そんななか、クラウドファンディングや独自の支援プロジェクトを打ち出すことで存続をはかる動きが活発化。通常営業に代わる有料のコンテンツ配信や「1日店長」「営業再開後のドリンクチケット」など、店独自の支援リターンも注目を集めている。今回は、歌舞伎町エリアにあるライブハウス・劇場5店舗の施策と現状をレポート。思い入れのある場所への応援や終息後のお楽しみとして、ぜひ参加してみては?
クラウドファンディングで、お笑い芸人を助けたい! 歌舞伎町のお笑い発信基地「ハイジアV-1」「バティオス」
幅広い層の熱狂的お笑いファンが集う劇場「ハイジアV-1」&「バティオス」。系列店である「スタジオ新宿バッシュ!!」と「スタジオ新宿ブリーカー」を併せた計4館の演者・観客の動員数は年間約12万人にものぼる。若手からベテランまで出演するハコとして知られ、運営会社バイタスの社長みずから専務とともにコンビで活動をしている、純度100%のお笑いホットスポットだ。
5月末までの全館閉館を余儀なくされライブ開催ができないなか、芸人からキャンセル料をもらうわけにはいかないとの想いから現在クラウドファンディングで支援を呼びかけている。
が、状況は逼迫しているという。「4館合計、毎月600万円近い経費が掛かり、どうにもならず大変困っています。今回のクラウドファンディングでは、たくさんの方に応援していただいていることをつくづく感じております(株式会社バイタス・今野社長)」。劇場の存続こそ最大のリターン。1日も早く客席に笑いが戻ってくることを願うばかりだ。
ハイジアV-1
住所:東京都新宿区歌舞伎町2丁目44−1 ハイジアB1
バティオス
住所:東京都新宿区歌舞伎町2丁目45−4
クラウドファンディングはコチラ
クラウドファンディング期間:5月31日(日)まで
『Forever Shinjuku Loft』#stayhome_loft 伝説的ライブハウス「新宿ロフト」は独自プロジェクトを続々発信
来年で45周年、歌舞伎町に移転して20年目を迎える新宿ロフト。名だたるバンドを輩出し、日本のロック史を語るうえで欠くことのできないライブハウスが、いま危機に瀕している。
観客を入れた営業ができない現状を踏まえ、新宿ロフトでは独自の支援プロジェクト「Forever Shinjuku Loft」を始動。企画第一弾では、GW中に所縁のあるアーティストが出演するトーク番組を配信。続く第二弾として、新宿ロフトの象徴でもあるチェッカーフラッグ柄マスクを絶賛販売中だ。
いつの時代もシーンを扇動してきたライブハウスは、この状況下においてもあくまで前傾姿勢だ。「今はイベント業務を行えない状況ですが、そのなかでできることをやっていきたい。今回、プロジェクトを立ち上げたことでたくさんの方から応援コメントをいただきました。ライブハウス新宿ロフトとして止まらず動きまくっていきたいと思っています(新宿ロフト・柳沢店長)」。
最高の遊び場(ライブハウス)を守りたい! 「新宿club SCIENCE」は支援者へ楽しいお酒と時間を還元
2015年にオープンした「新宿club SCIENCE」。ロックからポップス、ビジュアル系からアイドルまでオールジャンルのアーティストが出演するハコとして、これまでほぼ年中無休、昼夜問わずさまざまなイベントを打ち、最高の「遊び場」として音楽と人との出会いをつないできた。今回の営業自粛要請を受け、同ライブハウスでは4月12日よりクラウドファンディングを実施。支援を募ると同時に配信ライブに向けてのより良い環境整備など、営業再開へ向けたアップデートにも力を注いでいる。
今後はクラウドファンディングやSNSでの発信と併せて、新たな試みも実施予定。「このコロナ禍、在宅中心の生活で気分が落ち込んでいる皆様にも楽しく元気が出るような、そして何より支えていただいている皆様に感謝の気持ちを伝えるためのコンテンツを目指して日々試行錯誤しておりますので、今後とも新宿club SCIENCEの発信に注目していただけますと幸いです。そして、ライブハウスに関わらず、歌舞伎町全体に活気が戻ってくる日を心より願っております(森田フロアマネージャー)」
著名人も夜な夜な集まるディープスポット「スタジオ向日葵」 支援リターンとして、1日店長や出張生演奏も!
歌舞伎町に店を構えて16年。「スタジオ向日葵」は、ギター&サックスの生演奏カラオケが楽しめる音楽好きが作った音楽好きのためのスナック。そして文化人や業界の通(つう)らも足しげく通う、歌舞伎町のディープスポットとして数々のメディアで紹介されている店だ。
現在「スタジオ向日葵」では、店舗存続・維持の為の応援プロジェクト・『SAVE THE スタジオ向日葵』を実施中。同施策には、漫画家のゆでたまご氏やモノマネ芸人のホリ氏など、お店と所縁のある著名人が応援コメントを寄せている。
店長&ママの生演奏カラオケは、迫力満点!「大音響のカラオケにギターとサックスが絡むサイコーに気持ちイイ! アメージングなスタイル♪」は一度味わうと病みつきになりそう。
アーティストとお客様の縁をつなぐために 「新宿FATE」は支援者にドリンクチケット他、オリジナルアパレルも
2010年に歌舞伎町のど真ん中にオープンし、2018年、ライブハウス「新宿FATE」に改名リニューアルオープン。アーティストと来場者との縁を繋ぐ場所を目指すべく、ジャンルに縛られずバンドからアイドルまで、なんでもあり!の運営スタイルで音楽好きに支持されてきた。「ライブハウスでライブができない」という前例のない苦境に立たされた今、店舗の維持とこれから生まれるであろうたくさんの縁を繋いでいくため、“SAVE THE SHINJUKU FATE”と題したクラウドファンディングを呼びかけている。
「営業困難な時期に、おおっぴらに助けて!と言いたいのも正直ありますが、我々が果たして何ができるのか?これから何をやっていこう?と、『ライブハウス』という空間の概念自体考えさせられる今、まずは配信機材を取り揃えよう、こうすれば皆様喜んでくれるのでは?と知恵を出し合った末に、このようなクラウドファンディングを実施しています。またここで皆様と楽しいライブ空間を共有できるように、笑って美味しいお酒飲めるように、FATEの未来へ協力をお願い致します!(新宿FATE店長 中田‘picasso’拓也)」
歌舞伎町のライブカルチャーを牽引してきた個性豊かなライブハウスや劇場たちは、街の宝と言っても過言ではないだろう。支援の輪が広がった先には、これまでよりさらに面白い歌舞伎町が待っているはずだ。
▼歌舞伎町飲食店の独自施策の記事はコチラ
『歌舞伎町のグルメを自宅で楽しむ! おすすめテイクアウトメニュー』
text:野中ミサキ