映画の世界観に浸ることができる、こだわりの館内ディスプレイ
1. 新宿武蔵野館
新宿武蔵野館は、102年という歴史を持つ老舗。映画を観た記憶というのは、映画そのものはもちろん、どんな環境で観たのかも一緒に刻まれるもので、武蔵野館は忘れられない記憶になるような“仕掛け”に力を入れている映画館だ。特徴のひとつは、その映画の世界観に浸れるようなディスプレイ。ちょっとしたアート展のようでもあるパネルの中央には、ヒーリング・アクアリウムがあり、水槽の中も映画にあわせて定期的にレイアウトが変わる。アクアリウムを含めて、次に訪れるときはどんなディスプレイを見ることができるのかも楽しみになる映画館だ。上映作品に関するグッズや書籍も充実、さまざまな媒体の紹介記事のスクラップなどもあり、情報発信の場でもある。
2. 新宿シネマカリテ
新宿シネマカリテは、新宿武蔵野館の姉妹館として2012年にオープン。以前は、シネマ・カリテ1・2・3として武蔵野館のビルの3階にあり、1990年代のミニシアターブームを牽引した映画館のひとつだ。現在は、武蔵野館からほど近いNOWAビル地下1階にある。武蔵野館と同様にヒーリング・アクアリウムやディスプレイ、フォトスポットがあり、上映されている映画の世界観に浸れる空間が楽しい。また、2014年にスタートしたオリジナル映画祭「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション®(通称カリコレ®)」は、夏のムービーイベントとして定着している。劇場公開されないままビデオスルーとなった作品など、幅広いジャンルの映画に出会うことができる。
3. シネマート新宿
シネマート新宿は、韓国・台湾・香港・中国などアジア映画のラインナップが充実したミニシアターでありながら、洋画の注目作や邦画まで押さえてくれる、幅広いラインナップが魅力的だ。さまざまな切り口でアジア映画の特集上映が組まれ、最近は、「天使の涙」や「恋する惑星」などで知られる香港の映画監督ウォン・カーウァイが自身の代表作5作を4Kレストアしたプロジェクトに伴い、シネマート新宿でもウォン・カーウァイ特集が組まれた。特集上映にあわせたロビーの館内展示は、スタッフの手作りながらも美術セットのようなこだわりのディスプレイ。また、一番大きなスクリーン1の前方に迫力の重低音を再現するサブウーハーを4台増設するなど、映画を“体験”する臨場感あるサウンドもシネマート新宿の特徴のひとつだ。
選りすぐりの作品を上映する邦画専門ミニシアター
4. テアトル新宿
テアトル新宿は、邦画専門のミニシアター。日本映画の年間公開本数は平均500本前後だが、話題作から若手監督の意欲作まで、シネコンではなかなか上映されない作品をカバーしてくれる豊富なラインナップが魅力的。邦画専門館であることで、監督や俳優による舞台挨拶やトークイベントなど上映前後のイベントの多さもテアトル新宿のカラーと言えるだろう。現代は、映画をストリーミングで観賞する人も多く、映画館だからこその魅力が必要になってくる。そこでテアトル新宿が力を入れているのはサウンド。カスタムメイドのスピーカーシステム「odessa」を導入。映画制作者たちがスタジオで整えた音響を映画館で再現できるこのシステムは、映画館で観る理由にも繋がっている。
ここでしか観られない個性が光る作品たち
5. K’s cinema
K’s Cinemaは、84席・1スクリーンながらも”心地良い時間と空間を”というコンセプトをもとに誕生したミニシアター。邦画、アジア映画、インディペンデント映画、ドキュメンタリー映画、アート映画など、ジャンルも製作国もさまざまなセレクトが特徴的で、ここに来れば、ほかの映画館ではなかなか上映されていない思いがけない映画と出会える映画館だ。「東京ドキュメンタリー映画祭」をはじめ、個性が光る多彩な特集上映も魅力。心地良い時間と空間は、ロビーにも共通するコンセプトで、白を基調とした明るいロビーには、ポスターやチラシがアートギャラリーのように飾られ、感想を語り合えるスペースもある。
イベントスペースを併設する国内唯一のアニメ専門シアター
6. EJアニメシアター新宿
EJアニメシアター新宿は、アニメーション作品を上映する専門劇場。旧・角川シネマ新宿から2018年にEJアニメシアター新宿としてリニューアルオープン。アニメ専門劇場としてだけではなく、アニメの世界観が体験できるイベントスペースを併設している国内唯一の劇場だ。イベントスペースでは、上映作品に関する展示やグッズ販売のほか、コラボカフェなども実施。キャストやスタッフによる舞台挨拶やイベントなども数多く開催しており、作品ごとの世界観を存分に楽しめるアニメファンの聖地として人気を確立している。劇場名のEJとは「Entertainment Japan」の略で、日本のエンターテインメント=アニメーションを発信するランドマーク的存在でありたいとの意味が込められている。
シネコンで大迫力の映像・音響に没入する
7. 新宿ピカデリー
新宿ピカデリーは、10スクリーン、2235席を擁する松竹のフラグシップシネコン。真っ白な壁に短冊状のガラスを組み合わせた外観をはじめ、1階エントランスから3階ロビーまでの吹き抜けがあり、ロビーへ上がるとピュアホワイトをテーマカラーにした美しい空間が広がっている。洋画・邦画の大作・話題作など幅広い上映ラインナップ。また、魅力的なのは、特別な日に利用したいプラチナルームとプラチナシート。プラチナルームは、スクリーン1に設置されたプライベートルーム型のバルコニー席。上映前には、ウェイティングルームでドリンクやスイーツを楽しむことができる。プラチナシートは、スクリーン1のバルコニー中央の特別シートで、ベストポジションで、迫力の映像と音響を体感できる。
8. TOHOシネマズ新宿
TOHOシネマズ新宿は、12スクリーン、2347席を擁するシネコン。東宝のシンボルでもあるゴジラの誕生60周年を記念して造られた実物大のゴジラヘッドのオブジェが目印だ。東宝系の作品が充実しているのはもちろん、ハリウッドの超大作から日本映画、アニメ、韓流まで幅広い作品ラインナップ。最新設備の導入も魅力的だ。12.1chの次世代サウンドシステムに対応した4K レーザー投影システム、アトラクション型4DシアターMediaMation MX4D、TOHOシネマズオリジナル規格の巨大スクリーンTCX(TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN)による迫力の映像、ドルビーアトモスの臨場感ある音響、さらにプレミアムラグジュアリーシート、プレミアムボックスシートなどは、最新設備が揃った映画館だからこその“体験”を提供してくれる。
9. 新宿バルト9
新宿バルト9は、9スクリーンを擁するシネマコンプレックス。2007年に新宿地区初のシネコン施設として誕生し、最新作や話題作の上映はもちろん、演劇、スポーツ、音楽などのライブビューイングも数多く開催している。また、吹き抜けの広いロビーには、パネル展示や作品の世界観に浸れるディスプレイもあり、エンタメ感あふれる空間になっているほか、10階にはカフェスペース(カフェオアゼ)も併設。2022年12月1日には新宿エリア初となるDolby Cinema®︎(ドルビーシネマ)をシアター6に導入。驚くほど色鮮やかでリアルな映像と、縦横無尽に流れるように空間内を移動するサウンドによって、映画の世界に入り込んだかのような臨場感と迫力が体感できる。
2023年4月オープン。かつてない極上の鑑賞体験
10. 109シネマズプレミアム新宿
109シネマズプレミアム新宿は、来年2023年4月14日に東急歌舞伎町タワー内にオープンする新しい映画館。館名に“プレミアム”と付いているように、これまでの映画館の常識を覆す、上質な鑑賞環境とおもてなしを提供する映画館だ。8スクリーン・総席数752席、すべての座席がプレミアムシート。鑑賞前には、まるでホテルのような特別なラウンジで過ごすことができる。さらに全シアターの音響を、世界的音楽家・坂本龍一氏が監修。極限までリアルな音を追求した音響システム「SAION -SR EDITION-」を備えた映画館だ。シアター6 には、正面スクリーンに加え、左右の壁面にも映像が投影される3 面ワイドビューシアター「ScreenX」を採用。新作映画だけでなく、人気アーティストのライブ映像なども楽しめるマルチパーパスシアターが、まもなく誕生する。
文:新谷里映