青空の下で音楽を分かち合う
茉ひる
トップバッターは三重県出身のシンガーソングライター茉ひる。「まずはしんみりと」と、ちゃんみな「Never Grow Up」のアコースティックバージョンからパフォーマンスをスタート。歌いながら集まった観客を見渡し、目を合わせて手を振りながら丁寧にコミュニケーションを取っていく。
「昨日雪が降っていたから心配だったけど、すごく暖かいですね! 関東のみなさんはいつも優しいし、今日ここに呼んでいただいたことに感謝しながら歌おうと思います」と笑いながらMC。靴を脱いで椅子の上に体育座りしながら西野カナの「Best Friend」を歌った。ある日、西野カナの楽曲を体育座りで歌った動画がTikTokでバズったことから、このスタイルが定番になっているそうだ。オリジナル曲の「Blue Star」、「Gleam Horizon」に続いて、2月18日に配信リリースされた新曲「Aurolane」のワンコーラスをフライングで披露。バレンタインにちなんで、歌いながらチョコを観客に投げ入れるなど、終始楽しい雰囲気でライブは進み、西野カナ「Always」のカバーで締めくくった。
「東京でこうやってゆっくり歌える機会をいただけたのは本当にありがたいですし、めちゃくちゃ楽しかったです! 路上ライブは私のことを全然知らない人とか、通りすがりの人に聴いてもらえるので、そこがとても大きいです。4月からはワンマンツアーが始まるし、2月18日には新曲が配信されたので、ぜひみなさんに楽しんでいただけたらなと思ってます」
まるり
男女デュオ「まるりとりゅうが」として活動し、2022年4月にはソロアーティストとしてデビューしたまるり。1曲目は昨年10月に発表した「星のタイヨウ」。「音は大丈夫?」と観客に問いかけながら音響を調節し、徐々に歌声は熱を帯びていく。路上ライブらしい光景だ。福岡の音楽大学に通っていたが、歌手を目指して上京。その3日後に歌舞伎町を訪れたときは「すごいところに来ちゃったかも……」と驚いたという。
「路上ライブにはたくさんの夢があると思うんです。なかなか路上ライブできる場所が少なくなってきているので、今日の試みはすごく大きいことだと思います。どんな場所でも歌はたくさん流れていたほうがいいですよね」と路上ライブへの愛をMCで語った。過去の辛い恋愛をもとに書いたという「好きだよ」、姉の結婚式でも歌ったというシェネル「Happiness」のカバーを披露し、ラストはメジャーデビュー曲の「ホントの私」を歌い上げた。
「歌舞伎町はガヤガヤしているイメージがあって、ファンからも『歌舞伎町でライブなんて大丈夫ですか?』と聞かれたりしたんです。でも、今日来てみたらすごく変わっていたし、歌いやすかったです。こういったイベントが広がっていくことで、路上ライブももっとやりやすくなればいいなと。せっかく歌っているのに止められちゃう動画とか見ると悲しくなりますし、迷惑に思う人もいると思いますけど、歌が街にあふれることは悪いことじゃないですよね。
ここ(東急歌舞伎町タワー)にZepp Shinjuku(TOKYO)ができるんですよね? ユニットを組んでたころからZeppでやりたいと思っていて、なんとか実現できたので、ソロでもまたできるようにがんばって活動したいと思います!」
まるり
幼少期から高校3年生まで合唱団に所属。声楽を学びながら音楽と隣り合わせの生活を送り、数々のステージに出演。
2018年4月より男女デュオ「まるりとりゅうが」として活動。2022年4月からはソロアーティストとして始動し、5月に優里作詞・作曲の1st Digital Single「好きだよ」でソロデビュー。
抜群の歌唱力はもちろん、動画やインスタライブで見せる、飾らず親しみやすいキャラクターと愛らしいルックスで、同世代の男女からの絶大な支持を集めている。
2022年8月に配信スタートした「ホントの私」で、ビクターエンタテインメントからメジャーデビュー。
伊集院香織
バンド「みるきーうぇい」のギターボーカルとしても活動する伊集院香織。シネシティ広場のすぐ近くに位置する老舗ライブハウス「新宿LOFT」にも出演している彼女は、黒い衣装に身を包み、アコースティックギター1本でマイクの前にスタンバイした。「世界の破滅」、「CRAZY BEAUTIFUL BOY」など、バンドでも演奏している楽曲を立て続けに歌う。MCでは「大阪から上京して数年たつんですけど、いまだに友達が少なすぎてTOHO(シネマズ)で映画観ることが多いんですよね。一人でいることを許してくれた場所で、こうやって歌えてうれしいです」など、歌舞伎町への特別な思いが語られた。
「私ヒロインになれない 王子に選ばれる魔女になってやる」という歌詞がインパクト絶大な新曲「ヒロインになりたかった」、数年ぶりの声出し解禁ということで観客と一緒にサビを叫んだ「ドンガラガッシャンバーン」などを熱唱。ラストは「行方不明になるよ」を歌いきり、ありがとうと手を振った。
「歌舞伎町は眠らない街じゃないですか。夜中の2時に寂しくなっても、ここには人がめちゃくちゃいて一人じゃなくなるのがすごく好きで。本当に歌えて楽しかったし、公認イベントだから途中で止められないのもありがたかったです。歌舞伎町自体が変わってる最中だと思うんですけど、ライトな部分とダークな部分が同居してるのがこの街の魅力だと思うんですね。ダークな部分には私も関与してるんですけど(笑)。そういうどっちもある感じがある、ほかにはない街であり続けてほしいです」