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路上ライブはなんでも飲み込んで大きくなっていく!? Kabukicho Music Live vol.10レポート

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Kabukicho Music Live イベント 音楽
DATE : 2023.11.24

明日に向かう熱い演奏がこだまする

中村滉己

二日目トップバッターの中村滉己は民謡一家に生まれ、1歳で初舞台を踏み、2歳から三味線を手にするようになり、2022年には第40回「津軽三味線世界大会」個人A級(最高峰部門)に初出場で優勝。津軽三味線奏者として、民謡歌手として、伝統を継承しつつ様々な音楽と融合し、可能性を追い求めている。「津軽三味線のお客さんは60代以上の方が多いのですが、今日は若い方もいてうれしいです」と話し、1曲目「ホーハイ節」を演奏。青森県の民謡だが、はじめて触れる観客にも伝わりやすいようにEDMのバックトラックに合わせてアレンジしたバージョンだ。歌詞の解説もはさみながら、続いては昨年の世界大会で披露した「津軽じょんから節」。「これを聴けば『私も日本人だ』と思える部分があるはず」という言葉に、目を閉じて聴き入るオーディエンスもいた。

昨年フィギュアスケーター羽生結弦とアイスショーでコラボレーションする機会があり、その際に中村が作曲した「歩 -AYUMI-」、そしてEDMにのせたエド・シーラン「シェイプ・オブ・ユー」を2曲連続で演奏。「僕は何歳に見えますか?」と観客に問いかけると、23歳や25歳との答えが。「実は19歳なんです」と正解発表すると「えー!」と、どよめきが起こる。この若さと民謡・津軽三味線とのミスマッチも魅力の一つだろう。宮城県の民謡「秋の山唄」は、本来は唄と尺八で演奏されるものだそうだが、今回はアカペラで。秋の歌舞伎町に朗々とした歌声が響いた。

発声法が違うので、民謡を歌うとポップス4曲分疲れるという。これまで民謡漬けでポップスに触れてこなかったが、今は民謡に活かすために聴くようになったそうで、ポップスの発声で中孝介「花」を弾き語った。「三味線を伝統楽器だけにしておくのはもったいない。これからもいろんなアプローチで三味線を世界に広めていきたいです」と大きな目標を語り、自身が作曲した「糸命 -SHIMEI-」で締めた。

「人生はじめての路上ライブでした。若い方に聴いてもらえるのが路上の醍醐味だと思っていて、じょんから節は静かに聴いてくれたり、アップテンポの曲にはのってくれたり、素直なリアクションがみれてよかったです。みなさんにとって非日常的な音楽だと思うので、曲も見せ方も、いろいろなミュージシャンのやり方からインスパイアを受けて広めていきたいと思っています。今後はさらに、活動の場所は広げていきたいです。来年以降は海外に出ていって、自分の音楽がどれくらい通用するのか挑戦したいです」

中村滉己(なかむらこうき)

民謡一家に生まれ育つ。1歳で「十三の砂山」を唄い初舞台を踏む。2歳の頃、おもちゃの三味線で遊ぶようになり、三味線を嗜むようになった。8歳から津軽三味線を二代目中村隆志氏に師事。2022年には、第40回記念津軽三味線世界大会個人A級(最高峰部門)初出場で優勝。現在、津軽三味線のみならず、民謡歌手としても幅広く活動している。津軽三味線界の伝統を継承しつつ、様々な音楽分野との融合を通し、津軽三味線の可能性を追い求めている。

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坂田隆一郎

続いては福岡出身のシンガーソングライター坂田隆一郎。2022年のデビュー以降、リリースした楽曲は各種プレイリストに選曲され、世界中にリスナーを獲得。

ソロ活動の他にも男女混声ボーカルグループ「Love Harmony’s, Inc.」、多次元アイドルプロジェクト「UniteUp!」のメンバーとしても精力的に活動し、俳優として舞台にも立っている。サウンドチェックから多くの人がステージ前に集合。「はじめての人いますか?」と自ら名刺を配り、ファンは大喜び。今日が坂田にとってはじめての路上ライブ。優里の「ドライフラワー」でスタートし、「慣れないなあ」とはにかんだ。

オーディエンスからのリクエストでaiko「カブトムシ」をカバー。東急歌舞伎町タワーの巨大な屋外ビジョンに映し出されている自分の姿を見ると「おれがいる!」と驚き、TikTokライブのコメントに書かれたリクエストにも応え、オリジナル曲「ハノレ」を歌う。「自分の曲ならのびのび歌えるな」とうれしそう。デビュー曲「マワルヨル(feat.めがね)」をハンドマイクでプレイし、またリクエストに応えてちゃんみな「ハレンチ」のカバーを披露。6曲目は失恋の切なさを描いた2ndシングル「あまいの」。丁寧に紡がれるアルペジオが情感を際立たせる。milet「inside you」を歌い上げると、ラストは自身の4thシングル「Thank you so far」をハンドマイクでパフォーマンス。アーバンなトラックの上で優しく跳ねるようなメロディーがシネシティ広場を包みこんだ。

「なんか変な緊張しました(笑)。いつものライブとは違って、謎の場所にいる感じというか。ここでライブをやっているのを見たこともあるんですけど、お客さんの様子とか、音の反響の仕方とか、ワクワクと不安がありましたけど、みんなウェルカムで、こういうフリーライブだからこそできるコミュニケーションがあって楽しかったです。声優や俳優の活動もしているんですが、やっぱり音楽が自分の軸なので、今後も普通に過ごしている人たちが生きている中で共感できるような曲を作ってライブを続けていきたいです」

坂田隆一郎(さかたりゅういちろう)

福岡県出身。2022年6月にソロデビューしたシンガーソングライター。デビュー曲から各種プレイリストに選曲され、世界中にリスナーを獲得。ソロ活動の他にも男女混声ボーカルグループ「Love Harmony’s,Inc.」、多次元アイドルプロジェクト「UniteUp!」のメンバーとしても精力的に活動中。

音楽活動の他に、主演舞台Live Musical『SHOW BY ROCK!!』、舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』に出演するなど、俳優としても活躍している。12月には自身初のソロツアー『坂田隆一郎Acoustic Live Tour 2023 “逃避幸”』を開催。

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TENSONG

Vo.たか坊、DJ.アルフィ、Gt.拓まんの3人で2020年に結成された音楽ユニットTENSONG。今回はアコースティックギターとパーカッションのアンプラグド編成。「JUST FOR FUN」で勢いよくライブがはじまるも、歌詞を間違えて「初めての野外イベントに緊張してるのかな」と笑うたか坊。「存在」、「有難う」を熱唱し感謝の気持ちを伝えると、集まったオーディエンスも歓声でそれに応える。毎日を精一杯生きる人々への応援歌「昇進者」に続いてはカバー曲ゾーンへ。Saucy Dog「コンタクトケース」、CHAGE and ASKA「LOVE SONG」をリスペクトを込めて歌い上げた。

「みんな一度はこういう気持ちになったことがあるんじゃないかな」と語りかけて「纏」、「新宿は明るすぎるから見えないかと思ったけど、月が出てるやん!」と喜びながら「月が綺麗」と真っ直ぐなラブソングを連発。生配信のコメントともコミュニケーションを取りながら、「はじまりのおわり」を披露。たか坊の祖母と産みの母が亡くなったことをきっかけに書かれた曲だそうで、物事のはじまりとおわり、その両面の尊さが歌われる。真摯で熱い演奏に、観客も思わず聞き入った。最後の曲は9月にリリースされた「A HAPPY RAINY DAY」。絶叫に近いくらいの歌声に圧倒され一瞬静まり返りながらも、大きな拍手で見送られた。

たか坊「47都道府県を周ってきたんですけど、それとも違う雰囲気で緊張しました。ちゃんとリハーサルしたのにバチバチ間違えました」

拓まん「ツアーで行ったライブハウスでもこれくらいお客さんと距離が近い場所もあったので、そこは違和感なかったですけどね」

アルフィ「そもそも野外イベントでライブをやったことがなかったので、今日経験できてよかったです」

たか坊「歌舞伎町にもほとんど来たことないしな」

アルフィ「ほぼはじめてくらい」

拓まん「正直、治安が悪いイメージありましたね(笑)。怖い感じが。でも今日は天気もいいし、ゴジラもいるし、シチュエーション最高でした」

たか坊「来年もがんばってツアーを回れたらなと考えておりますので、それに向けてみんなの背中を後押しできるような曲をたくさん作っていきたいです」

TENSONG(てんそんぐ)

「一人一人に寄り添った楽曲を届けたい」という共通の思いで繋がり、2020年4月に大学の同級生で結成された、Vo.たか坊、DJ.アルフィ、Gt.拓まんの3人で構成される音楽ユニット。

独特の編成から生み出されるオリジナル楽曲や、たか坊のハイトーンボイスを生かしたカバー曲、メンバーの実体験に基づいたオリジナルソングが話題を呼び、中高生を中心に幅広い年代に注目されている。

グループ名には、『聴いた人それぞれに寄り添うことができる“十人十色”の音楽を届けたい』という意味が込められている。

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■イベント情報

日時:2023年10月26日(木)18:00~/10月27日(金)18:00~

場所:歌舞伎町シネシティ広場(東京都新宿区歌舞伎町1丁目19番先)

入場:無料

出演アーティスト:

【10/26】ナタリアダナエ/髙橋一輝/MindaRyn

【10/27】中村滉己/坂田隆一郎/TENSONG

主催:歌舞伎町商店街振興組合

後援:新宿区

協力:株式会社TSTエンタテイメント/MOTCHAN NO HEYA – もっちゃんの部屋 –

text:張江浩司

photo:落合由夏

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