファンが踊る「バブルダンス」の動画が投稿されているそうだ。ヘビーな雰囲気の「IzaYoi」に続いて、西野カナ「if」と百足&韻マン「君のまま」をカバー。5月5日リリースのアルバム『EMERALD』から「ダブルベッド」、「駐車場」を披露し、ファンから大きな声援を浴びた。

「最近は路上ライブに対して風当たりが強かったりもするんですけど、こういった場を作っていただけるのは本当にありがたいです。やはり、自分のことを知らない方に歌を聴いてもらえるというのは、路上ライブでしかできないことなので。集まってくれたお客さんにも中断することなく長い時間安心して聴いてもらえるので、こんなにうれしい話はないなと。以前はカバー曲で知ってくれていた方が多かったんですけど、最近はTikTokを毎日更新していることもあって、オリジナル曲目当ての方も増えました。自分の曲をお届けできるというのは、やっぱりちょっと違いますね。今後の大きな目標としてはドームでライブをしたいというのがあるんですけど、メディアにもどんどん出ていきたいですし、新しいこともたくさんしていけたらなと思ってます!」

茉ひる

2000年生まれ。シンガーソングライター。
トークと歌声のギャップで多くのファンを魅了し、体育座りで歌唱する”体育茉ひる座り”動画ではTikTokなどの各SNSにて注目を集める。

2021年11月にリリースした楽曲「Blue Star」ではSpolifyバイラルチャートに3 週間以上ランクイン。
さらに2023年4月にリリースした楽曲「バブルバス」を使用したTikTok投稿による総再生回数は130万回を超える。

現在のTikTokフォロワー数は28万人。Instagramフォロワー数は9万人を超え、自身のワンマンライブではチケットソールドアウトなど、実力共に新進気鋭のZ世代アーテ ィスト 。

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路上ライブをしているミュージシャンの動画を毎日アップし、このイベントのブッキングを担当しているYouTuber「もっちゃん」にも話を聞いた。
YouTubeチャンネル「MOTCHAN NO HEYA – もっちゃんの部屋 –

「雨が降っていて本当にドキドキしたんですけど、開催できて本当によかったです。いろいろな方のおかげで開催できたんだなと思うと、感謝の気持ちが強くなりましたし、あらためて歌舞伎町の真ん中で歌えるっていうことのすごさを実感しました。このイベントも回数を重ねて、さまざまな話し合いをしてきたことで、もっとフットワーク軽くいろいろなことをやっていけるような気がしています。東急歌舞伎町タワーはエンタメのビルなので、音楽好きな人たちが以前よりも集まってきていると思うんです。さらに路上ライブとも相性がいい場所になっていくんじゃないでしょうか」

イベント情報

日時:2023年5月13日(土)13:00~16:00
場所:東急歌舞伎町タワー1階屋外ステージ(KABUKICHO TOWER STAGE)
(東京都新宿区歌舞伎町1丁目29-1)
入場:無料
出演アーティスト:加藤結、水上宙、茉ひる
主催:株式会社TSTエンタテイメント
協力:MOTCHAN NO HEYA – もっちゃんの部屋 –

text:張江浩司
photo:落合由夏

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