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【NEXT UP! #7】SORA:ダンスとともに大人になっていく──若き才能の現在地

歌舞伎町

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NEXTUP
DATE : 2025.11.28
劇場、ライブホール、屋外ステージ、路上ライブスペース、ナイトクラブ──さまざまな“表現の場”が、東急歌舞伎町タワーにはある。ダンサー、シンガー、アイドル、DJ…。そこで日々パフォーマンスを行うクリエイターたちの顔ぶれもまた、幅広い。
あらゆる価値観が交差する歌舞伎町に集う次世代の才能たちの、過去・現在・未来に迫るインタビューシリーズ「NEXT UP!」。

第7回は、ダンサーのSORAが登場。大小様々な大会で優秀な成績を残し、最近では有名アーティストのミュージックビデオにも参加するなど、益々活躍の場を広げている彼女は、「Kabukicho Street Cypher」の常連でもある。来年から高校生になる彼女に、これまでの歩みとそのストイックなマインドの原点について、その活動をサポートしてきた母・愛さんも同席のもと話を聞いた。

<NEXT UP!的 推しポイント>

  1. 「踊りたい」が内気な6歳を変えた。開花した「負けず嫌い」
  2. 遊ぶよりも踊りたい!15歳のストイックなダンスライフ
  3. 技術だけでなく人間性も——期待しかない将来性

SORA

小学1年生でダンスを始めて以来、ヒップホップを軸に数多くのバトルで経験を積み、近年はロックダンスにも挑戦する若手ダンサー。負けず嫌いな性格と強い探究心を武器に急成長してきた。

現在は「マイナビDANCEALIVE」のファイナリストを目指して奮闘中。2026年から始まる高校生活ではさらにダンスに邁進し、「ダンスとともに生きる」ことをまっすぐに掲げる次世代の才能である。

主な実績に、2023年UDOJAPAN日本予選 12-13歳の部 デュオ、ソロ、hiphop 三冠優勝、2024年 TRIPLE CROWN Freestyle dance battle U-15優勝、2025年 LOCKFLIX U-15 2on2優勝、あきばっか〜のkids 東京体育館優勝 など。

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—Beggining— 
突然湧いてきた「ダンスがしたい」という欲求

─ 現在中学3年生で、受験真っ只中とのことですが…?

実はもう結果が出て、志望校に無事に合格しました! 高校に進んでもダンスに専念できるように、単位制の学校を選びました。そうすれば、大会や大会前の練習の日に授業が被らなくて済むので。来年からも、基本的には今と同じ生活スタイルを続けつつ、ダンスの練習量を増やしたいと思っています。Dリーグやバックダンサーのオーディションにも挑戦して、ダンサーとしての視野をもっと広げていきたいです。

─ 中学の3年間はどのような生活を送っていましたか。

学校から帰ってくるのがだいたい夕方5時くらいで、その後レッスンがある日はすぐ準備してスクールに行きます。レッスンがない日はそのまま自主練習をしていました。部活は一応英語部に入っていて、副部長もやっていたんですけど…そっちはほとんど顔を出さずにダンスばかりやってました。

─ ダンスをはじめたのはいつからですか?

小学1年生からです。それまでの私は“全く体を動かさない”タイプの子だったみたいなんです。公園に行ってもひとりでベンチに座っているような…。そんな私が突然「ダンスがしたい!」と言い出したので、母も「嘘でしょ?」と驚いたみたいです。多分、E-girlsをテレビで見て「かっこいい!」と思ったのがダンスに惹かれた最初のきっかけだったと思います。

幼少期の頃

─ かつては引っ込み思案だったけれど、本格的にダンスをするようになって、SORAさんの性格が変化したんでしょうか。

そうだと思います。人見知りで引っ込み思案だったのに、ダンスを始めて、スクールに通うようになってから急に社交的になったと思います。スクールにはライバルもいるし、ポジション争いもあって、そういう環境がすごく刺激になっていました。

─ 最近はロックダンスが中心のようですが、最初はどのジャンルをやっていたんですか?

ずっとヒップホップダンスだけをやってきました。ロックダンスを始めたのはここ1年くらいなんです。バトルでロックのダンサーさんを見て「かっこいい!」と思ってずっとやりたくて、やっと挑戦し始めました。先生にも「ロック向いてるんじゃない?」と言われていたので、自分でもしっくりきています。お母さんは、SORAは腕が弱いからロックには向かないんじゃないか、って心配していたんですけど…。やってみたら「これだ!」って気持ちでした。

─ ダンスバトルへ出るようになった経緯は?

小学3年生くらいのとき、先生に「バトルに出てみなよ」と言われました。もともと負けず嫌いなので、出たら燃えてしまって…。そこから大会に出ることが増えて、練習量も一気に増えました。

—Essential— 
辛いときは、アスリートやラッパーの言葉で自分を鼓舞する

─ フリースタイルで踊るのは好きですか?

大好きです! 振付を踊るのも好きですが、フリースタイルは「自分と向き合っている」感じがするんです。音楽と会話しているような。練習していた技ではなくて、音の変化に合わせて「今、こういう動きをしたい」って思ったことをやる瞬間がすごく楽しいです。

─ ダンスと音楽はすごく密接なものですが、普段はどんな音楽を聴いていますか。

ラッパーのZORNの曲にドハマりして、ファンクラブにも入っています。完全に推しです(笑)。最近はA-popバトルに出たことがきっかけでアニソンも好きになりました。

─ アニソンで踊るんですね。

そうなんです。A-popはアニソンオンリーのダンスバトルで。

─ 普通のダンスミュージックで踊るのと、違う楽しさがありますか?

すごく面白いですよ。「そこで(曲調が)落ちるのか! 」みたいな意外性とか、いきなりテンポが速くなって曲の変化が読めないところとか…。あとは、歌詞を聞きながら「ここでこういう動きしたら(オーディエンスが)湧くかな」みたいな。素直に曲を表現すればいいから、自分に合っていて踊りやすいなって思います。

─ SORAさんにとって、楽しく踊れたな、って実感できるのはどんなときですか?

やっぱり、フリースタイルでのパフォーマンスが、自分をさらけ出せたなと思えるときかもしれないです。ストリートのダンスバトルだけをやっていたときは、さらけ出せる日と出せない日があって波があったんですけど、A-popとかJ-popのバトルだと結構毎回自分を出せるなって思うんですよ。そしたら、段々とストリートで踊るのもさらに楽しくなってきて。

あとは、お客さんが盛り上がってくれたときと、自分の中で意識していたことがちゃんとできたとき。「音と一体化して踊れた」って感じられたときは最高です!

─ SORAさんは、これまで様々な大会やバトルに出てきたかと思いますが、そのなかで「Kabukicho Street Cypher 」はどんな場所ですか?

めちゃくちゃ楽しい場所です。ダンスを知らない人や外国人の方もたくさん見てくれるので「どう届けるか」を考えながら踊っています。そういう場所で「会場の空気を自分の色に染められたとき」がめちゃくちゃ気持ちいいです。

─ 色々なスタイルを経験したり実践したりするのがSORAさん流なんですね。影響を受けたダンサーさんって誰ですか?

えー!それはたくさんいます。ずっとお世話になった(スクールの先生の)あやぽさん、こうじさん、ゆうやくん、ろとくん、ひろさん、みらいちゃん…本当に尊敬している方ばかりです。色々な人の踊りを見て、自分の中に少しずつ取り入れています。

あとは、海外のバトル動画もずっと見ています。

─ 普段の生活で、ダンス以外の時間は何をして過ごしているんですか?

ミニチュアシュナウザーを飼っているんですが、愛犬と遊んだり、友達とプリクラ撮ったり…(笑)。

母・愛さん:でも、ほとんど「レッスンまでの1時間だけ」みたいな短い時間しか遊ばないんですよ。遊びは意識的にやってるみたいな感じがして(笑)。

そんなことないけど!(笑)遊ぶこと自体は大好きです。けど、ずっとダンスをしていたいんですよね。

─ 練習をしていないと落ち着かない?

そうですね。してないと不安になっちゃうし、動きたいーーーってなるかもしれないです。

─ 学校の授業ではどの教科が好きでした?

体育と道徳です。道徳の授業でアスリートのストーリーとか哲学を知るのがすごく好きで、朝は大谷翔平選手や村上宗隆選手の名言を集めた本を繰り返し読んでます。自分の部屋の壁にもそういう名言をいっぱい貼っていて、毎日それを見て気持ちを上げています。

─ その中で、特に大事にしている言葉は?

ZORNの歌詞なんですけど、「悔しい涙にぶつかったって、それも僕らの一歩だ」ですね。
これは完全に座右の銘です。大会で負けても「これも次への一歩なんだ」と思って前を向けます。

—Future— 
他人を肯定できる大人になって、死ぬまで踊っていたい

─なるほど。この1年間で苦しかった経験は何ですか?

めちゃくちゃたくさんあります…(笑)。毎年「マイナビDANCEALIVE」に挑戦しているんですが、最初に出場した年に準優勝してから、その後なかなかベスト8に残れなくて。

あと、ずっと通っているスクール内のバトルで一度も優勝できていないことも悔しいです。外の大会では勝てるのに、スクール内では最後まで勝てなかった…。悔しくてすごい練習したんだけど…(笑)

─ では逆に、この一年で一番うれしかった出来事は?

A-popダンスバトルの全国大会「あきばっか〜の」のキッズ部門で優勝したことです。その大会では審査員の半分がダンサーじゃない人たちで、声優さんや音楽クリエイターさんがダンサーとは違う視点で評価してくれて、すごく新鮮でした。

─ 今日のファッションはデニムセットアップですごくかっこいいですけど、服も自分で選んでいるんですか?

あんまり興味がなくて、譲ってもらった服とか、お母さんが選んでくれた服を着ているだけなんですよね…(笑)

母・愛さん:私からこんなの着てみたら?って提案しても「レッスン代払ってもらってるんだから、いらないよ!」って言うんですよ。

─ 素晴らしいですね…。SORAさんにとって、お母さんはどんな存在ですか?

世界で一番大好きです。レッスンにも通わせてくれて、大会のための遠征にも「行っておいで」って送り出してくれて、本当に感謝しています。いつも「ありがとう」「大好き」ってたくさん伝えています。

─ 最後に、この先の目標について教えてもらえますか。

まずは「マイナビDANCEALIVE」でファイナリストになって、両国国技館のメインステージに立つことです!その後はDリーグにも出て、もっともっとダンスの視野を広げて挑戦していきたいです。

─ ダンスを通じて、どんな大人になっていきたいですか?

技術を磨くだけじゃなくて、人間性も含めて「かっこいい」と思ってもらえるダンサーになりたいです。他人を肯定できて、自立していて、温かい人。そういう人たちに憧れてきたので、自分もそうありたいんです。ダンスは一生続けます!踊りながら死にたいくらい、ダンスが大好きです。

文:MASH UP! KABUKICHO編集部
写真:谷川慶典

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