11月18日 夜空に響くハーモニー
consado
1組目で登場したのは函館出身の優未、札幌出身のレイナによるデュオ「consado」。2016年にはTBSの『ホワイトサカス』公式テーマソング獲得イベントのオーディションで優勝した実力派だ。「このイベントで最初に歌えてうれしいです!」と満面の笑みを浮かべながら代表曲「Crescendo」を披露。ストリングスが醸し出す雄大な曲調のなかをツインボーカルならではのハーモニーが漂い、歌詞の一部を「新宿の空に」と変えてサプライズを演出していた。
2曲目はYOASOBIの「夜に駆ける」をカバー。必ずしも自分たちを観に来ているわけではない通りすがりの人々の足を止めるために、みんなが知っている曲をチョイスするセンスが重要になる。この曲にも二人ならではのコーラスワークが発揮されていた。続いてオリジナルのバラード「Candle Light」、Little Glee Monster「SAY!!!」のカバーを歌うと、呼応するように人だかりもだんだんと大きくなっていく。最新アルバムに収録されている「ミチシルベ」で締めくくると、大きな拍手が送られた。
— 歌舞伎町の真ん中でライブをしてみていかがでしたか?
レイナ:たくさんの方々に聴いてもらえてすごく嬉しかったです。人通りの多い場所を選んで路上ライブをしているので、そういう意味でもここはすごくよかったです。
優未:みなさん温かかったですね。毎日でもここで歌いたいくらい(笑)。
レイナ:ほんとに! 歌舞伎町のイメージが変わりました。
優未:新宿だと南口とかバスタ前でやることが多いですけど、他にもパフォーマンスしている方が多くて、音が混ざってしまうんです。今日はそれがなくて歌いやすかったですね。
レイナ:あと、東京の人って立ち止まるのが恥ずかしいんだと思うんですよ。路上ライブやってても、通り過ぎるのが当たり前というか。ここは広場になっているので、立ち止まりやすいんだと思います。
優未:こういうイベントが増えて、新宿が音楽の街になっていけばうれしいです。
— 今後の目標を教えて下さい。
優未:毎年11月に大きいワンマンライブをやっていて、今年は先日終わったばかりなんです。次に向けて、路上ライブやYouTubeをメインに、また1年たくさんの方々に出会えるように活動していきたいと思います!
CAIKI
2組目は「ソロアーティスト最年少ドーム公演」の実現を目指して活動するCAIKI。今夏にはZepp Haneda(TOKYO)でのワンマンライブに1,000人以上を集め、夢に向かって着実に近づいている。この日も集まったファンを寒くないかと気遣いつつ「路上なんでカバー曲を」と、川崎鷹也やAqua Timezの楽曲からスタート。「昨日もここのライブハウス(新宿BLAZE)に来たばっかりだから、その目の前で公式に路上ライブできるなんてすごい。みんなも安心して聞けるし、めっちゃ幸せやな」と喜びを溢れさせた。
DJが登場し、オリジナル楽曲ゾーンへ。EDMライクな「I’m all yours for tonight」、バラードの「結縁愛」をパフォーマンスし、「Zeppでのワンマンやチャートインだって“できるわけない”と笑われた。でも現実になった。絶対にあと5年でドームに立ちます!」と思いを語りながら、SNSでも話題の「わがまま」、「あゆみ」を熱唱した。
— シネシティ広場で歌ってみていかがでしたか?
CAIKI:前から「ここで歌えたらな」と思っていた場所なんで、めちゃくちゃ嬉しいです。普段は途中で止められたり移動しなくちゃいけなかったりするので。ファンの子たちにも移動してもらわなくちゃいけなかったり。そのストレスがないのは、本当にありがたいです。
— 大きな会場でのライブ、路上ライブそれぞれの魅力はどこにありますか?
CAIKI:ライブハウスでのパフォーマンスはエンターテインメントの作品を作るイメージですね。路上だとファンと目線が一緒でいられるというか。僕はファンに「ついてこい」って言ったことがなくて、一緒に行きたいんですよね。だから、こうやって路上で歌えるのはうれしいです。こういう公式な場所はもっともっと増えてほしいですね。
— 今後の目標を教えて下さい。
CAIKI:年末にポリープの手術をするんですが、その直前にワンマンをやるのでぜひ聴きに来てほしいです。手術のあと、年明けからも走っていくので楽しみにしていてください!
CAIKI
福岡出身。作詞作曲を自身で手がけ、ラップからメロディーまで歌いこなすのオールラウンダーソロアーティスト。
人の嬉しさや悲しみや不安や恐怖、人から生まれる感情を肯定し寄り添った熱いMCやLIVEパフォーマンスが愛されている。
2022年、Zeppワンマンで1100人を動員。
夢はソロアーティスト最年少ドーム。
Scar Face
初日の最後は荒木一仁、柳沼一輝、樋川智也の3人からなる「Scar Face」。高校の同級生で、それぞれソロアーティストとしての活動やバンドでの活動を行うかたわら、コラボレーションとしてはじめた3人での路上ライブがグループになったという。なお、12月10日での無期限活動休止が発表されており、その前の貴重なパフォーマンスとなった。
自己紹介のMCもそこそこに、Official髭男dismやVaundy、back numberなどの邦ロックバンドのカバーを次々に歌い上げ、トリプルボーカルの力強いハーモニーが歌舞伎町の夜空に舞い上がって行く。「せっかくの機会なので、僕らそれぞれのオリジナル曲を3人で歌います」と告げると、柳沼のバンドThe Lcimer「HERO」、樋川の「手遅れ…」、荒木の「今日も生きてるんだ」を披露。寡黙ながらも歌の力で魅せるライブとなった。
— シネシティ広場で歌ってみていかがでしたか?
樋川:止められないっていうのがすごく良かったです。歌いやすかったですね。なんぼ歌ってもいい、みたいな。
柳沼:ビルに囲まれた広場の環境のおかげだと思うんですけど、反響があってよかったです。ホールみたいな音響というか。路上ライブってもっとラフというか、もっとノリでやるイメージなんですけど、今日はちゃんと柵や照明もあって、ちゃんとしたライブっていう感じでした。
— 路上ライブのどの部分に魅力を感じていますか?
荒木:新規の人に聴いてもらえることですね。偶然の出会いがあるので。
柳沼:うんうん。新宿だけじゃなく、こういう路上ライブが許されるカルチャーが広がれば、音楽がもっと発展すると思います。
— みなさんの今後の目標を教えて下さい。
柳沼:自分のバンドで武道館に立ちたいですね。
荒木:自分の音楽がいろんな人に届いて、最終的にはドームツアーをできるくらいの存在になりたいです。
樋川:大きい舞台に立ちたいのはもちろんですけど、自分の楽曲を通して、生きる場所がないような人の人生を変えられればいいなと思います。
ScarFace
関西出身の3人で上京し、現在はYouNique(荒木)、The Lcimer(柳沼)はバンド活動、シンガーソングライター(樋川)として個人活動に力を入れています。
今後の活躍にも是非期待してもらいたいと思います。
道端で歌ってるのがかっこいい
当日、イベントを観に訪れていた、歌舞伎町にある老舗ライブハウス「新宿LOFT」をはじめとしたライブハウスを運営する「LOFTグループ」の社長・加藤梅造さんに話を聞くことができた。加藤さんもこのイベントに大きな可能性を感じたと語る。
加藤:まず、繁華街のど真ん中にこういう広場があってライブができるって、あんまりないし気持ちいいですよね。目の前に東急歌舞伎町タワーがあって、後ろにはゴジラがいて、両サイドにはライブハウスもあるし。パワースポットですよ。それをちゃんと街がバックアップしてるのも意味がありますよね。昔は路上ライブからはじめて、ライブハウスに出るようになって、どんどん大きな会場になっていくというようなルートがありましたけど、今は路上もライブハウスもネットも全部を同時にやる感じだと思うんです。こういった路上のイベントが増えれば、ライブハウスの活気にも繋がりますし。映画の『ブルース・ブラザーズ』とか観ても、ジョン・リー・フッカーとかが道端で歌ってるのがかっこいいじゃないですか。そういうのが日本でも増えていくといいですよね。