新・歌舞伎町ガイド

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音楽サーキットイベント『CONNECT歌舞伎町 2022 Move to New Order』最終回!71組のアーティスト出演

DATE : 2023.05.20

「歌舞伎町の音楽シーンをもっと盛り上げよう!」という熱い思いに共感した、歌舞伎町のライブハウスと商店街振興組合が手を組み、2014年よりスタートした、歌舞伎町最大規模のサーキット・イベント『CONNECT歌舞伎町 2023 Move to New Order』が4月30日に開催された。昨年、コロナ禍での開催中止期間を経て、3年ぶりの開催となったこのイベントも今年で最終回。「新しい時代を受け入れながらも、みんなで音楽を楽しめる場所を作り直そう!」と、6店舗+野外ステージにて、71組のアーティストが出演した『CONNECT歌舞伎町 2023』の模様をレポートする。

水曜日のカンパネラ/新宿BLAZE

photo byニイミココロ(Twitter / Instagram

新宿BLAZEのトップバッターを担ったのは水曜日のカンパネラだ。お昼過ぎから大勢の観客が今か今かと出番を待っていると、詩羽は会場後方から入場してザワつかせ、「ティンカーベル」でショウのスタートを切った。続けて「バッキンガム」と畳み掛けた後、「ディアブロ」に入ると、コール&レスポンスで親密な空間を作り上げる。

後半はより一層やりたい放題のエンタメ性に拍車がかかっていく。「赤ずきん」では詩羽はオオカミと共にダンスを踊ったり、水カンの代表曲「桃太郎」においてはウォーターボールの中で歌を披露。

photo byニイミココロ

これには観客も大興奮の様相で、終始ポジティヴかつハイテンションなエネルギーを放出する彼女。もう、観る者すべてを至福の境地に誘うパフォーマンスを披露した。(荒金良介)

photo byニイミココロ

w.o.d./新宿BLAZE

photo byニイミココロ

「俺は近所なんでバスで来ました」とサイトウタクヤ(Vo/G)が言うと、フロアから「帰りは?」と聞かれて、「バーベキューします!」と切り返す。そんなクダけたやり取りもあったが、基本は最小限にMCを抑え、最大限の演奏で魅せつけるのが彼らの流儀である。そう、3ピース・バンドの無限の可能性を提示するように、メンバー個々のキャラと音色を際立たせ、全員で襲いかかってくる音像は凄まじい限り。オルタナ、グランジなどを通過したヴィヴィッドなロック・サウンドを現代に蘇らせ、他とは一線を画したオリジナリティに引き寄せられていった。

photo byニイミココロ

そして、中盤過ぎに新曲「My Generation」を披露。これはプロデューサーに中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUND)を迎えた曲。イントロの打ち込みから高揚感を煽られ、鋭利なヘヴィ・リフはスタジアムロック調のスケール感で轟き、いままでありそうでなかったニュータイプの曲調である。観客もジャンプして騒ぎ、最高のリアクションを引き出すことに成功。そんな新しいアンセム曲に震えつつ、ラスト曲「踊る阿呆に見る阿呆」まで全身に電流が駆け巡る轟音でフロアを揺さぶり続けた。(荒金良介)

photo byニイミココロ

MOROHA/新宿BLAZE

photo byニイミココロ

必要なのはアコギとマイク、そして魂のみ。たった二人が放つ強烈な熱量で、新宿BLAZEを埋め尽くす観客の期待値を軽々と凌駕する圧巻のステージを見せたMOROHA。

photo byニイミココロ

「歌舞伎町をブチ抜きに来てんだよ。勝負しようぜ!」と「俺のがヤバイ」をぶっ放ち、「勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ」と突きつけ、多勢でなく一人ひとりの心に訴えかけるアフロ(MC)の言葉たちが、心にザクザク突き刺さる。「サーキットイベントあるあるで、ライブ中に開く扉の光には希望の光と絶望の光がある」と話し、「そんなこと言われた後、出ていけないですよね?」と笑わせると、全身全霊で届けた「革命」と「六文銭」で希望の光を照らす。ライブを見終えた後に陥る、自分の中で何かが変わったようなあの感覚は、MOROHAライブならではの醍醐味だ。(フジジュン)

photo byニイミココロ

サバシスター/新宿LOFT

photo byマチダナオ(Twitter / Instagram

2022年3月結成のガールズ・トリオ、サバシスターは著しい成長曲線を描く注目新人。「出れんの!?サマソニ!?」を勝ち抜いて『SUMMER SONIC 2022』に出演、また、04 Limited Sazabysの対バン・ツアーに呼ばれたりと、日増しに知名度を高めている彼女たち。「スケボー、盗まれたときに作った曲」となち(Vo/G)が言うと、「スケボー泥棒!」をプレイ。わかりやすい歌詞に加え、ポップに弾けるメロディ・センスも特筆すべきところ。

photo byマチダナオ

それからごうけ(Dr/Cho)が愛するプレーリードッグのぬいぐるみに捧げたバラード曲「しげちゃん」も披露。童謡のように親しみやすい歌メロで観客の心を根こそぎ奪い、るみなす(G/Cho)のブルージーなギターも滋味豊か。

photo byマチダナオ

「ジャージ」でクラップを巻き起こしたかと思えば、ラストスパートは「タイムセール逃してくれ」、「サバシスターs’ THEME」と疾走感に富む曲調を連発。緩急溢れるライヴの流れも素晴らしく、バンドのポテンシャルの高さを存分にアピールした。(荒金良介)

FILTER/shinjuku SAMURAI

photo by北島凜音

大げさに言えばこの日、サーキットライブの醍醐味を一番感じさせてくれたのがFILTERだったかも知れない。軽快なビートに乗せた、爽やかなサウンドと男女ツインボーカルが心地よい「Toy my Joy」で始まった彼らのライブ。高揚感溢れる楽曲にメンバーがシンガロングや掛け声を合わせる、とにかく楽しいステージにフロアの熱がどんどん上がり、初めて観るお客さんも楽しそうに体を揺らす。

photo by北島凜音

「最高ですね、ありがとうございます!」と興奮気味に始まった後半戦は、ゆったりと温かみのある「Beautiful」で聴かせると、アップテンポな「Funtimes」で再びフロアを熱くさせ、「Symphony Of Hope」、「Last Dance」と続くラストは会場中から拳と掛け声が上がり、最高のクライマックスを生む。初見の人も気持ち良く巻き込むFILTERの求心力もすごかったが、「観るだけより参加した方が楽しい」と積極的に参加したお客さんも素敵で、「これぞライブハウスの面白さ!」と言える素晴らしい時間だった。(フジジュン)

photo by北島凜音