太陽に負けず歌舞伎町に熱く響く音楽！ Kabukicho Music Live vol.17

ポジティブ／ネガティブ、両極の音楽が響く

ナナイロ

先日行われたアーティストバトル『OTONOVA2024』にて東急歌舞伎町タワー賞を受賞したことがきっかけで本日出演することになったナナイロ。セッティングが終わると、ボーカルのゆいが一人でステージに現れ、挨拶代わりにRADWIMPS「なんでもないや」をカバー。「真夏みたいに暑いですね。熱中症にならないように気をつけて聞いていってください」と観客に呼びかけ、続いてヨルシカ「花に亡霊」を披露した。「いい天気ですね！ 歌うのが気持ちいいです」と笑顔で言うと、まきお(Gt)、鉄(Ba)、あきまま(Pf)を呼び込んだ。エレクトリックなバンド編成での出演者は、このイベントでははじめて。

疾走感あふれるさわやかなロックナンバー「君を巡る」、トロピカルなリズムのダンスチューン「0.9mm」を続けて演奏し、観客から自然と手拍子が起こる。メンバー全員が大ファンだというL’Arc～en～Ciel「flower」をカバー。ベースの鉄は人前でラルクの曲を演奏するのがはじめてだそうで、緊張しながらも楽しそうにプレイしていた。次の曲「ブルームーン」はジャジーなナンバー。ギターソロでは歓声が上がり、観客の興奮が一層高まる。「6月29日にワンマンライブがあります！」と告知し、切ない「葵花火」、ハードな「Second」を続けてパフォーマンス。ラストの「パノラマ」ではスケールの大きな楽曲に会場の熱気が高まった。

ゆい「最高に気持ちよかったです！ 暑かったんですが、こんなに立ち止まって聞いてくれる方がいるなんて。すっごく楽しくて、あっという間でした。ナナイロとしては、活動自体始めてから1年半くらいで、ライブの回数もまだ全然重ねていないんです。そんななかで、このような素敵なライブに出させていただけたのは、緊張もありましたがすごくいい経験になりました。機材もたくさん持ち込んだので、スタッフさんにはご迷惑かけてしまったかもしれないのですが、とても演奏しやすい環境でした。もしまた呼んでいただけたら、もっと精度を上げたライブがやりたいですね。直近の目標は6月のワンマンライブを成功させることで、チケットもソールドアウトさせたいです。そして、ナナイロの曲に触れていただける機会を一つでも増やせたらなって思っています」

さとう。

シンガーソングライター、さとう。は「貴重な休日のお昼に集まってくれてありがとうございます！」と感謝を伝えながら登場し、ギターを鳴らしはじめる。最初の曲「あの夜」では、ダイナミックな歌声と力強いギターストロークが広場を包み込む。「いい風が吹いてきましたね」と観客に語りかけながら、次に披露したのは「向かい風」。時にがなりながらも、雑にはならず真っ直ぐに歌を届ける彼女の姿勢が印象的だ。「振り返る街」、「底」を続けて歌い、そして「まだ昼過ぎだし、これからどこかに行くかもしれない。偶然さとう。のライブを見たんだよって友達に言いたくなるかもしれない。そんなみなさんの帰り道に聴きたくなるような曲をやります」と話して「3%」を披露。SNSを中心にバイラルヒットとなったこの曲は、多くの観客の心に響く。「始発前」では、吐き出すようなスローバラードが観客の心を静かに揺さぶった。

「お日様ポカポカみたいな曲がなくて、どんよりした夜みたいな曲しかないんですけど」と自嘲気味に語りながらも、「カシス」、「透かして」とラブソングを切々と歌い上げた。7ヶ月連続リリースの真っ最中で、5月に配信されたばかりの「ステージ」は自分より先に旅立ってしまったミュージシャンへの思いが綴られた曲だ。「こうやって音楽を作れているのは、神様じゃなくて先にいってしまったミュージシャンが私に曲を渡してくれてるのかも」という言葉が印象深い。最後の曲「Aini」を精一杯歌いきると、観客に向けて「みなさんにたくさんの音楽の出会いがありますように」と深くお辞儀をしてステージを下りた。

「お昼の時間にライブをやることがあまりなくて。普段は夜のライブハウスに出演することが多いので、こういう開けた場所でたくさんの人が見てくださってるなかで自分の曲を歌えたのはすごくうれしかったです。暗いなかで演奏するときは自分の世界観というか、『私の歌詞を聴いて！』って言う感じでやるんですけど、路上ライブだと自分が楽しく歌っているとそれが伝染していくことがわかるので、楽しくライブすることに重きを置いています。やっぱり、聴いてる人には楽しんでほしいので。新宿なんで海外の人も多くて、『Yeah！』みたいな声が聞こえてくるとテンション上がりますね（笑）。さとう。をSNSで知ってくださった方は東京じゃない場所にもたくさんいらっしゃって、大阪に来てほしいとか北海道に来てほしいとか言っていただいているんです。なので、自分がどこにでも行けるように、みなさんの一番近くで歌えるようなシンガーソングライターになれるようにがんばりたいと思ってます」

にゃんぞぬデシ

サウンドチェックしながら「新宿に私の声が響いてる……！」とドキドキを隠せないにゃんぞぬデシ。「アイアム、にゃんぞぬデシ！」と英語でも自己紹介すると、「人生は一度きりらしい」でライブスタート。明るい空気がシネシティ広場に広がっていく。小学校時代に野良猫を拾い「にゃんぞう」と名付けて溺愛し、「猫に弟子入りしたい！」と思ったところから「にゃんぞうの弟子」→「にゃんぞぬデシ」になったそう。不思議な名前の由来が分かってすっきりしたところで「同じ空の下どころか」を披露した。水を飲もうと後ろを向くと、大きなビジョンに自分が映っていることに驚き、「うわ！ すごい！ 映ってる！」と喜びの声をあげる。

「普段は全然やらないんですけど、新宿で歌いたいと思った曲をカバーしようと思います」と、東京事変「群青日和」を歌う。にゃんぞぬデシ節が加わって涼しげに響く楽曲が新鮮だ。続いて太田裕美「木綿のハンカチーフ」、SMAP「世界に一つだけの花」は彼女の歌声にぴったり。「曲を作ることと猫が好きです！」と唐突に宣言し、ドラマ『Iターン』のオープニングテーマ「勘違い心拍数」、続けて「風とイルカと恋」、「ガール都営浅草線」を歌った。どこをとってもキャッチーな楽曲に、オーディエンスも盛り上がる。「ここで歌うのが楽しすぎて、週一でやりたい。でも天気が合わない日もあるか……、すごく楽しいです！」と話し、最後の曲「All Night Fall in Love」へ。観客に「クラップユアハンズでお願いします」と呼びかけ、手拍子が響くなかで歌い上げた。

「もっとやりたい！ ここでいっぱいライブしたいです！ 都会の真ん中で、しかもスピーカーがちゃんとあるところはなかなかないので、通りがかった方の耳にも届いているのがうれしかったです。フリーライブだし、いつも来てくださってる方にもいつもと違う感じで、バーベキューするような気持ちで楽しんでいただけたんじゃないかなって思います。私も誰かのファンだったら、ここでその方のライブを見たいです！ 私のことを知らない方もたくさん通られるので、普段はやらないカバー曲もやってみました。自分の曲は、空の下で歌いたい曲を集めてみました。もしまた出られたら、そのときは雨かもしれないから雨のセットリストも作っておきます！ 8月4日に誕生日イベントがあるので、それを成功させるのが目標です。あと、他のアーティストの方への楽曲提供もやっているので、その活動もがんばっていきたいです！」