新・歌舞伎町ガイド

エリア

FOLLOW US:

ここが新たな聖地になっていく。首都圏最大級のK-POPダンスイベントが歌舞伎町で開催

歌舞伎町

遊ぶ
イベント ダンス 東急歌舞伎町タワー
DATE : 2023.12.06
歌舞伎町シネシティ広場で、首都圏最大級のK-POPダンスイベント「KABUKICHO K-POP FES 2023」が開催された。47組、総勢376名のダンサーたちが日頃から研鑽を積んだパフォーマンスを、途切れることなく4時間ぶっ通しで披露。K-POPダンスの伝道師・ARATAさんのMCに、ゲストのダンス&ボーカルユニット「Chego」と4人組ガールズグループ「IVYJCT from Prime Stone」もステージに華を添え、みんながどっぷりK-POPの世界に浸ることのできた1日だった。

みんなが集まる歌舞伎町の広場をK-POPダンスの聖地に

2023年11月5日(日)、歌舞伎町シネシティ広場は賑わっていた。ただでさえ多くの人々が集うこの広場、3連休最終日ということはもちろん、「何か面白そうなことをやっている可能性が高い」場所といっていいだろう。

この日のイベントは、東急歌舞伎町タワー主催の「KABUKICHO K-POP FES 2023」。これまで、BLUE ENCOUNTやマックス・フェルスタッペン、東京水天連(阿波踊りの“連”)が立ったステージに、幅広い年代の人々がかわるがわる登場する。共通点はひとつ、「K-POPのダンスが大好き!」ということ。

タワーの正面エントランスの前に開けた歌舞伎町シネシティ広場を、ますます盛り上げ、これまで以上に多様な人々に、歌舞伎町というエリアに、より気軽に遊びに来てもらうべく企画されたイベントである。

主催の東急歌舞伎町タワーは、この場所を“K-POPダンスの聖地”にしたいと願っているという。このイベントも、そもそもはストリートダンス全般を取り上げる想定だったが、この場所とコリアンタウンである新大久保との距離的・ムード的な親和性の高さと、近年の圧倒的なK-POPダンスの盛り上がりに、この形での開催に決定したのだそうだ。

スケジュールは、一般参加のダンサー47組によるダンスショーケースと、中盤とラストに行われる2度のランダムプレイダンスという構成。

カバーダンスショーケースとは、K-POPのヒット曲の振付や構成をマスターし、アーティストになりきってダンスするパフォーマンスだ。

そして、珍しいのがランダムプレイダンス。ダンサーも観客も現場にいる全員が参加可能。ステージではなくストリートに集い、ヒット曲のサビの部分などキャッチーなメロディーが次々と20〜30秒間ほどプレイされるので、踊れる曲ならセンターに出て思いっきり踊るという仕組み。好き勝手にではなく、きちんとカバーするのが原則だ。韓国の音楽番組から生まれ、今やアジア各国はもとより、ヨーロッパでも盛んに行われ、盛り上がる様子がYouTubeにも数多くアップされている。

子どもから大人までぶちかます! クールなパフォーマンス

さて、「KABUKICHO K-POP FES 2023」は、「IVYJCT from Prime Stone」のパフォーマンスからスタートした。

子どもたちがストイックに完璧なカバーを決めたり、13人編成で大迫力のSEVENTEENカバーが披露されたりと、ここまですごく練習したことがうかがい知れる完成度に驚き。そして、ステージ上のダンサーが楽しんで踊っている姿に、見ているこちらも楽しくなってくる。

さらに、ひと組おおよそ6分というパフォーマンス時間ながら、サービス精神にあふれたARATAさんのMCがたっぷりと盛り上げてくれた。

YouTubeでダンス界のレジェンドに取材するなど、K-POPダンスの解説を行う軽妙な語り口そのままに、丁寧かつ端的に、ダンサーのみなさんを解きほぐしてゆく。

大人数のチームで目立って小さな女の子がいれば率先してマイクを回し、完成度の高いダンスには、「見せ方がすごい! みなさん一体何者ですか!」と驚きをあらわにするのであった。

そして、それぞれのグループ用に作られたアタック映像にも、力の入れようがわかる。

ステージの頭上に設えられたおおよそ200平方メートルの巨大な屋外ビジョン「KABUKICHO TOWER VISION」に、グループ名とメンバーのビジュアルが短いCG映像となって流れるのだ。もちろん、本番中のダンスの模様もバッチリ投影されているのであった。

果たして、アマチュアダンサーのみなさんのダンスショーケースは激しく盛り上がった。
今や、ダンススクールはK-POPダンス花盛りで、さまざまな年代の人たちが日々ステップをぶちかましているという。

カッコよくて和やか。誰もが楽しめるK-POPイベント

大型ビジョンは、出演するダンサーを応援するみなさんには間違いなくうれしい演出だろう。歌舞伎町のど真ん中の巨大ビジョンに家族や友人の姿が大写しにされるわけで、ちょっとしたスター気分だ。

そんなウキウキしたムードで会場は満たされ、つねに広場の人々は流動的だ。ステージ上のメンツが変わると、最前列で応援する人々の顔ぶれが変わるし、踊り終えたダンサーたちは、広場で待つ家族や友人の元に戻ってくる。

そんな彼らの興奮と充実感、会場に設けられた待機場所でフリの最終チェックをするグループのドキドキ、どちらとも関係ない、フラリと立ち寄った人のいい気分。

BLACKPINKにStray Kids、LE SSERAFIM、NewJeans、XGなどなど、世界を席巻するK-POPが流れ続け、次々と違うグループがサクサク登場しダンスを披露してくれるわけだから。

ダンスフロアみたいに適当にカラダを揺らしている人もいれば、ステージを観ながら同じ振り付けを小さく踊っている人もいる。ダンスはカッコいいのにムードは和やかで、会場全体がハッピーなバイブスに満ちあふれているのであった。

ダンスショーケースの終盤には、アマチュアながら固定ファンを持つようなグループも登場。

凝った衣装に、精度の高い振り付けを披露し、会場をますます盛り上げていた。

そして最後は、「Chego」のみなさんが貫禄のパフォーマンスで、プロフェッショナルのスキルを見せつけてくれた。

ランダムプレイダンスでは全員がダンサー、全員が笑顔!

では、この日のもうひとつの目玉、ランダムプレイダンスについてもご紹介しよう。

ダンスショーケースの中盤とラストに2度行われたこのコーナー。ARATAさんの誘導で、ダンスの舞台が「KABUKICHO TOWER STAGE」からシネシティ広場中央へ移動。つまり、観客のど真ん中で行われる。いや、観客などいない。踊れる人はみんなダンサーなのである。

と、ステージ上でDJ文園太郎がプレイ開始。広場に描かれた8メートル四方ほどの四角い枠の外で待機していた人々が、一斉に枠内に飛び込み踊り始める。この枠の中がいわばステージなのだ。

ほんの20秒から30秒ほど。曲のサビを中心に印象的なパートを選んでプレイ。次の曲との狭間には、いったん枠の外に出てブレイクする。クラブのフロアのように、思い思いに踊るのではなく、本家アーティストの振り付けをカバーするのがキモだ。

その曲を認識した瞬間、キャーッと声が上がり、フロアは一瞬グチャッと団子状態になる。そこから自然にスッと列が整い、みんなが同じ動きで踊り始める。

その瞬間が気持ちいい。グループも世代もファッションも違う人々が「その曲が踊れる」という一点でつながるのが面白い。

ダンスショーケースで選ばれるのは、K-POP第4世代を中心とした最新ヒット曲がほとんどだが、ランダムプレイダンスでは幅広い世代の曲が流れるという。この日もWanna Oneの「Energetic」や、BLACKPINKの「Lovesick Girls」などが流れ、ときにはソロのステージになる局面もあった。

枠の外側からはダンサーを盛り立てるような声が次々掛けられる。本番のステージではないし、「この曲好き!」的な感覚で飛び込んだり、「一緒に行こう!」と友だちの手を引っ張ったりと、なんだかみんなひたすら笑顔になっているのだ。

この規模のK-POPランダムプレイダンスは、日本ではまだまだなかなか行われることはなく、今回の試みは、首都圏最大級だという。こんなシーンに直面すると、自然と自分もそこに加わりたい気持ちになった。

「歌舞伎町゠K-POPダンスの聖地」にはポテンシャルしかない!

会場でこの日の感想を聞いてみた。ステージ下でも盛り上がっていた「Funky Funky Dance Team」は、小学5年生から高校1年生までのガールズグループ。とにかく最高という声が返ってきた。

「ステージは下から見るより広くて幅もあったから踊りやすかったし、大画面に出るのは新鮮ですごく楽しかったです」(リオ)

「初めて外で踊って、大きな画面でみんなに見てもらえて、とても楽しかったです」(ウタ)

「自分のナンバーの踊りだともう、自分でもわかるくらいにアドレナリン出てて。テンション爆上げで、“どうだった?”っていわれても最高すぎて、細かい言葉じゃ伝えられないです」(ココミ)

そして、「Tiger AYS east」。Stray Kidsの「MANIAC」をクールに決めた男の子たち。後半のランダムダンスでも目立っていた。

「今回、観覧無料の屋外開催だったから、いろいろな人が見てくれて、僕らの認知度も上がったと思うし、踊ってて楽しかったです。ランダムダンスは初めてじゃなかったけど、いい空気で出て行きやすかったので良かった」(セイノスケ)

「今日のパフォーマンスは観客が多くて緊張したんですけど、自分たちで練習した最大の力を出せたので良かったですね。ランダムプレイダンスもこんな広い場所でやったことなかったんですよ。でも踊ると歓声をすごくもらえて、盛り上がっててとても楽しかったです」(ユウタ)

「めったにないこんな大きなステージで、人がいっぱい通る歌舞伎町という大きな町でイベントをやれたのがうれしい。ダンスも揃えられたし、ミスもなく、動きも大きくできて、最高の状態で見せられて文句なしです」(ユウト)

ステージ上ではちょっと挑発的に、ランダムプレイダンスでも存分に観客を魅了してくれたダンサーたちが、間近で見て話すと、声を弾ませ瞳もキラキラとさせていた。

そして同様に、MCを務めたARATAさんもキラキラした目で感想を語ってくれた。

「もうめちゃめちゃ感動しました。新宿のど真ん中でこういう大きいイベントができて、またK-POPのダンスを通じてこんなにたくさんの人が集まって、みんなで楽しい時間を共有できるっていうのが本当に素敵だなと思いました。しかも、屋外でここまで大きく音を出せるイベントは非常にレアで、この開放感がポイントですよね。ランダムプレイもすごく盛り上がりましたし。海外の様子を見ていると、街の大きな通りの真ん中でやっていたりするんですよね。日本にはそういう環境がなかなかないし、外で音出して踊るのが迷惑に繋がっちゃって控えがちだと思うんですが、今回みたいな環境が整えば、みんな喜んで参加するものなんだなということがよくわかりました。

だから、歌舞伎町のこの場所は、もはやポテンシャルしかないと思います。都心のど真ん中というアクセスの良さもそうですし、もともと歌舞伎を持ってこようとしていた街の伝統に則ってダンスを改めて発信していくのはいいですよね。

ここがダンスの聖地になったら日本中からダンサーが集まると思いますし、韓国のイベントや公式の大会をやってもいいですよね。その踊る気持ちよさはもちろん、こういうパブリックな場所って人がたくさん通るので、偶然にでも目に付くんです。それでまたそこから新たに広がっていく。そんな波及効果も期待できそうですよね」(ARATA)

「KABUKICHO K-POP FES 2023」は初回のイベントである。今後、この歌舞伎町シネシティ広場がK-POPダンスの聖地となるように、主催の東急歌舞伎町タワーは、来年も同じ時期にこのイベントの開催を目指している。

そして、今回はリアルイベントだけでなく、東急歌舞伎町タワー2階のステージや広場でさまざまなダンス動画が事前に作成され、SNSで発信された。

※Instagram(https://www.instagram.com/kabukicho_kpop/

将来的にはYouTubeでも発信し、この場所がよりK-POPダンスと深く関わる展開を目論んでいるのだ。

KABUKICHO K-POP FES 2023

開催日:2023年11月5日(日)
会場:歌舞伎町シネシティ広場(新宿区歌舞伎町1-19先)
KABUKICHO TOWER STAGE(新宿区歌舞伎町1-29-1)

Instagram

文:武田篤典

こんな記事もおすすめ