ちゃくら
満員のフロアをかき分けて、新宿ロフトのBarステージに登場した4人。幻想的なインストナンバーから、サクラ(Vo&Gt)の甘い歌声で「海月」が始まり、「ちゃくらです、どうぞよろしく」の挨拶を合図にライブが本格スタートすると、フロアから自然と手拍子が上がり、会場が一瞬でちゃくら色に染まる。感情込めた歌声や表情やその切実さに目が離せないというか、観る者の心をグッと引き付ける求心力がある彼女らのステージ。4つ打ちに身体を揺らしながら、ステージに魅了されていたみんなもきっと同じ気持ちだったはず。
「あいつ」、「よだか」と続き、どこか哀愁のある楽曲世界と感傷的なボーカルで魅了した彼女ら。「今日はちゃくらが、新宿をぶっ壊しに来ました!」というMCで始まった中盤戦はインスト曲「nei」で始まり、怒りや寂しさや諦めといった彼女らの等身大を表現した楽曲たちを披露。
諦観したようなクールさと、今この瞬間を全力で生きる熱さの両方を兼ね備えた彼女らの楽曲たち。「今を生きる私たちの大切な歌、歌います!」と始まったラストナンバー、<恐ろしくても今この時は美しい>と全員で歌う「19才」に見えた、青春ど真ん中をがむしゃらに駆け抜ける姿は強く胸を打たれたし、そのがむしゃらさの中に彼女らが見る者を引き付ける力の源がある気がした。
the quiet room
すっかり夜も更けた頃、新宿ロフトのメインステージに登場。1曲目「Fressy」の爽やかかつ、堂々としたステージングで強い存在感を証明したthe quiet room。疾走感ある「東京」で熱く駆け抜けると、「Vertigo」で「まだ、イケんじゃないの?」と観客を煽り、メンバーソロで魅せて、「歌舞伎町の夜の街に飛び込む旅に出ましょう」と、「グレイトエスケイプ」で歌と演奏をしっかり聴かせる。
コロナ禍も諦めずに鍛え上げてきたライブスキルの高さで、前半戦からしっかりフロアを湧かせたthe quiet room。MCではこのイベントに熱い想いで誘ってもらった喜びを話した菊池遼(Vo&Gt)が、「2回3回と続いていくイベントになると思ってますんで。何回も呼んでもらえるように、良い音楽を残していけるように頑張ります」と意気込みを語る。
曲紹介に黄色い歓声が上がった「(168)日のサマー」で、夏を届けて始まった後半戦。ラストはイントロから拳と掛け声が上がり、フロアをガッツリブチアゲた「Instant Girl」で最高潮の盛り上がりの中、終演。来年1月にZepp Shinjuku (TOKYO)のワンマンを控えた彼ら。貫禄あるライブは、広いステージへの期待も高まるばかりだった。
チョーキューメイ
新宿MARZのトリを飾ったのは、チョーキューメイ。ドラムカウントから、1曲目「心を照らせ!」でゆったりとライブが始まると、巧みな演奏と麗(Vo&Gt&Vn)のまさに麗しく、色気ある歌とパフォーマンスで観客の度肝を抜いた彼女ら。間奏では麗がバイオリンソロで魅了し、ど頭から会場中をステージに釘付けにする。
ピアノイントロで始まった「故のLOVE」のダンサブルなビートに会場中が手を振り合わせると、軽快なビートで始まった曲はSNSでも大きな話題を集めている「貴方の恋人になりたい」。オリエンタルな雰囲気の曲調に、甘く可愛いボーカルを聴かせる麗。変幻自在、楽曲ごとにバンドの色を変えながら、独自の世界観を構築していくライブ展開から目が離せない!
アニメのEDテーマにも起用された「PRIDE」で始まった後半戦は、物語性のある曲展開にグッと引き込まれた「たいむかぷせる」、4つ打ちに乗せた美しいバイオリンでドラマチックに始まった「おやすみパパママ」と魅せる曲が続き、ラストは疾走感ある「3月の花嫁」で駆け抜ける。
短い時間ながら、ワンマンほどの満足感があった彼女らのステージ。鳴り止まない拍手に「楽しみにしてた日、一番最後に見に来てくれて本当に嬉しいです。ありがとう!」と感謝を告げると、アンコールに「涙と羽根のピアス」を披露。彼女らの自由な表現とそれを全力で楽しむお客さんたちの姿に、ライブハウスやバンドシーンの新たな姿と、歌舞伎町の音楽シーンの新たな歴史の始まりを見た
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text:フジジュン
photo:※各写真キャプションに記載