新・歌舞伎町ガイド

エリア

FOLLOW US:

「2.5次元俳優の第一人者を目指して」星波、“イケメン女子アイドル”を演じきり、本格的に女優業始動

歌舞伎町

インタビュー
アイドル 演劇
DATE : 2021.11.25
アイドル戦国時代に“イケメン女子アイドル”を真っ直ぐに演じ続けたことが、女優としての糧となり、現在、2.5次元俳優として注目される星波(せな)さん。撮影で訪れた新宿・歌舞伎町で、初ライブの記憶を思い起こしたという彼女に、男装アイドル時代の葛藤や想い、今後女優として目指す唯一無二のポジションについて、語ってもらった。

— 星波さんが初めてライブを行った場所が、先ほど撮影した歌舞伎町だったと伺いました。

そうなんです。歌舞伎町の「新宿レッドノーズ」(2020年閉店、現在は「新宿WALLY」)というライブハウスで、以前活動していた「ザ・フーパーズ」というグループとして、初ライブをやらせていただきました。まだ自分たちのオリジナル曲もない頃だったので、視聴会に近い“ライブはじめました(仮)”みたいなイベントで、先輩の曲をカバーさせていただいたり、唯一のボカロソングを初めて歌うといった、記念すべき場所でした。お客様の前で歌うのも初めての経験だったんですが、デビュー前にも関わらず100人近いお客様が来てくださって、満員の会場でお届けできた、すごくいい思い出です。

— そのステージで記憶に残っているエピソードはありますか?

当時は何もわかっていないうえ、ライブパフォーマンス自体が出来上がっていなかったため、いい意味で一生懸命すぎて、移動や踊るのにとにかく必死。気づいたらメンバー同士でぶつかり合ったり、マイクがあたって殴り合いのようなステージになっていて(笑)。でも今思えば、それもめちゃくちゃいい思い出です。あと、今も覚えているのが、そのステージの黒と赤のブロックチェックのような柄の床です。最初が「からくりピエロ」という曲だったので、歌いはじめはピエロのように床を見つめながら静止していなくてはならなくて、初ライブで緊張しているうえに、床のブロックチェック模様がチカチカしてより緊張が高まってしまった…という(笑)。

— お話に出た「ザ・フーパーズ」というイケメン女子ユニットでデビューされたんですか?

中学時代までは、どちらかというと母の希望もあって芸能活動をしていましたが、高校卒業の進路を決めるタイミングで、私は何がやりたいんだろうと改めて考えたところ、「演技をしていた時が一番楽しかった」という記憶があって。女優の道に進んでみようと、オーディション雑誌で偶然見つけた「ザ・フーパーズ」のメンバーに応募したのがきっかけです。

— “イケメン女子ユニット”というコンセプトに抵抗はありませんでしたか?

当時は“坂”系、“地下”系などいろんな種類のアイドルが乱立していたアイドル戦国時代で、特色がなければ埋もれてしまうという不安もありましたし、逆に普通の女性アイドルだったら応募していなかったかもしれません。“普段から男性を演じる”ことがお芝居の練習にもなると思いましたし、歌や踊りは未経験でしたが、小さい頃に器械体操を習っていて体を動かすことが好きだったので、ひと味違うアイドルとして挑戦してみたい!と思えたんです。

— イケメン女子を“お芝居”と捉えて楽しんで演じていらしたのが新鮮です。「ザ・フーパーズ」解散後は1年ほどロック系男装アイドルグループ「ael-アエル-」として活動されていました。気持ちの変化などはありましたか?

そうですね。「ザ・フーパーズ」での5年間はプライベートもがっつり男性を演じてきましたし、時代に合わせてコンセプトや方向性なども修正されていく中で、「アエル」では活動時のみウィッグを被ったりして演じるけれど、普段はノーマル…というか女性として生活することになり、逆に自分が女の子を演じている気分になってしまったり…。自分の中でその境目を消化しきれなくなったと言うのでしょうか。年齢も25歳目前だったので、自分の素直な気持ちを大切にしよう、女優一本でやってみようと昨年2月に卒業を決意しました。

— アイドルから女優にシフトされた星波さん。今後挑戦したいことは?

これまでは舞台中心で活動していましたが、徐々にVR系やショートムービーなどのお仕事も増えてきているので、今後は映像作品の割合も増やしていき、バランス良く女優の幅を広げていきたいと思っています。

— 舞台と映像では意識する部分も違いますか?

舞台の良さは、興味のある方が劇場に足を運んでくださることだと思うのですが、逆にこれからは、観にきて頂かなくても、多くの方の目に触れられる機会も増やしていけるように頑張っていきたいです。

— プライベートで、テンションが上がることは何ですか?

もともとアニメや漫画が好きなのですが、特に「黒執事」というアニメがめちゃくちゃ好きで、展示会や原画展なども欠かさず行くタイプです。基本はずっとお仕事をしていたいほうなので休みは苦手ですが、唯一 “推し”の展示会などチケットを取った日だけは、自分から「NGで」とお休みをいただきます。友人から作品の関連画像が送られてくるだけでテンションが上がっちゃいますし、「黒執事」きっかけで、イギリスも好きになってしまったほど…(笑)。

— すごいとこまで深掘っていきますね(笑)

2017年頃、当時「ザ・フーパーズ」で活動していた時に、ロンドンで「Japan Expo(ジャパン エキスポ)」というイベントがあって、日本の文化としてアイドルを紹介するために現地で出演したことがあったんです。イギリスといえば「黒執事」の聖地なので、私の中で全てがリンクしてしまい、「うおっーーー」と興奮状態に(笑)! 普通だったら「ビッグ・ベン」を観光する際、その正面で自分を入れて撮影すると思うんですが、私は「黒執事」の小さなマスコットを持っていて、それを「ビッグ・ベン」背景で撮って大喜び! みたいな…根っからのオタク気質なんですよね(笑)。

— 好きだったアニメや漫画作品のキャラクターを演じられたことは?

「セーラームーン」ですね。どちらかというと姉の世代でセーラームーンがすごく流行ったのですが、私も幼稚園卒園くらいでよく観ていて、ずっと記憶に残っている作品だったので、自分が合格した時はとても嬉しかったのを覚えています。

— ほかにも2.5次元作品に多数出演されていますよね?

そうなんです。初舞台も、人気RPG『テイルズ オブ』シリーズ初の舞台作品「テイルズ オブ ザ ステージ」で、しかも横浜アリーナで、ヒロインのティア・グランツ役をやらせていただいて。

— 横浜アリーナで初舞台とはすごいですね!

正直、演技をするには広すぎるくらいのステージなんですが、普段は私の芸能活動にあまり興味を示さなかった父が、初めて「行ってみよう」と駆けつけてくれたんです。それまでも応援はしてくれていたんですが、母から後で聞いたら、珍しく父のテンションが上がっていたらしくて(笑)、嬉しかったですね。

— 他にも、星波さんが好きなことはありますか?

あとは、釣りですね。小学生の頃から父と休みの日は釣りに出かけていたんですが、中学生くらいから芸能活動がスタートして釣りに行けなくなってしまったので、ここ1、2年でまた船釣りなどにハマってます。そんなにスマートではありませんが、自分でさばいて食べたり。

— 釣りの魅力はどういった部分ですか?

海育ちだからかもしれませんが、釣りって、釣れなければただひたすらボーッとしていられるじゃないですか(笑)。それこそ、釣りの間はいっさい携帯電話も触らないので、ただ何もない海の上で揺られながら過ぎていく“時間に追われない感覚”というのがいいのかもしれません。さらに釣れたらテンションも上がりますしね! ぜひ釣りのお仕事待っています、あとイギリスも(笑)!

— なかなか他の女優さんと被らない趣味がいいですね。今後のお仕事の予定は、12月4日から「NARUTO-ナルト-」の2.5次元舞台に出演予定と伺いました。

シリーズ4年ぶりとなる待望の新作公演『ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~うずまきナルト物語~』に、日向ヒナタ役で出演します。若干、期間が被るのですが、2022年1月18日からは、舞台『炎炎ノ消防隊』にも、茉希尾瀬(マキ オゼ)役で出演予定です。

— 2作品とも、アニメや漫画などの原作を元にした2.5次元作品ですね。

以前は“キャラクターを演じる”ということで、「寄せなきゃ」「似せなきゃ」という気持ちもありましたが、今は作品へのリスペクトや、演じていくうえで愛も深まっていくので、キャラクターに近づけつつ、どれだけ自分らしい表現を追加できるかということも意識するようになりました。みなさん「2.5次元俳優といえばこの人!」と思い浮かぶのは男性の方ばかりだと思うのですが、私自身がもともと、「2.5次元」と言われるアニメや漫画などの原作を元にした作品からのスタートだったので、いつか「2.5次元俳優といえば星波!」と言われるように、しっかり女優としての立ち位置を掴んでいけたら嬉しいです。

星波(せな)

1995年9月1日生まれ、神奈川県出身。ジュネス所属。2014年から19年までイケメン女子グループ「THE HOOPERS(ザ・フーパーズ)」として活動後、1年間、ロック系男装アイドル「ael-アエル-」に所属。2020年2月のアイドル卒業を機に、女優業を本格的スタート。公式ファンクラブ『#流星波群(リュウセナグン)』を開設。

HP
Twitter

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」〜うずまきナルト物語〜 日向ヒナタ役

<東京公演>2021年12月4日〜12月13日@日本青年館ホール
<大阪公演>2021年12月25日〜2022年1月2日@メルパルクホール大阪

舞台「炎炎ノ消防隊」 茉希尾瀬役

<神奈川公演>2022年1月18日〜1月23日@KT Zepp Yokohama
<大阪公演>2022年1月27日〜1月30日@サンケイホールブリーゼ

Photo:落合由夏
hair & Make:伊藤遥香
Text:藤井存希

こんな記事もおすすめ