物語の舞台は、昔ながらの進学校である兵庫の椿咲花(ツバキサクハナ)女子高等学校と、芸能コースを設立し時代の波に乗る大阪・滝桜(タキザクラ)女学院。対立する関係であるこの2校の理事長の娘、椿ルリカと滝沢アンズが主人公だ。スクールアイドル活動を通してふたりは出会い、お互いに影響を与えながら周囲に少しずつ変化を生み出していく。
今回は同舞台の稽古場を直撃し、椿ルリカ役・堀内まり菜さんと、滝沢アンズ役・関根優那さんにインタビュー。『スクミュ』がここまで愛される理由や、生の舞台ならではの面白さ、さらにはおふたりが最近ハマっていることについて聞いてみた。
『スクミュ』はドキュメンタリーのようなもの
― 『スクミュ』は初演からわずか1年ちょっとしか経っていないにもかかわらず、今回で3回目の公演ですね。この作品のどんなところが愛されていると思いますか?
堀内:私が演じるルリカちゃんは、理事長の娘らしく、しっかり勉強して穏やかに暮らすことを美徳とされているんですけど、どうしようもなくスクールアイドルに惹かれるんですね。憧れのアンズちゃんに出会って、勉強とアイドルを両立している彼女に強い刺激を受け、アイドルを目指すんです。平凡な毎日を過ごす女の子が自分の気持ちに素直になることで、物語が動き始めます。そんなシンプルだけど圧倒的に熱いストーリーと、メンバーの心情と完全にリンクした楽曲が、見てくださっているみなさんの共感を呼ぶんじゃないかなと思っています。
関根:見に来てくださる方には、“本当に自分がやりたいことをやることの大切さ”を受け止めていただけているんじゃないかと思います。それが、ミュージカルという表現形式だから、よりドラマチックに伝わるのかもしれませんね。舞台上のセット、衣装、音楽、振り付け、歌、会場の空気でもキラキラ感を体感できて、『ラブライブ!シリーズ』に馴染みのない方でもスッと入って楽しんでいただけると思います。
― 演劇って、「よく観に行く人」と「観に行ったことがない人」に分かれますよね。まだ演劇を観に行ったことがない人に向けて“生の魅力”をお話しいただけますか?
堀内:私たちが演じているのは台本のある物語ではあるんですけど、私は、出演者の一人ひとりが全身全霊でメンバーになりきって、その役のまま舞台上で生きている“ドキュメンタリーのようなもの”と言っていいと思います。なので劇場に巻き起こるエネルギーは、その場にいた人だけが感じられる特別感があると思います。
関根:劇場って、多くのみなさんにとって非日常を味わえる場所で、でもそこで私たちが作り出す作品の世界に没入して感情移入することで、同じ空気の中で“一緒に生きる”ことができるのが、生のステージの魅力だと思います。そんななかでも、とくにこの作品はすべてがキラキラしていて、難しいことを考えることなく見たことのない世界に連れていってくれるはず。まだご覧になっていない方も1回劇場で体験してみると、忘れられない感覚が味わえると思います。
異色の『ラブライブ!シリーズ』がラブライブ!のファンにも愛される理由
― 『ラブライブ!シリーズ』は2次元のメンバーと楽曲があって、PVが作られアニメになってライブへ……という展開が今までは普通でしたが、『スクミュ』に関しては、このミュージカルからのスタートです。ミュージカルとしてはもちろん、『ラブライブ!シリーズ』の一作として受け入れられる自信はありましたか?
関根:『スクミュ』の稽古が始まったときに、「みんなで『ラブライブ!シリーズ』の世界観や魅力を失わないようにしよう」っていう共通認識をもって取り組んだんです。
― “魅力”というのをあえて言葉にすると……?
関根:「キラキラ」です(笑)。そして、「スクールアイドル」という要素。みんなそれぞれいろいろ思い悩むけれど、まとまってひとつになってやりたいことを推し進めていくという世界観は、『ラブライブ!シリーズ』のどの作品にも共通してあるものなので、そこを一貫してきちんと表現できていると思います。出演者全員、『ラブライブ!シリーズ』が大好きなので。
堀内:はい。だから表面的なことではなくて、根っこの部分を理解して、そのうえで何回もアニメを見て、ライブに行ってゲームして……。みんなそれぞれの推しについて、「なぜ好きなのか」「どんなところが好きなのか」を振り返って考えて、出演者のみんなが本当に細かくそれぞれの『ラブライブ!』観を持っているんですよ。そんなみんなの思いがお客様に伝わっていたらうれしいですね。
― これまでの公演と今回の公演で、何か違う点はありますか?
関根:ストーリーはまったく同じなんですが、今回はメンバーの多くがダブルキャストになったんです。演じる人が変わると舞台の空気感も変わるので、演じる私たちはもちろん、お客様も過去とは全然違うものが観られると思います。
堀内:そこが舞台の面白さでもありますよね!
観客と一緒に盛り上げる文化祭&後夜祭スペシャル公演
― 今回は、本公演とは別に『スクールアイドルミュージカル』~文化祭&後夜祭スペシャル公演~というプログラムもありますが、どんな内容ですか?
関根:秘密です(笑)。本編にも「カーテンコールスペシャルステージ」というコーナーがあって、本編の上演中には使用をお控えいただいているペンライトを使ってお客様にも参加いただくことができるんですが、文化祭&後夜祭スペシャル公演はそのコーナーの拡大版というイメージですね。
― 新曲のお披露目やさまざまな組み合わせでの歌唱披露という“後夜祭”ならではの内容になっているとか……?
堀内:キャラクターの特徴が生かされた楽曲やキャッチーで楽しい曲もあれば、めちゃめちゃカッコいい曲もあって……。
関根:幅広い層のみなさんに楽しんでいただける公演になると思います!
堀内:ライブのように構成される公演ですので、みなさんもペンライトやうちわで応援していただけたらと思います。また、メンバーの個性を知ってからのほうが数倍楽しめると思いますので、本編をご覧になった方は、ぜひ改めて観に来ていただきたいですね。
『スクミュ』のふたりが“好きを極める”
― さて、今回の会場の「THEATER MILANO-Za」ですが、足を運んだことは?
堀内:私は舞台『パラサイト』を観ました。非常に感動しましたし、そのとき「立ってみたい劇場がまたひとつ増えた」と思ったんです。今回その舞台に立てることになって、純粋にうれしいです。
― 劇場の印象はいかがでした?
堀内:天井が高くて開放感があるのに、舞台にはグッと入り込めてお芝居の世界の一員になれたような臨場感がありました。あの舞台で『スクミュ』の世界を表現できるのは本当に幸せだな……。
― 「東急歌舞伎町タワー」は行かれました?
ふたり(ユニゾンで):行きました!
関根:新宿にあんなに大きな施設が新しくできるということにまず驚きました。3階のゲームセンターがすごくて! すごくキラキラしていて、シックでゴージャスなところと、雑多なところが共存していて、とても新宿っぽいけど新宿っぽくないなあって思いました。
堀内:外から見たらビルのデザインがすごくカッコよくて、エスカレーターを上っていってガラス越しに見える新宿の街並みがすごくキレイでした。あんなアングルで新宿を見たことがなかったので、ちょっと感激しました。
― そんな「東急歌舞伎町タワー」ですが、“好きを極める”というコンセプトです。ここまでのお話で、おふたりが『ラブライブ!シリーズ』や舞台、ミュージカルがお好きなことはよく分かりました。それ以外に今、“極めたい好き”って何かありますか?
堀内:私はチーズナンです。いろんなお店で食べ比べてます。まずは、圧倒的なビジュアルの良さ!(笑)。細長いナンに比べて、チーズナンは丸かったり三角だったりするフォルムが素敵です。それで、真ん中には溢れんばかりのチーズが入っていて、かじりついた瞬間にはチーズの海に潜り込んだような感動ができるので、ぜひみなさん食べてほしいです!
― では、関根さんの“好き”はなんですか?
関根:今は鍋ですね。お出汁パックを大量にいただいたので、とにかくお鍋を作って食べています! せっかくなら、いろんな種類を作りたくてレシピ検索して実践してるんですが、結局はポン酢で食べるシンプルな鍋に戻ってきちゃいますね。あと、ちょっと疲れたときはキムチ鍋。私は雑炊が大好きで、もはや雑炊のために鍋をしていると言ってもいいぐらい(笑)。鍋って冬の特権じゃないですか。鍋を食べるとそれだけ冬を楽しめる気がするんですよね。
……と、こんなチーズナンマニアと鍋将軍のふたりが全身全霊を込めてスクールアイドルを演じる、ストーリーにしてドキュメンタリーなミュージカル。ふたりのキャラがわかれば、一層興味が出てくることだろう。『ラブライブ!』が好きなみなさんはもちろん、ミュージカル未体験のあなたも、ぜひとも劇場へ。
THEATER MILANO-Za公式サイトにてその他のエピソードも含めた記事公開中▼
『スクールアイドルミュージカル』
公演日程:2024年1月11日(木)~19日(金) ※17日(水)は休演日
『スクールアイドルミュージカル』~文化祭&後夜祭スペシャル公演~
公演日程:2024年1月20日(土)・21日(日)
会場:THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
チケット料金:SS席14,000円 / S席11,000円 / A席8,000円 / Aバルコニー席7,000円 / B席5,000円 / 学生応援席3,000円(いずれも税込)
お問合せ:インフォメーションデスク
主催・企画制作:バンダイナムコフィルムワークス / バンダイナムコミュージックライブ / アークスインターナショナル
チケット販売:イープラス / チケットぴあ / ローソンチケット
URL:OFFICIAL SITE / THEATER MILANO-Za
文:武田篤典
写真:坂本美穂子