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歌舞伎町発ストリートライブの現在地。「Kabukicho Street Live Fes. × MOTCHAN NO HEYA Special」をレポート

歌舞伎町

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イベント 東急歌舞伎町タワー
DATE : 2026.06.19
2026年4月11日(土)に開催された「Kabukicho Street Live Fes. × MOTCHAN NO HEYA Special」。ストリートミュージシャンたちに、“公認”という形で歌う場・機会を提供する取り組みである「Kabukicho Street Live」を軸にしたサーキットイベント「Kabukicho Street Live Fes.」のスペシャル版だ。多くのミュージシャンと観客を巻き込みながら、いまや歌舞伎町に根付く文化へと育ったこのイベント。その集大成となった1日をレポートする。

月に一度行われている「Kabukicho Street Live」だが、今回は東急歌舞伎町タワー開業3周年に合わせてその軌跡を辿るというコンセプトのもと、これまで縁のあるミュージシャンが多数出演。メインの「KABUKICHO TOWER STAGE」の他、ビルの周囲に設けられた3箇所の屋外スペース、2F「カブキhall」内のステージ、そしてZepp Shinjuku(TOKYO)をも会場に加え、ストリートライブ一色に染まった東急歌舞伎町タワー全体を回遊しながら1日中楽しめるイベントとなった。

「ストリートライブ」と聞いて、中央線沿線出身の筆者の頭にまず浮かぶのは、JR 新宿駅の南口。かつては多くのストリートミュージシャンが集っていた印象があるが、コロナ禍を機に激減、昨今では規制の厳格化も相まって、ミュージシャンたちがそうした場を持つことが難しくなっているそう。そんな現状を前に立ち上がったのが、YouTubeを中心にストリートミュージシャンの応援活動をしてきた「もっちゃん。」だ。2022年から前述の「Kabukicho Street Live」の運営、および「Kabukicho Street Live」のブッキングにも携わってきた「もっちゃん。」。彼のYoutubeチャンネル「MOTCHAN NO HEYA」から発信する、ストリートミュージシャンたちの動画に出会い「生で見てみたい」と集まるようになった観客によって徐々に発展してきたのがこの「Kabukicho Street Live」というわけだ。

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そんな背景から、今回のイベントは「MOTCHAN NO HEYA」との共催という形に。後段で話を聞いたミュージシャンたちからも、「もっちゃん。」への感謝の声が多く聞かれ、彼のストリートライブへの情熱と人柄をうかがい知ることができた。

この日は、春先にも関わらず汗ばむほどの晴天に恵まれ、絶好のストリートライブ日和。東急歌舞伎町タワーの周囲からは、演奏されているたくさんの音楽が心地いい風に乗って聞こえてくる。到着してまず目に入ったのが、Zepp Shinjuku横で演奏していたシンガーソングライターのみずほ。ふわりと舞い上がるような澄んだ声が爽やかで、路上ならではの清々しさに足を止めて束の間癒されている人も多く見受けられた。

みずほ

ビル前面に回ってみると、設置された大きなスクリーンが目を引く。ちょうどその真下に設置されているのが「KABUKICHO TOWER STAGE」だ。演奏中のミュージシャンの様子がそのまま頭上のスクリーンに大迫力で映し出され、シネシティ広場に立ち寄っている外国人観光客もつられて音に体を揺らしていたりと、夜とはまた違った開放的な雰囲気に包まれているのが印象的だった。

イベントの顔とも言えるこのステージの序盤で演奏していたのは、福岡出身のシンガーソングライター、砂月凜々香。初夏のような陽気にぴったりな、はつらつとした声で気持ちよさそうに歌い上げ、広場を大いに盛り上げていた。MCでは「路上ライブは久しぶり」、「このステージで演奏するのは初めて」と話していた彼女だが、終演後に話を聞くと「このイベントならではの安心感があった」という。路上ライブならではの良さについては「自分のことを知らない人に見つけてもらいやすい」ことだと答えてくれたが、まさにそのように、ホーム感と新鮮さが交錯するのがストリートライブならではの面白さだろう。

砂月凜々香

続いて、西武新宿側の「和牛特区」前のスペースへ。ここではシンガーソングライターの純麗(すみれ)がギター1本でライブをしていた。小柄な身体とは裏腹に力強いシャウトを聴かせたり、かと思えば熱っぽいバラードを聴かせたりと、集まった観客との親密さを演出しながら一体感を作っていく。

純麗

聞けば、その時々のお客さんの空気によって演奏する楽曲も柔軟に変えているのだそう。「Kabukicho Street Liveは私にとって特別な場所で、音楽を通じてこの場所に恩返しをしながら、さらに活動の輪を広げたい」と語る表情にはイベントに対する愛が確かに溢れていた。

そのまま東急歌舞伎町タワー内に入ってすぐ目の前、2Fの「カブキhall」では4人組男性ヴォーカルグループのSnugsがライブ中。今年は8月9日(日)にZepp Diver City(TOKYO)でのワンマンライブも控えているなど確固たるファンを持つ彼らだが、ストリートライブもこよなく愛し、この「Kabukicho Street Live」にも度々出演。とりわけそのステージングにはその場に集まった観客を楽しませようという熱量が溢れており、観客一人ひとりと目線を合わせようとしていたのが印象的だった。

Snugs

メンバー曰く、ストリートライブには「知らない人にこそ見てほしい」という目的意識を持っているそうで、だからこそ「多様な人が集まる、新宿という街が好き」なのだそう。初期の頃から「Kabukicho Street Live」と共に歩んできた彼らの目からしても凄まじいスピードでイベントが進化しているというが、それでも「アーティストに寄り添ってくれていて、運営側との距離の近さを感じる。ビジネスとしてではなく、イベントへの熱量が先にあるからこそ、信用してやっていける」とのこと。「自分たちがアーティストとして成長しても、常に戻ってきたい場所」と語る熱い眼差しも印象的だった。

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再び屋外へ出て、ビルの裏手へ。大久保側のヤマト運輸横ではシンガーソングライターの「みさーもん」が、自然体で柔らかい空気で観客を和ませており、惹きつけられて足を止める歩行者も。

みさーもん

強い日差しが和らぎ始めた夕景に、伸びやかな歌声がよくマッチしていた。彼女は名古屋出身で、1年半前に上京。「Kabukicho Street Live」に初めて出演したときは、東急歌舞伎町タワー前のスクリーンに自分の演奏が大きく映ったことに感動し「思わずお母さんに報告しちゃった」のだとか。この場所が若者にとって、夢へのファーストステップになっていることに温かい気持ちにさせられた。

夕刻をもってストリートライブは終了、イベントの舞台はZepp Shinjukuへ。この大舞台に出演するのも、その多くが「Kabukicho Street Live」にこれまで幾度も出演してきたアーティストたちだ。

さとう。

静岡出身のシンガーソングライター、「さとう。」もその1人。ギター1本とは思えない力強くパーカッシブな演奏、さらにそれを凌駕するパワフルな歌声に圧倒される。疾走感の溢れる楽曲からバラードナンバーまで、多彩なソングライティングと緩急のあるステージング、語りかけるようなユーモア溢れるMCで、あっという間に観客を引き込んでしまった「さとう。」。初めて観るという人も少なくなかったと思うが、20分のライブの後には会場中から大喝采が送られていた。

その後もライブは続き、「Kabukicho Street Live」ゆかりのミュージシャンのコラボグループ「MASHUP」が、そのグループ名の通りいくつかのJ-POPを「マッシュアップ」してカバーしたかと思えば、アジアでのライブを終え先ほど帰国したばかりという茉ひるが、クラブライクなR&B調のナンバーで会場を盛り上げる。

MASHUP
茉ひる

演奏後に「さとう。」が「普段交わらないようなアーティストとの横のつながりを感じられ、刺激をもらえるのもこのイベントの良さ」と語ってくれたのだが、そうしたジャンルやスタイルを問わない方針は「Kabukicho Street Live」の魅力のひとつだ。スタイルは違えど「一人ひとりにイベントへの愛があって、聴く人たちを楽しませようというみんなの矢印が同じ方向を向いていると思います。音楽をみんなで作り上げていく団結力はここならでは」という「さとう。」の言葉も大いに頷ける。

Zepp Shinjukuのトリを務めたのは、スペシャルゲストのyama。フルバンドを引き連れ、安定したハイトーンの圧巻の歌声を聴かせていく。新曲も飛び出し、サービス精神旺盛な印象だったが、以前はライブパフォーマンスが得意ではなかったともMCで語っており、このイベントのストリートミュージシャンたちの熱演にむしろ心動かされていた部分もあったようだ。最後には、イベントの中心を担った「もっちゃん。」、自身もミュージシャンで、「もっちゃん。」とともに「MOTCHAN NO HEYA」を運営するTOMIが登場。yamaを中心に、Zepp Shinjukuのステージに出演したアーティスト全員で並び、互いへのリスペクトを分かち合っていた。

yama
「もっちゃん。」(左)、TOMI(右)

30組以上のミュージシャンが一堂に介したこの日。何より印象に残ったのが、ミュージシャンもお客さんもとても「いい顔」をしていたということ。目の前のお客さんを大切にしながら、コツコツと夢を追いかける人の顔って、こんなに逞しく、そして気持ちのいい顔をするのだな、とこちらまでパワーをもらい、心地良い疲労感と清々しい気持ちを持ち帰ることができた。夢を追う熱量を間近で感じ、つい応援したくなる。そのようにして、ミュージシャンと観客の交流が自然と生まれるのも、ストリートライブならではの魅力だと感じさせられた。

「Kabukicho Street Live」を拠点とするミュージシャンたちにとっては、歌舞伎町で演奏することは日常であり、かつ特別な意味を持つ場でもあるのだろう。歌舞伎町というと「夜の街」のイメージも根強いかもしれないが、「Kabukicho Street Live」は、夢を追う若いミュージシャンにとって安心できる故郷のような“原点”の場所になりつつあるようだ。この文化が、この街に根付きながらこれからも共に成長していくことを期待したい。

文:井草七海

写真:谷川慶典

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