新・歌舞伎町ガイド

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今だからこそ楽しく馬鹿馬鹿しく景気よく!! ギラギラな歌舞伎町と相性“グンバツ”なベッド・インの10年

歌舞伎町

インタビュー
音楽
DATE : 2022.05.20
鬱々とした世相を切り裂くように、ゴージャスでポジティブなバイブスを振り撒きバブルを体現しながら活動している“地下セクシーアイドルユニット”ベッド・イン。結成以前からそれぞれのバンドでキャリアをスタートさせ、バブルのみならずアンダーグラウンド/サブカルチャーもバックグラウンドに持つ益子寺かおり、中尊寺まいの二人は、プライベートも含めて歌舞伎町との関わりが深いという。今年結成10周年の節目を迎え、アルバムリリースとツアーを控えたベッド・インのこれまでとこれからを、景気が良すぎる写真とともにお届けする。
左:益子寺かおり(ボーカル、おみ足担当) 右:中尊寺まい(ギター&ボーカル、パイオツカイデ~担当)

歌舞伎町で体験したキリキリしたライブたち

— 普段から歌舞伎町にはよく来ているそうですね。

かおり:今も昔も、しょっちゅう来てますね~♡

まい:20代はよく飲み歩いてましたね〜!!

かおり:特にガラスの二十代の頃は、よくバンドマンに優しい値段のお店でゴックンしてましたね~! 「めだか」(日によって生ビールが120円の激安居酒屋)とか! バブルとは対極ですけど(笑)。

まい:アゲウチ(=打ち上げ)だと、「上海小吃」(歌舞伎町の路地裏にある老舗中華料理店)で夜更かし中華して朝までコース、元気びんびん物語でしたね! ゴールデン街にも遊びに行ったし、今でも知り合いのお店にはたまに顔を出しますヨ♡

かおり:歌舞伎町は火鍋屋さんがすごく多くて、このエリアに6店舗くらいあるんですよ。私、火鍋がスキスキス~なんで、今でもよく行ってます♡ そしてDAISUKI! なプロレスの聖地「新宿FACE」! プロレス観戦後にシースー食べて、ロックバーに流れるのがお決まりになってます♡

まい:「番番」(昭和51年から続く酒場)も渋くてDAISUKI! いまだによく行きます〜♡

— バブルというテーマはありつつも、お二人は昭和から続くサブカルチャーにも精通されてますよね。「サブカルチャーの街」と呼ばれてた下北沢や高円寺も姿を変えていく中で、そういった雰囲気が残っているのは、実は歌舞伎町くらいなのかもという気もします。

まい:確かにそうかもしれませんね。私、「サブカルに優しいサブカル」はあんまりスキスキス〜じゃないんですよ。レトロを放っておいてほしい(笑)。

かおり:わっかるぅ~! サブカル臭を出さずに、オジ様たちがナチュラルに集まっているような場所であればあるほどいいよね! 文化遺産よろしく、当時の姿のままでそこにあって欲しいし、当時のままの空気を全身で感じたい……!

まい:「寄せなくて大丈ブイだから! そのままでいて!」って思っちゃう。

かおり:歌舞伎町はナウくて新しいお店も昔からのお店も両方あるから、素敵ですよね♡

まい:渋谷とか、原宿の駅とか、あそこまで変わっちゃうと萎えちゃうんですよ。駅前でどうしていいかわからなくなっちゃうんですよね。ここら辺のラブホとか、全然変わらないじゃないですか?

かおり:DA.YO.NE~! レトロで素敵なラブホもいっぱいあるんですよ~♡

— 「もう少し綺麗な方がいいのでは?」っていうのが何軒もありますね。

かおり・まい:でも、そこがいい!

— 歌舞伎町近辺のライブハウスに初めて出演したのはいつごろですか?

かおり:ベッド・インを結成する前ですね。私はベッド・インとは別に学生時代から「妖精達 」というバンドもやってるんですけど、そのバンドで「新宿motion」に出演したりしてました。

まい:私もベッド・インの結成前の「かたすかし」「例のK」というバンドではmotionでヤってましたね。motionで当時のバンドメンバーがバイトしていたのもあって。あと、当時新宿にあった「LIQUIDROOM」にもよく行きました。高校生のころセーラー服でゆらゆら帝国を観に行ったり、Waiveのライブに行ったときは途中で停電になったんですよ。7階の真っ暗な会場で「これは下手したら死ぬな……」と思ったのを強烈に覚えてます(笑)。

かおり:私も学生時代、ドキドキしながら「新宿LOFT」にMINOR LEAGUE、yellow machinegun、kamomekamome、WRENCHとかを観に行ってました。当時ハードコア・キッズだったので、黒いパーカーにハーフパンツで、1人で「おっしゃ闘うぞ!」って気持ちで観に行って、毎度フロアで激しいモッシュとダイブで生きるか死ぬかみたいなヒリヒリ感を味わっては、「今、生きてる!!」って実感して!(笑)。命がけの戦いっていう感じ、まさに青春でしたね~!

まい:LOFTで観た鉄アレイと奇形児、愚鈍も衝撃的にかっこよくて記憶に残ってるなぁ。ライブハウスにキリキリした雰囲気が残ってて、そういうのも含めて憧れてました。

かおり:だからベッド・インで初めてLOFTのステージで「おギグ」(ライブのこと)が出来たときはマンモスうれPかった〜!

まい:リハの時、あの市松模様の床に感動したりして!(笑)。

— そういったイカついライブを観てきたベースがあるからか、ベッド・インのライブにも真剣勝負のオーラがありますよね。喧嘩腰なわけじゃないし、すごく楽しいんですけど、「絶対に勝つ!」という気合を感じます。

かおり:二人とも根本にパンク精神があるので、自然と闘魂が疼いてしまうのかもしれないですネ! 「ステージは闘い」って感覚。でも人に向けた闘争心ではなくて、「その日のライブに勝つ!」って感覚に近いかな♡

まい:ライブハウスはそういう場所だと思って学生のときから通ってるんで、自分たちがステージに立つときもそうなるんですかね〜。誰かと戦ってるわけじゃなくて、自分と戦ってる気持ちなんですけどね。

初期ベッド・インは「メイド・イン・歌舞伎町」

かおり:おギグ以外だと、2016年にリリースした『RICH』っていうアルバムのジャケットとアー写を歌舞伎町の一番街の入り口のアーケードと、ホストクラブ「愛 本店」の中で篠山紀信先生に撮っていただいた、夢がMORI MORIな思い出がありますね♡

歌舞伎町の一番街の入り口にてPhoto by篠山紀信

まい:とにかくギラギラした写真にしたいってことで、歌舞伎町になったんですよ。「愛 本店」の内装がとんでもなくギラついてて。

かおり:新宿のギラギラしてるイキフン、ベッド・インと相性グンバツだったよね~!

まい:私たちはネオン感があるからね。

かおり:ウチら自身が歩くネオン、みたいな~♡

— 今日の撮影中も歌舞伎町のネオンを凌駕してました(笑)。

まい:あと、ベッド・インと一番ゆかりがあるのは「新宿サブナード」(JR新宿駅から歌舞伎町方面に広がっている地下商店街)ですね。

かおり:そう! 私たちがボディコンをGET WILDしていた聖地♡

まい:結成当初、ベッド・インの衣装をサブナードでよく探してました。あそこには時が止まってる一角があるじゃないですか(笑)。今のキャバ嬢が絶対に着ないような服が売ってるんですよ……!

— 確かに「これは誰が買うんだ……?」という商品が並んでる洋品店もありますね。

まい:そういうのをウチらが買ってるんです(笑)。

かおり:あとは、歌舞伎町の手前のオカダヤさん(アーティスト御用達の総合手芸材料専門店)とかも、当時からZUTTOお世話サマーになってます♡ 昔はセクシーなコスチュームを売ってる姉妹店舗とかもあったんですヨ。

まい:C.C.ガールズさんたちのようなハイレグ水着や、蛍光の水着なんかに憧れてましたけど、当時はAmazonもなかったし。二人ともそれぞれバブルっぽい服は持ってたんですけど、衣装となると色違いのお揃いが必要だったりするんで、なかなかないんですよ。

かおり:ファースト写真集『Bed In』(2013年に自主制作で発表)で着てる衣装はほぼサブナードで買ったんじゃなかったかな? もう「メイド・イン・歌舞伎町」と言っても過言じゃないくらいよね♡

まい:ディスクユニオンのパンクマーケットだけが取り扱ってくれた、伝説の写真集ね!(笑)。

マル金パパと一緒にバブル体験

— 今年で結成10周年を迎えられました。

かおり:最近振り返る機会も多いんですけど、最初はただ純粋にバブル文化が好きっていう気持ちだけで、趣味で「バブルごっこ」から始めたんですよ。本格的に活動していくつもりもなかったし。それがまさか10年も続いて、性徒諸クン(=ファンの呼び名)にこんなに応援してもらえるなんてクリビツテンギョー! ただ、自分たちの意思でヤリたいことを、セルフプロデュースで自由にヤル、というポリシーは結成当初からZUTTO変わらないですね。それを面白がってくれたり、共鳴したり、応援してくれる人たちがいてくれたおかげで、今のベッド・インがあると思ってます!

— 生活の中心がベッド・インになったタイミングはどこだったんですか?

まい:大人が関わってきてくれたときですかね。それまでは目の前のことを楽しんでやっていただけなんですけど、それを面白がってくれるマル金パパ(=支援者)な大人が現れて♡

かおり:2014年くらいですかね。それくらいの時期に一気に何社かの事務所さんが「ウチに所属しませんか?」とポケベルを鳴らしてくれて、「おやおや、これは真剣に考えなきゃいけないぞ⁇」って(笑)。それまでは本能のままに、うれしい! たのしい! 大好き!って気持ちだけで駆け抜けちゃってたので……☆

まい:「どうする〜〜〜〜⁇」って。それまではアーパーでしたね(笑)。

かおり:「ミラクル珍事起きちゃった!」ってね(笑)。音楽をメインにやっていくのか、芸能メインの方向にいくのか、カルチャー的に活動していくのか、それぞれのやり方を提示してくれた三つの事務所さんが声をかけてくれたんです。キャッキャ楽しみつつも、手はヌケない気質なので、それまでも一つひとつ真剣にやってはきたけど、具体的な活動の方向性については、その時初めて向き合いましたね。

— テレビのバラエティ中心に活動する可能性もあったんですね。

まい:100%…SOなんですよ! 自分たちでは今まで考えたこともなかったことだったんで、二人で真剣に考えたよね。

かおり:考えた結果、ルーツや根本にある「バンドマン魂」が無くなったら、私たちじゃ無くなっちゃうよねって気づいて。「大事MANにしてきた音楽に真摯に向き合える」「自分たちの意思でヤリたいことを叶えていく、セルフプロデュースでの活動」、このふたつだけは絶対に譲れないと。そこからより音楽やおギグを主軸に置きつつ、他にも面白いことやっていけたらいいよね、というスタンスになりました。バックバンドのパートタイムラバーズとも試行錯誤しながら、夜な夜なおセッションして……♡

— そこで音楽がベースにあることを確認したことが、「ベッド・インなら何やってもブレない」という信頼感に繋がっている気がします。

まい:そう言っていただけると、マンモスうれPです♡

— 10周年を記念したアルバムを制作するために行われたクラウドファンディングでは、当初の目標を大きく上回る1,200万円以上の支援が集まりました。

かおり:おかげさまで約4年半ぶりのフルアルバムを発射することができます♡ ご支援してくださったみなさま、本当にサンクスモニカでございます! もう本当に「これがモノホンのバブルか!!」って、自分たちが一番ぶっとびぃ~ッ!でしたよ!

まい:やまだかつてないバブル経験したって感じ!!(笑)。

かおり:ほんと、こんなにミツグ君してもらえるなんて……タマランチ会長ぉ~! 私たちはバブル文化に憧れてるけど、実際に経験したことはなかったので(笑)。

まい:基本的にはバンドマンの生活ですからね(笑)。

かおり:ディスコよりもライブハウスでの生活でしたから!(笑)。

— 経験してないからこその憧れですよね。

かおり:世代的にも親がバブル世代なので(笑)。そんな中で、初めて目にしたバブリーな数字! こんなにたくさんのマル金パパがズッポシご支援してくださって……バナナの涙……!!

まい:見るたびに(支援金の)数字が上がっていくんですよ。毎日二人で震えました!

— バブル真っ只中で土地を持ってた人も、毎日上がる地価を見て震えてたかもしれないですね(笑)。

かおり:まさにそれに近い感覚かもしれないですね! マル金パパのみなさまも「クラウドファンディング・ハイになってる!」って言ってましたネ(笑)。

まい:性徒諸クンも10周年のお祝いが重なって「金使わせろー!」みたいな空気感で(笑)。本当にありがたい限りです。

— バブルの頃みたいに、路上で一万円札を振ってタクシーを止めるみたいな感じですね(笑)。

かおり:ほんと景気イイですよね~! 「令和のバブル」を、マル金パパのみんなと一丸となって巻き起こすことが出来て幸せでした……♡ このTIME ZONEは一生の宝物です!

— しかもこのバブルは弾けないですもんね。

まい:一番いいバブルですよ!(笑)

ベッド・インが一肌脱がなくちゃ!

— 当初は5曲の予定が、支援が集まったので10曲になりました。相当過酷なレコーディングだったんじゃないですか?

かおり・まい:めっちゃ大変でしたあーー!

まい:マジで死ぬかと思った瞬間が何度かありましたね(笑)。

— 録音しながら編曲も詰めていくんですもんね。

まい:並行して作詞も、私はギターもって感じだったので、ありがたい悲鳴でした。

かおり:何度も朝日を見ながら歌詞を書いて、スタジオこもってウォンビーロングに歌って、ガンバルンバしました! でもレコーディングの制作作業って、けっこう孤独な戦いだったりするんですけど、今回はたくさんのマル金パパたちが待ってくれている! と思うと、全身に力が漲ってくる感覚がゴイスーで! 本当にマル金パパのみなさんと一緒に作り上げたという感覚が強いです♡

— 音楽をやる上では「もしかしたら誰も聴いてくれないかもしれない」という不安がつきものですけど、今回は確実に聴いてくれる人がいるわけですもんね。

かおり:みんなのおマンパワーが元気玉みたいに集まって……、一緒にこのアルバムをお産した感覚ですね♡ しかも4年半ぶりのフルアルバムですからね! 曲数を増やせてもらえたことも、本当に本当に有難いです!

— どういった雰囲気のアルバムになりましたか?

かおり:私たちが結成当初から大事MANにしてきた、バブル時代の自由な精神「FREEDOM!」を掲げた、ポジティブで景気のイイ一作になりました! 曲調も幕の内弁当のようなバリエーションがありつつも、今まで以上にジュリ扇を振りたくなる曲が多いかなと♡

まい:クラウドファンディングを通して、性徒諸クンや支援してくれたマル金パパたちとのやりとりする中で、こういうものを求めてるなって思ったんです。単純な言い方になっちゃいますけど、元気をびんびん物語に与えられるような、そんなアルバムになったと思います。

かおり:すったもんだがある時代だからこそ、今、みんながバブルを求めている……! って気づきましたね。明るくて、いい意味で馬鹿馬鹿しくて、景気イイ世界を欲しているんだなって。オッケ~、ウチらが桃源郷に連れてイクよ~! って気持ちが強まりましたネ♡

まい:コロナも戦争もあるけど、ここは私たちが一肌脱がなくっちゃ! って。

— 4月には10周年記念ライブもやられましたね。

まい:まず、こういう状況でもライブハウスに来てくれる人がいるってことがありがたいですよね。

かおり:おギグを性徒諸クンの前でおナマでヤってみて、改めて「10周年なんだ!」って実感しましたね。まだ声は出せないですけど、みんながお祝いしてくれている気持ちがびんびん物語に伝わってきて……♡ ベッド・インのおギグは基本的にいつでもお祭り感があるんですけど、さらに増してた気がする!

— こんなときだからこそ、お祭りを求めてるんでしょうね。

まい:有観客でライブができない時期を経て、最近のおギグに来ている性徒諸クンを見てると全身全霊でジュリ扇振ってくれてるなあって思うんです。

かおり:以前は当たり前だと思っていていたことが、当たり前ではなくなった今、一つひとつのおギグを、より大事MANに感じていますね。歌えること、ライブをやれることの尊さを。性徒諸クンも、きっとそうなんじゃないかな! 溜まってる性徒諸クンは、声は出せなくても、ぜひベッド・インのおギグで心をドッピュン解放してもらえたら……!

— 6月からは久しぶりのツアーも始まりますね。

かおり:前作のリリースがちょうどコロナ禍の始まりで、ツアーも全部中止になっちゃったので、実はマンを持してのリベンジ・マッチなんです! 3年半ぶりのツアーになるので気合入ってます! 一緒に心のジュリ扇振りましょう~♡

まい:東京は歌舞伎町の「新宿BLAZE」でやるので、みなさんも遊びに来てチョンマゲ〜♡ ぜひ、ボディコンや肩パッドで前髪おっ立てて、お祭りさわぎしちゃいましょう! あ、ロンモチ、私服でもケーオツですけどね!(笑)。

ベッド・イン

益子寺かおり、中尊寺まいによる、地下セクシーアイドルユニット。日本に再びバブルの嵐を起こすべく、80年代末〜90年代初頭へのリスペクト精神による完全セルフプロデュースで活動中。2012年、お互い別のバンドで活動していた二人が、猫も杓子もロリロリ重視の現代のアイドルシーンに殴り込みにイクかと一念勃起。バンド歴の長い二人による、ロック姐ちゃんなライブパフォーマンスと『おやじギャル』的な発言やTwitterが話題となり、日本各地を毎度おさわがせします中!

OFFICIAL WEBSITE
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NEWフルアルバム『FREEDOM!』5月25日発売

「ベッド・イン TOUR 2022 祝!10周年&アルバム発射記念ツアー“FREEDOM!”」

6/4(土)神奈川 川崎セルビアンナイト
6/12(日)福岡 DRUM SON
6/18(土)名古屋 CLUB UPSET
6/19(日)大阪 OSAKA MUSE
7/2(土)仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
7/10(日)東京 新宿BLAZE
7/31(日)札幌 SPiCE

e+チケット販売ページ

文:張江浩司
写真:落合由夏

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