シネコンの常識を覆す、特別な映画館とは?
まずは、この映画館の特色を紹介したい。
東急歌舞伎町タワーの9階・10階に位置する「109シネマズプレミアム新宿」。最新鋭の映写・音響設備を備え、全席にゆったりと快適なプレミアムシートを完備。映画に没頭するための、最高の環境を追求している。
さらに、映画の鑑賞前後に上質なひとときを過ごせるラウンジも用意。これまでのシネコンの常識を覆す、新しい体験をもたらす映画館とのことだ。
まず特筆すべきは唯一無二のそのスペックだ。映画の魅力を極限まで引き出す音響システム「SAION -SR EDITION-」を監修したのは、新宿にもゆかりのある音楽家、故・坂本龍一さん。2023年現在、このサウンドを楽しめる映画館はここだけ。あるときは繊細に、あるときは迫力たっぷりに……クリアで臨場感あふれる作品の息遣いを感じるだけでも、映画ファンにはたまらない体験といえるだろう。
全部で8のシアターを備え、最新の映画作品はもちろんのこと、名作のリバイバル上映も積極的に行っている。かつて観た作品も、こだわりの音響のもとで新しい感動を得られるとあって、根強い人気だそう。
また、東急歌舞伎町タワーの地にかつてあった映画館「新宿ミラノ座」のDNAを継承し、今では貴重となった35ミリフィルムの映写機を備えているシアターも。
そして特に注目したいのがシアター6。正面のスクリーンに加え、左右の壁面にも映像が投影される「ScreenX」を採用している。映画の世界がいっそう拡大される迫力は、映画ファンなら一見の価値があるだろう。
では、どんな“極上の映画体験”ができるのか? 次の段落からは、筆者が実際に体験したレポートをお届けしよう。
【徹底レポ】109シネマズプレミアム新宿を最大限楽しむための方法
まずはエレベーターで9階または10階へ。エレベーターを降りて少し進むと、109シネマズプレミアム新宿のエントランスがある。エントランスはフロアごとに別になっているので、目当ての作品が上映している階をあらかじめ把握しておこう(公式サイトまたはチケット購入後に届くメールにて確認できる)。
足を踏み入れると、なんともおちつく香りがふんわり。すでにラグジュアリーな時間が始まっているのを感じる。
チケットは事前に公式サイトから購入しておくとスムーズだ。鑑賞希望日の3日前から上映開始時間まで購入が可能。当日その場で購入することもでき、自動券売機を利用するか、フロントのスタッフに声をかけてもOK。
座席は「CLASS A」が4,500円、「CLASS S」が6,500円※。結論からいうと、筆者はぜひ「CLASS S」をおすすめしたい。よりハイクオリティのシートで鑑賞できるうえ、VIP感たっぷりの「プレミアムラウンジ」を鑑賞後に利用できる点がとてもよい。
※映画の一般鑑賞料金。ScreenXは追加料金700円が必要
チケットの準備ができたら、入口の機械にQRコードをスキャンして入場。入場は上映時間の1時間前から。
チケットのQRコードはこの後もいくつかのサービスに利用するので、すぐ取り出せるようにしておこう。
ちなみに、映画館で友人と待ち合わせる人は、あらかじめQRコードのスクリーンショットを共有しておくといい。せっかくなら映画館の外でなく、中で待ち合わせるのをおすすめしたい。
映画館というと、早めに来ると手持ち無沙汰になりがち……というイメージはないだろうか。しかし109シネマズプレミアム新宿を最大限楽しむのなら、ゆとりをもって訪れるのが正解だ。
その理由は、入場してすぐ目の前にひろがるこのラウンジ。シックで落ち着いた空間で、上映前の時間をゆったりとリラックスして過ごすことができる。この時間から、すでに“極上の映画体験”は始まっているのだ。
坂本龍一さん作曲によるアンビエントが空間を満たす。このラウンジのために書き下ろされた楽曲であり、聴くことができるのは世界でこの場所だけ。
最高品質の音響を楽しむためにはまず、聴く人の「耳の状態」も重要だと坂本さんは考えたそう。日常の喧騒から離れた空間に身を置き、上質な音楽に委ねることで、耳を開く。その結果、映画にもより没入できるというわけだ。
映画のおとも・ポップコーンも好きなだけ。至れり尽くせりの極上空間!
ラウンジに入場してすぐのカウンターには「WELCOME CONCESSION」の文字が。ここで再度QRコードをスキャンして、好きなソフトドリンクとポップコーンを受け取ろう。この「WELCOME CONCESSION」のサービスはチケット料金に含まれており、何度でも自由に楽しめるのがうれしい。正直なところ、「ちょっといい環境で映画を見られる」には少し高いかも?と感じていた価格設定だが、“映画のおとも”を好きなだけ楽しめるとわかって俄然テンションが上がる。「サービスインクルーシブ」とは、なんともリッチ感があってすごくいい。
またラウンジに併設された「THE BAR」では、アルコールやこだわりのフードを販売している。ホットドックやフレンチフライのほか、英国スタイルのスコーンも。
こちらは、坂本龍一さんから提供された楽曲をイメージしたオリジナルのノンアルコールカクテル「クラリファイヤー」。“クラリファイヤー”とは液体から不純物を取り除く装置の名称。都会のノイズに慣れた耳を浄化する、場内のアンビエントを象徴するような名前がニクい。
ラウンジで思い思いに過ごしているうちに、気づけば上映時間に。ラウンジ内の落ち着いた雰囲気を邪魔しないよう、音声アナウンスではなく穏やかなチャイム音でお知らせしてくれるのが特徴だ。こちらのチャイム音も坂本龍一さん作曲によるもの。
ちなみに、ラウンジ内のトイレもとてもかわいらしいのでぜひお見逃しなく。女性トイレは少し奥まっていて距離があるので、余裕をもって訪れておこう。
ひじかけ独占、収納充実。まるで全席が個室
心身ともに映画を楽しむ準備が整ったところで、いざシアターのなかへ。今回は、「ScreenX」を備えるシアター6で『ゴジラ-1.0』を鑑賞。座席はより贅沢を味わえる「CLASS S」を体験した。
シートに座ってみると、想像以上にゆったりとゆとりがある。座席は通常の映画館の最大約2倍の広さがあるのだとか。左右のひじかけが隣席とかぶらない完全独立型で、荷物の収納スペースも充実していて実に快適。言わずもがな、座り心地も最高。
「CLASS S」のプレミアムシートでは、左右の視界を遮る仕切りがあるのもポイント。周囲の状況を気にせず、目の前の画面に集中できるのはありがたい。前後の座席との距離感もたっぷりで、足をしっかりのばせるのも新鮮。もはや個室のような心地よさ……。
電動リクライニング(「CLASS A」は自重リクライニング)でちょうどいい角度に調整したら、映画の世界に没入する準備はばっちりだ。
もちろん、映画本編は「最高」の一言。音響も映像も想像以上のクオリティで、上映後思わずため息が出るような迫力だった。名優たちの細かい息遣いや声量の抑揚までもがダイレクトに耳に届くよう。繊細な音もリアルに表現する、という音響設備の説明がかなり実感を持って体験できた。ぜひ、自身の目と耳で確かめてみてほしい。映画のスケールをいっそう拡大する「ScreenX」は、今回鑑賞した『ゴジラ』のように壮大な作品やミュージカル作品、ライブ作品など、「音」を魅せる作品には特に大きな効果を発揮するのではないだろうか。
ここだけでも利用価値大!鑑賞後のお楽しみ
さて、極上の空間で映画を楽しんだあとはどう過ごすのが正解だろうか。ひとりで物語を噛み締めてもよし、仲間と感想を語り合ってもよし。鑑賞後の“余韻”にどっぷりつかるのも、映画ファンにとってはたまらないひとときだ。
作品世界から日常へ。帰るまでの優雅な時間
109シネマズプレミアム新宿には、日常に帰る前に、もう少しだけ映画の世界に浸れる場所がある。「CLASS S」のチケット購入者だけが利用できる、10階のプレミアムラウンジ「OVERTURE」。10階エントランスを出て右手に入口がある。9階からなら、エスカレーターを上がって反対側のところだ。
ここでもQRコードをスキャンして入場。ウェルカムドリンク1杯のサービス付きで、アルコールも各種用意している。
新宿の風景を眺めつつグラスを傾け、高揚した気持ちをゆっくりと落ち着ける。「あのシーンよかったなあ」なんて考えながら、いつまでもくつろげそうな居心地良い気持ちに……。非日常感に満ちたこの贅沢な時間を体感するだけでも、「CLASS S」の利用価値はあり!
どんなに素晴らしい作品を観ても、上映が終わればすぐに人混みの中へ帰らざるを得ない。それが今まで当たり前だった映画鑑賞だ。だが、ここなら、上映終了してから繁華街や混雑した電車などの日常に戻るまでのインターバルを楽しむことができる。
プレミアムラウンジはその日の最終上映作品の終映後15分後まで入店可能とのこと。特別な空間で、心ゆくまで作品の余韻を感じたい。
いよいよ映画館を後にするタイミングには、9階のスーベニアショップ「POST CREDIT」もぜひ立ち寄っておきたいところ。映画の公式グッズはもちろん、コラボ商品や新宿・歌舞伎町らしいアイテム、坂本龍一さんゆかりのグッズまで、多彩な商品がずらり。映画の世界観や新宿の街を感じられる、単なるショップではない魅力的な空間になっている。
※スーベニアショップ「POST CREDIT」の営業時間は10時~22時
映画館という“ちょっといい時間”を楽しんで
「映画を観るために最高の環境」を追求した場所、「109シネマズプレミアム新宿」。
映像・音響という“映画館そのもののスペック”もさることながら、鑑賞前後の時間まで計算しつくされた没入感がすばらしかった。映画館での映画鑑賞とは、“ちょっと特別”な時間であることを今一度思い出させてくれる場所だ。
映画を最高の状態で楽しみたい映画ファンはもちろん、「久しく映画館には行っていない」「映画は家で観るのが定番」な人にこそおすすめしたい。映画館での映画鑑賞は、ただ作品を観るということだけではないのだ。ぜひ、次の休日は109シネマズプレミアム新宿へ。
文:徳永留依子
写真:坂本美穂子