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歌舞伎町から日本文化を発信!大衆演劇や純喫茶が集う「ハナミチ東京歌舞伎町」がオープン

歌舞伎町

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伝統芸能 劇場 喫茶店 演劇
DATE : 2023.10.13
2023年10月1日(日)、歌舞伎町から日本文化を発信することを目的とした商業ビル「ハナミチ東京 歌舞伎町」がオープンした。

地下1階、地上4階建ての同施設のテーマは「和」。江戸の衣・食・劇を1カ所で楽しめるということで、早くも注目を集めている。そんな新宿の新たなランドマークビルの魅力を紹介。おすすめスポットや楽しみ方についてレポートする。

1日中過ごしても飽きない、日本文化を堪能できる店舗がずらり

ビルには、1日中「和」を体験できるテナントが集結。

地下1階は、山手線内唯一の大衆劇場となる「歌舞伎町劇場」を展開。ビル入口すぐの場所にある1階では、観劇しながら食べられる軽食やドリンクが揃う「ハナミチカフェ」がある。

2階には和レンタル衣装「きぬも」と「珈琲西武 本店」が出店。

3階は7つの業態を揃え、「江戸時代」をテーマとした飲食店フロア「食のHANAMICHI内藤新宿」、4階は煌びやかな空間で結婚式の二次会やパーティーにも対応した「食のHANAMICHIはなれ」、さらに屋上では和をイメージしたテラスバーベキューエリアと、充実のラインナップを誇っている(2023年11月オープン予定)。

なかでもとくに注目したいのが、江戸時代から続く文化・大衆演劇を日替わりで楽しめる「歌舞伎町劇場」と、移転オープンした老舗純喫茶「珈琲西武 本店」。2つのスポットを取り上げ、その魅力をお伝えしていく。

レトロ装飾と本店限定メニューが見逃せない、老舗純喫茶

まず紹介するのは、純喫茶の名店として59年の歴史を持つ「珈琲西武 本店」。昭和モチーフのモダンな雰囲気で近年は若者にも人気が高い同店が、新宿三丁目から移転オープンした。

天井の照明装飾や壁のステンドグラス、ソファーなど昭和から使用しているインテリアの多くを、そのまま移設。「古き良き時代の姿を未来に残したい」というこだわりが見える。

とくにライトとステンドグラスに関しては、今では手に入らない貴重品なのだとか。

「照明装飾は、デザインが施されている金属などの素材が今はもうありません。ステンドグラスは珈琲西武の象徴的な存在。今回の移設にあたり、当初のステンドグラスを作成した業者さんは分からないため、世界的に有名な『松本ステインドグラス製作所』に微調整をしていただきました。これからも大切に使い続けていきたいです」と話すのは、「ハナミチ東京 歌舞伎町」を運営する新宿メトログループ 飲食事業部統括部長の青木智宏さん。

現在では同じ製法で再現するのが難しく、職人さんもいないというステンドグラス。東京オリンピックが開催された1964年創業の珈琲西武。時代の勢いと華やかさを感じる
よく見ると細部までこだわって作られているのが分かる照明器具。「可愛らしい花の飾りや、繊細なデザインなどにも注目してもらうと、より珈琲西武の歴史を感じられると思います」(青木さん)

メニューも、1番人気の「新宿特製オムライス」や見た目にもおいしい「自家製プリン・ア・ラ・モード」など、同店おなじみの味を楽しめる。

新宿特製オムライス。プラス100円(税込)で「自家製ハリッサ」を合わせるのも◎。新宿で自家栽培している「内藤とうがらし」を使用したハリッサは、爽やかな香りとやさしい辛さが特長。スパイシーな旨みが広がるデミグラスソースのオムライスと相性抜群だ

注目してほしいのが、「珈琲西武 本店」でのみ提供される新商品。

「珈琲西武 幕の内弁当」は、オムライスとナポリタン、生姜焼き、デミグラスハンバーグ、あんバターホットサンドが入っており、まるで大人のお子様ランチ。ひとつで人気メニューを味わえる詰め合わせになっている。

「あんバターホットサンド」は、人気メニューである「ホットサンド」をデザートとしても楽しんでほしい、という思いで開発したという本店限定品。

和スイーツ代表のあんこと白玉をたっぷりと詰めたホットサンドは、甘さと塩味のバランスが抜群。付け合わせの生クリームが乗ったバニラアイスクリームは、ホットサンドに合うよう甘さ控えめにして細部までこだわっている。

さらに、ステンドグラスデザインのアイスコーヒーと一緒に堪能すれば、珈琲西武を100%満喫できるはず。

進化し続ける大都会新宿で、昭和にタイムスリップしたような懐かしさと落ち着きを感じさせる「珈琲西武 本店」。多くの人に愛され、歌舞伎町の地から新たな歴史を刻み続けるだろう。

いつ来ても芝居やショーを楽しめる大衆演劇場

続いて紹介するのは、山手線内唯一の大衆演劇の劇場となる「歌舞伎町劇場」。大衆演劇とは、江戸時代から庶民の娯楽として芝居小屋で上演されてきた舞台のこと。ひと口に説明するのは難しいといわれるほどさまざまな演出を駆使した演劇だが、「歌舞伎町劇場」は“新世代型”大衆演劇場と銘打ち、江戸情緒たっぷりのお芝居と、華やかな和装の舞踊ショーを最新技術で届ける。

注目は、シティな新宿らしいハイテクな設備。花道やセリなど本格的な舞台設備に加え、7m×3mの大型LEDビジョンを常設している。代表の水野さんいわく、大衆演劇の劇場では初めての試みとのこと。デジタルとアナログを融合させ、若い世代にも大衆演劇に親しんでもらいたい狙いだ。

客席の脇ギリギリに設置された花道。役者の息遣いが聞こえるほどの臨場感を味わえる仕掛けだ。また、古いイメージの強い大衆演劇の印象をアップデートしてもらうべく、壁の黒と座席の赤を基調としてモダンに仕上げる工夫が施されている

上演は日替わりで、1公演はお芝居とショーの2本立て。お芝居は歌舞伎の演目や喜劇、人情芝居など、ショーでは華やかな衣装を身に纏った役者たちが現代の曲をダンスと共に披露する。

取材時、まだ設営中だった舞台。しかしこの写真からも分かるように客席はステージにとても近く、迫力満点の舞台が楽しめる。収容人数は154人
劇場入口の1F「ハナミチカフェ」では、観劇しながら食べられる軽食やドリンクが揃う。夜はBARとしても営業し、劇団とのコラボドリンクも計画中だ

新宿・歌舞伎町という利便性の高い場所に劇場をオープンさせたことについて、多くの期待を寄せる水野さん。

「大衆演劇というと、若い人だととっつきにくいというイメージがあると思いますが、この街にあることで、仕事帰りやショッピングなどの“ついで”で足を向けやすくなると思うんです。まずは気軽に足を運べる場所にあるということで、大衆演劇の敷居を下げて認知を広げたい。イメージを変える第一歩になれば嬉しいです」(水野さん)

大衆演劇の魅力と歌舞伎町劇場について力強く語る、代表の水野さん。元々は大衆演劇ファンのひとりで、本業はゲームシナリオライターというから驚き。「大衆演劇を広げたい、もっと身近に」との思いで劇場を作り、設営から役者との人脈作り、集客など多岐に渡って尽力している

また、休演日を利用して、日本舞踊や落語など違ったジャンルの和物公演も実施。音楽やお笑いイベントを取り入れていくことも考えており、とにかく劇場に足を運んでくれるきっかけを増やしたい狙いだ。

「歌舞伎町は多様な文化が混在しており、新しいものを受け入れてくれる“懐の深さ”を感じさせる街。また、アクセスも良いので幅広い世代の方が気軽に足を運んで、この街の新たな文化として大衆演劇が根付いてくれるよう期待しています」(水野さん)

衣・食・劇と、日本の文化を一度に体験できる「ハナミチ東京 歌舞伎町」。古くて新しいスポットが、歌舞伎町にまた新たな文化の歴史を刻んでいく。

文:大西マリコ

写真:坂本美穂子

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