新・歌舞伎町ガイド

エリア

FOLLOW US:

PassCode 2ndワンマンは新宿BLAZE。武道館へ向かうPassCodeの“原点”への思いと3rdアルバムの手応えを聞く。

歌舞伎町

インタビュー
アイドル 音楽
DATE : 2020.12.23
2022年2月に日本武道館公演を発表したPassCodeがMASH UP! KABUKICHOに登場。
2015年、PassCodeのインディーズ時代、2ndワンマンライブを新宿・歌舞伎町のライブハウス新宿BLAZEで行い、以後、さまざまなタイミングでパフォーマンスしている。
思い入れのある新宿BLAZEに来るたびに自分たちの成長を感じ、スケジュールの合間には新宿散策も楽しんでいたようだ。
2020年12月23日にはメジャー3rdアルバム『STRIVE』を発表。ライブで鍛え上げた表現力を遺憾なく発揮した傑作に仕上がっている。さらに待望の武道館ライブの詳細も発表され、今後の活動から目が離せない。
完成したばかりのアルバムの手応えと歌舞伎町にまつわるエピソードをメンバーの南菜生、高嶋楓、大上陽奈子の3人に聞く。

思い入れのあるライブハウスが残っていることは有り難いこと

高嶋楓(左)、南菜生(中央)、大上陽奈子(右)

 現在はファンクラブ限定の「Linkage First Tour 2020」の真っただ中ですよね(取材日は11月25日)。その中に新宿BLAZE公演も組み込まれていますが、ライブハウスに対する思い入れというと?

南:新宿BLAZEは(インディーズ時代)2ndワンマン(2015年4月5日「TRIAL of NEXTAGE」)をやらせてもらった場所で。そのときは自分たちがどうすればいいのかも、まだ分からない時期でしたからね。その当時よりもグループとして大きくなり、今回のFCツアーでまたワンマンができるのはすごく嬉しく思います。当時、結構ターニングポイントになってますからね。今、ライブハウスがどんどんなくなっているので・・・思い入れのあるライブハウスが残っていることは有り難いことだなと。今年はそれに改めて気づかされた1年でした。

高嶋:メジャーデビュー以前に今とはまた違うメンバーですけど、「オレンジ」という曲のMVを撮ったのも新宿BLAZEなので思い入れはありますね。

ー 新宿BLAZEでやるたびに自分たちの成長も再確認できます?

南:それはありますね。

全曲を通して聴くと、バランスのとてもいいアルバムだなと

ー では、今作の話に移りたいんですが、これは間違いなく最高と言える出来映えです。楽曲に込められた熱量、密度、濃度は前2作を優に超える完成度だなと。まずは作り終えた手応えから聞かせてもらえますか?

南:私たちも出来上がったものを昨日初めて聴いたんですよ。激しいアルバムかなと思ったけど、全曲を通して聴くと、バランスのとてもいいアルバムだなと。これまでのシングルがメロディの良い曲が多かったけど、作品トータルだと、こういうバランスになるんだって。だから、アルバムを通して聴いてほしい作品ですね。

ー 高嶋さんはいかがですか?

高嶋:ライブがなかなかできない状況なので今回はファンの方の期待も大きいと思うんですけど、その期待に応えられるアルバムになったと思います。全曲ライブで映えそうな曲ばかりだし、またライブが思うようにできるようになったら、こういう風に表現したいなって、いろいろ想像できる作品になりました。

ー 5月に発売したシングル「STARRY SKY」がオリコン・ウィークリー・チャート1位を獲得して、PassCodeに追い風が吹く中で今作のリリースになりました。少なからずプレッシャーは感じました?

高嶋:プレッシャーというより、ファンの人に楽しんでほしい気持ちの方が強かったです。今できる最高のものを全部詰められたらと思い、レコーディングに臨みました。

ー 活動が制限された分、倍返ししてやろうぐらいの気持ちで?

高嶋:してやりました。

南:もうしたんかい(笑)!

ー 大上さんは?

大上:私はやっと完成したなって。レコーディング段階では未完成なので、どんな曲になるんだろうって、想像がつかない部分もあったんですよ。ここはこんな風にアレンジされるんやって思うところもあったし。あと、メンバーの表現の幅もさらに広がったんじゃないかと。

ー それは思いました。歌の表現力は格段にレベルアップしてますよね。

大上:『ZENITH』(前々作)、『CLARITY』(前作)と続き、ドンドン上がっているなと。だから、平地さん(プロデューサー)がいろんな曲を作っても、メンバーも適応できるのかなと。

南:ライブができない状態が続いて・・・今ライブをやるなら、ゆったりした曲やバラードの方が聴きやすいかもしれないけど。そうじゃなくて、PassCodeのライブはファンの歌声と共に育ってきた曲ばかりなので、今作もシンガロングができるパートが多いんですよ。日常が戻って、昔のようにライブできるようになったときに、この曲たちが二度目の完成を迎えるのかなと。

ー まずは前半5曲目(「Yin-Yang」)までの流れがとんでもないことになってます。本当に息の根を止められるんじゃないかと思うほどのヘヴィさです。

全員:ははははは。

南:このままライブできるような並び順ですからね。自分たちでもこの曲順でライブしたら、凄いことになりそうだなと。会場のテンションもマックスに持っていけるんじゃないかと。

ー 6曲目「ATLAS」のイントロが流れたときはホッとしました(笑)。

南:はははは。そこもバランスが取れるようになったんでしようね『ZENITH』は攻めて攻めて!って感じでしたけど、今作もPassCodeらしさあるけど、また新しい雰囲気のアルバムになったと思います。

ー 前作『CLARITY』はポップパンク風味の「THE DAY WITH NOTHING」、Jポップ・シーンとも互角に渡り合える「horoscape」みたいな曲もあり、PassCodeの横軸を広げた作風でした。今作は前2作品を踏まえた上で全ベクトルに磨き上げられた内容だなと。

南:そういう風に感じてもらえると、嬉しいですね。

ー 実際、今作の歌入れは相当大変だったんじゃないですか?

高嶋:めちゃムズでした。

大上:2曲目(「Majestic」)とかな。

ー 今作の中で「Majestic」は個人的に一番好きです。

高嶋:一緒です(笑)。この曲を初めてきいたときは展開が多すぎるし、英語もギュッと詰まっているんで、今どの部分を歌っているんやろうって、覚えるのは一番大変でした。

大上:頭で一度記憶しても、それを口に出せなくて(笑)。レコーディングまでに完璧にするのが大変でした。みんな口に馴染ませるために、ずっと移動中も歌詞をブツブツ言ってました。

南:PassCodeは難しい曲にもいろんなベクトルがあって。速くて英語をハメるのが難しい曲、キーが高くて歌うことが物理的に難しい曲もあり、これはその2つがギュッと詰まっていたので大変でした。でも以前よりは難しい曲が来てもできるようになったんですよ。少しずつ、やれることが増えているんだなと。

ー 「Majestic」はオリエンタルなメロディも印象的ですが、イントロの歌のハマリも新鮮でした。

高嶋:ですよね。仮歌ではコーラスがなくて、完成形を聴いたときにイメージがまたガラッと変わりました。

南:勢いがさらについた感じがしました。お客さんが歌える時期がきたら、大合唱が起きて、またすごい曲になるんじゃないかと。

ー あと、「Shedding tears」、「Seize Approaching BRAND NEW ERA」も歌の表現力が豊かですね。言葉を吐き出したり、伸ばしたりと、いろんなアプローチを試みているなと。

南:プロデューサーの平地さんがレコーディング指導してくださるんですけど、メンバーによって求めるものが違うので、1曲の中に多彩な声色が詰まっていると思います。上手に歌うよりも、もっとクセや勢いを出してほしいという注文が多いんです。

大上:最近はそっちを意識した方がいいのかなと。『ZENITH』の頃は上手くないからこそ、上手く聴かせたいと思っていたんですけど。聴いて気持ちいいのは自分のやりたい方向で歌っていたり、自分の個性をちゃんと活かした方が聴いている側にもスッと入るのかなと。

南:みんな歌に対して恥じらいがなくなったのかもしれない。以前はかっこつけたい気持ちが強かったけど、最近は楽曲を良くするためなら、上手い、上手くないじゃなく、曲の一部となって、パートを活かすような歌い方をしようと。

やっぱりみんなの声をライブで聴きたいですね

ー 前半5曲目まではラウド・ロックの軸を太くしつつ、後半にはホールや大きな会場で映えそうな楽曲も用意されています。特に「Anything New-PrayInTheSky Edit-」、「yours」の2曲の流れも今作の大きな聴き所ですね。

南:「Anything New~」はライブでも披露しているんですけど、やっぱりライブ映えする曲だなと。曲名に”-PrayInTheSky Edit-“と付いているのはファンの方からシンガロングの部分を募集して、音源にする企画をやっていたんです。それで自分たちも明るい未来が見えてくる曲になりました。もともと出した配信シングルよりも、みんなの気持ちが入ってますからね。

大上:この曲を聴いたら、余計にみんなと一緒に声を出せるライブが待ち遠しくなって。

高嶋:うん、やっぱりみんなの声をライブで聴きたいですね。この曲もライブで育てていきたいなと。

ー ラウドな側面だけではないPassCodeをもっと魅せていきたい気持ちもあります?

南:いままでいろんなタイプの楽曲を出してきて・・・今はどんな曲をやってもPassCodeだ!と言い切れるようになったんです。『CLARITY』を出した頃は「PassCodeっぽくない曲だけど・・・」みたいな気持ちがあったんですよ。でもライブをやるごとに幅が広がってきたから。「Anything New-PrayInTheSky Edit-」も確かに新しい感じがするけど、いきなり新しいものをやっている感覚はなくて。自分たちも素直に受け入れられるし、ファンの方も今回はこういう感じのPassCodeなんだって感じてもらえるかなと。

大上:「ATLAS」も新しい感覚があったけど、ライブでやるうちにお客さんにも馴染んできたし。「STARRY SKY」を出してからの「Anything New-PrayInTheSky Edit-」なので、違和感なく受け入れてもらえたのかなと。

ー 「yours」は純粋に曲の良さで勝負したシンプルな曲調ですよね。

南:唯一のバラードですけど、もともと「オールナイトニッポン0(ZERO)」の企画で私が作詞するコーナーがあって、サビのメロディだけをいただいたんです。もしアルバムに入ったら面白いよねという話をしてて、最初に曲を聴いたらポエトリー・リーディングだったので、ちょっとビックリして。どう歌詞を付けていいのか考えたけど・・・「yours」はいいフックになっていると思います。ホッとしたいときや、心が疲れたときにPassCodeの曲を聴いて、一息ついてもらえたらいいなと。

ー そういう意味でもバリエーション豊かな楽曲が揃いましたね。激しく焚き付ける曲もあれば、聴き手にそっと寄り添う曲もあるという。

大上:こういう曲調を歌えるようになったことも嬉しくて。前半5曲のテイストしかできないグループのままだと、聴く方もしんどいと思うから。より多くの人に聴いてもらえる内容かなと。

南:メンバーがもともと激しい音楽を聴くタイプじゃないので。「horoscope」を作詞させてもらったときに、ほかのメンバーがすごく好きだと言ってくれて。バラードを入れるのは自分たちへのご褒美というか。激しい曲も好きだけど、メロディがキレイなバラードを歌えるようになったのも成長ですね。

ー 観客がケータイのライトを照らす光景が見えてきますよ。

南:それいいですね! 「horoscope」でいつかそれをやりたい。今、すごく絵が浮かんできました。PassCodeでそういうことをやろうと考えたことがなくて。私たちのライブは激しいので、ケータイをロッカーに預けている方も多いから。それもできるやん!って腑に落ちました。昔はそんなことを想像さえしなかったから。できることがたくさんあるのは嬉しいですね。

PassCodeが2ndワンマンを行った新宿「BLAZE」とすぐ隣りに建設中のエンタメ複合施設 “新宿TOKYU MILANO再開発計画”(写真:編集部)

ー 本当に素晴らしい作品ができたと思います。そして、冒頭で新宿BLAZEの話を窺いましたけど、現在は歌舞伎町で再開発が行われていて、映画館、劇場、レストラン、ホテル、ライブホールなどを含む複合エンターテイメント施設が2022年にそれこそ新宿BLAZEの真横に建設されることになっているんです。

南:(パンフレットを見ながら)凄い!こんな風になるんや。

高嶋:ここに泊まりたいなあ(笑)。

南:新宿BLAZEの会場に近いからでしょ! 楽しみですねえ。

新宿ゴールデン街に興味があるんです。一度だけ近くをウロウロしたことはあるんですけど

ー みなさんの中にある歌舞伎町のイメージというと?

南:遠征してくる場所、ライブに行く場所というイメージが強いですね。あと、新宿だと、おいしいものをたくさん食べれるし、遊びに行く場所も多いので、ホテルが新宿だったらいいなって。

大上:街にいる人たちがすごく楽しそうやなって。新宿ゴールデン街に興味があるんです。一度だけ近くをウロウロしたことはあるんですけど。今度一緒に行こう?

南:もう歳を取ってきたからね。

ー まだ若いじゃないですか。

南:初めて新宿でライブをした頃は私と大上は10代だったので、大人の街というイメージが強かったんですよ。今は自分も混じれる年齢になってきたから。

高嶋:歌舞伎町は大人の遊び場というイメージがあったけど、自分たちも楽しめる場所だなって。あと、歌舞伎町と言えばローランドさんで・・・。

ー ホストのローランドさんのお店(「THE CLUB」)は歌舞伎町にありますからね。

高嶋:一時期、展示会にも行こうと思ってて、素敵な方だなと。歌舞伎町に行くたびにローランドさんいるかな?って。

ー 普通にファンじゃないですか。

高嶋:ははははは。

南:(高嶋)楓は新宿に行ったら、毎回つるとんたんを食べたいと言うんです。初めて食べたのが新宿店で、大阪にもあると思うんですけど。

高嶋:つるとんたんは新宿のイメージが強くて。

南:あと、クレープやタピオカとか売ってるじゃないですか。ライブの合間に何かおいしいものを食べられる場所みたいな認識です。

新宿BLAZEの近くにゲームセンターもあるので、一時期UFOキャッチャーにハマってました(笑)

ー 散策もするんですか?

南:します! 新宿BLAZEの近くにゲームセンターもあるので、一時期UFOキャッチャーにハマってました(笑)。

大上:南はしっかり2個ぐらい持って、新宿を歩いてましたからね。

南:大人になってからのUFOキャッチーは楽しくて。子供の頃は3回までという感じだったけど、今はお金にものを言わせて、10回、15回やれば必ず取れますからね。大人になってからのUFOキャッチャーは最高やなって。

ー ははははは。

大上:歌舞伎町は遊べる場所が多いイメージですね。バッティング・センターにもハマってました。

高嶋:行った、行った!

南:バッティング・センターの中に瓶のコーラがあるんですよ。あまり飲める場所がないので、新宿に泊まったときは瓶のコーラを飲みに行ってます。あと、磯丸水産に行ったときにお財布を持ってなかったメンバーがいたんですよ。歌舞伎町だと幼く見えるみたいで、年齢確認がいりますと言われて、入れなかったんですよ。

ー えっ、そんなこともあるんですね。

南:悲しかったです、大人っぽくないんだなって(笑)。

ー では、最後になりますが、PassCodeとしては2021年に日本武道館公演をやる予定になっていましたが、コロナ禍の影響もあり、2022年にスライドしました。武道館に対する思いを聞かせてください。

南:今年1月に2021年に日本武道館をやります!と宣言して・・・その後に予想もできない未来が待っていて、このままどうなるんだろうという不安もあったんですよ。2021年という約束は守れなかったけど、2022年に武道館をやることが決まったので。みんなとの約束を守れることに安心して・・・良かったなと。2020年は普段できない座席指定のライブをやったり、その時期があったからこそ、武道館があるんだと思えるようにしたくて。そのためにはもっと自分たちのライブを磨いて、仮に声を出せなくても、座っていても、ステージを観ているだけで楽しめるグループになりたいなと。以前はお客さんの盛り上がりに甘えて、頼っていた部分もありましたからね。いろんな改善点が見えてきたので、2020年があったから、こういうライブができているんだぞ!と言えたらいいですね。

ー 南さんはとてもポジティヴ思考ですよね。

南:もともとはすごくネガティヴなんですよ。『ZENITH』の頃はなめんなよ、ムカつく!みたいな気持ちが強かったけど。いろんな人にお世話になって、PassCodeが自分たちだけじゃないと思える瞬間がたくさんあったんですよ。だから、自分たちが最前線でPassCodeというものを誇れる人間でいなきゃダメだなと。

大上:横で見ていても1、2年で前向きになったし、丸くなったなと(笑)。いろんな人の意見を取り入れるようになったなと。

南:ファンの方にも恩返ししたいし、武道館でやっとそれを返せるんじゃないかと。ありがとう!という言葉よりも、行動で示した方がいいと思うので。自分たちが武道館に立てるという喜びもあるけど、それ以上に応援してくれたファンや、支えてくださってるスタッフが喜んでくれる日になればいいなと。

高嶋:もう全部言ってくれました。こういうインタビューで南の話を聞いて、自分もそう思っていた!と感じることが多いんです。いろいろ気付かせてくれて、ありがとうございます。

南:ははははは。

アルバム紹介

「STRIVE」

初のオリコンウィークリーシングルチャート1位獲得曲『STARRY SKY』を収録したPassCodeのメジャー3rdアルバム!
アルバム情報
「SPEAK IGNITON」特設サイト
武道館特設サイト

 

PassCode

バンドサウンドをベースにスクリーモ・メタルコアなど変幻自在の楽曲群を擁し、シャウト・スクリーム が異彩を放つPassCode。2016年メジャーデビュー。数々の大型ロックフェス出演を果たし、本格志向のロックファンからアイドルファンまで幅広い支持を獲得する。2020年1月、新木場スタジオコースト2DAYSで完全ソールドアウトを果たし、同年5月、ニッポン放送「オールナイトニッポン0」に初登場。そして東海テレビ・フジテレビ系全国ネットオトナの土ドラ「隕石家族」の主題歌に抜擢されたメジャー6thシングル『STARRY SKY』がオリコン週間シングルチャートで自身初の1位を獲得した。
PassCode Official
Site
Twitter
YouTube
Instagram

 

文:荒金良介
撮影:大庭元

こんな記事もおすすめ