新・歌舞伎町ガイド

エリア

FOLLOW US:

新宿御苑を散歩するならチェックしたい園内スポット|癒しの自然と歴史ロマン、おすすめカフェ・レストラン情報も

新宿2丁目

ガイド 遊ぶ
カフェ 公園 散歩
DATE : 2023.08.04
広々とした芝生、森の小道、四季折々のきれいな花……。新宿駅からほど近い場所にありながら、緑豊かで落ち着いた時間の流れる場所、それが新宿御苑。58.3haもの広大な敷地は、のんびりと散歩するのにぴったり。都会の喧騒からちょっと離れて、リフレッシュすることができるだろう。

古い歴史があり、さまざまな見どころがある新宿御苑。ぶらり散歩をもっと楽しむために、知っておきたいスポット情報を「自然」と「歴史」の2つのテーマでご紹介する。歩き疲れたら立ち寄りたい、園内のカフェ・レストラン情報もぜひチェックを。

400年もの歴史をもつ“都会のオアシス”

新宿御苑のルーツは400年以上前、江戸時代までさかのぼる。徳川家康の家臣・内藤清成の江戸屋敷地がその始まりで、周辺の住所「内藤町」も、これがもとになっている。明治時代には国の農業試験場等を経て、皇室の庭園に。今では国民公園として一般公開され、国内外から多くの人で賑わっている。

春夏秋冬で表情を変える豊かな自然に親しむのはもちろん、園内に残る歴史的建造物を訪ねるのも、おすすめの楽しみ方だ。

駅からのアクセスと入園料

新宿門

入退場口は3つあり、インフォメーションセンターがすぐそばにある「新宿門」へは、新宿御苑前駅(出口:1)・新宿三丁目駅(出口:E5/C1/C5)から徒歩5分、新宿駅南口から徒歩10分。自動車で訪れる場合は、駐車場のある「大木戸門」(新宿御苑前駅出口2から徒歩5分)からの入場がおすすめ。国立競技場駅(出口:A5)・千駄ヶ谷駅からは、「千駄ヶ谷門」が徒歩5分と便利だ。

入園料は一般500円、65歳以上250円・学生(高校生以上)250円 ※証明書要提示、小人(中学生以下)無料。入園券の購入には、現金払いに加えクレジットカード、QRコード決済、交通系ICカードが利用可能だ。一般料金であれば、交通系ICカードで入園ゲートから直接決済ができる。スムーズに入場できておすすめだ。

各門付近にはトイレやコインロッカー、自動販売機やマイボトル給水器なども設置されている。暑い季節はとくに、こまめな水分補給を忘れずに。

大木戸門近くの給水器。マイボトル派にもうれしい

新宿御苑散歩の楽しみ方①:緑に親しむ

新宿御苑は、自然あふれる“都会のオアシス”。また、国内屈指の近代西洋庭園であり、ダイナミックに組み合わされた日本庭園とヨーロッパ式の風景式庭園・整形式庭園が特色だ。巧みにデザインされた園内をそぞろ歩いて、さまざまな景観を楽しもう。

日本庭園

園内を西から南に横切る池に沿ってデザインされた、池泉回遊式の日本庭園。涼やかな水辺に緑が広がる空間は、新宿にいることを忘れてしまいそうな風情にあふれている。梅や桜、藤や萩など、季節ごとに庭園を彩る花や紅葉も楽しみのひとつ。毎年秋には、皇室ゆかりの伝統を受け継ぐ菊花壇展が行われる。

母と子の森

身近な自然を楽しむ“自然観察フィールド”として、1985年に誕生したエリアが「母と子の森」。武蔵野の里山を模した森に囲まれた小道を歩いていると、どこからか小鳥のさえずりが。降り注ぐ木洩れ日が気持ちよく、都会にいながら森林浴を存分に楽しめる貴重なスポットだ。

目を凝らせば、トンボやクワガタなどの昆虫と出合えることも。都心ではなかなかできない発見が、そこかしこにあるだろう。

※新宿御苑内の植物・動物の採集は禁止されています。生き物の暮らしを壊さないよう、そっと見守りましょう。

風景式庭園

広大な緑の芝生と、自然のままにのびのび育った巨木が特徴の「風景式庭園」。のどかな雰囲気で、木陰に腰を下ろしたり、芝生に寝転んだりして過ごすのも気持ちいい。緑の中でゆったりと癒やされたい人にはぴったりの場所だ。

新宿御苑のシンボルツリーである、風景式庭園の中央に立つ高さ30メートルを超える3本のユリノキも必見。

整形式庭園

プラタナスの並木が左右対称に立ち並び、中央の花壇には約100種類・約500株のバラが咲き誇る「整形式庭園」。バラは年2回、5月上旬〜6月下旬頃と10月中旬〜11月中旬頃に見頃を迎える。

色とりどりのバラの花を近くで愛でるのはもちろん、庭園の整然としたデザインを少し離れて眺めるのもおすすめ。緑の眺望の先に高層ビル群が覗く、新宿ならではの風景にも心躍る。11月中旬から11月下旬頃に見頃となるプラタナス並木の黄葉も圧巻。

玉藻池

新宿御苑のルーツである内藤家の江戸屋敷の面影を残す、歴史ある日本庭園。玉藻池は玉川上水の余水を利用して1700年代に作られ、当時のままの曲線を現在もとどめているそう。

池の背景に深い森が広がり、水面には水鳥が遊ぶ、どこか神聖な空気感。時代が移り変わっても変わらない、貴重な美しい景色を楽しもう。

温室

絶滅危惧種の保全・展示も行う温室には、熱帯・亜熱帯植物を中心に約2700種が栽培されている。ユニークな木々やカラフルな花々が生い茂り、なんともエキゾチックなムード。

アップダウンを活かした順路には滝付近に橋がかかり、南国の植物を下から眺めたり、上から見下ろしたりと、立体的に楽しめる。

屋内施設であるため、天候を気にせず植物を観察できるのもポイント。冬はあたたかく、夏は日差しを避けて過ごせるのがうれしい。

新宿御苑散歩の楽しみ方②:歴史を体感

400年もの時代とともにある新宿御苑。その長い歴史を今に伝えるスポットも、園内の随所に見られて興味深い。戦火を逃れた貴重な建物や、施設の変遷を五感で学べるミュージアムを見ていこう。

旧洋館御休所

天皇や皇族の休憩所として1896年(明治29年)に創建された木造の洋館。19世紀後半にアメリカで流行した「スティックスタイル」を基調としており、数度の改装を経て1924年(大正13年)にほぼ現在の規模に。

戦時中の空襲でほとんどの建物を焼失した園内において、現存している当時の貴重な建造物であり、重要文化財に指定されている。新宿御苑がかつて皇室の御料地だった歴史を今に伝える、ロマンあふれるスポットだ。

旧御凉亭

日本庭園・上の池の南端にそびえる「旧御凉亭」は、1927年(昭和2年)に建設。こちらも戦前から残る貴重な建造物であり、皇室ゆかりの建物だ。昭和天皇のご成婚を記念して、当時の台湾在住邦人有志から贈られたもの。そのため、中国南部の建設様式を取り入れ、台湾の木材も使用されているそう。

中に足を踏み入れると、目の前には水辺のパノラマが広がるすがすがしい眺望が。その名の通り、訪れた人に清涼な空気と景色をもたらしてくれる。

新宿御苑ミュージアム

新宿御苑を展示という形で楽しめる、知識欲が刺激される場所がある。2022年にオープンした「新宿御苑ミュージアム」だ。ここは、貴重な写真や臨場感あふれる映像とともに、その歴史と文化を学べるスポット。最新のデジタル技術を使ったさまざまなギミックで、新宿御苑の400年を五感で体験してみよう。

園内に咲く四季の花をアクリル標本にしたコーナーもあり、展示を見ながら、次はどの季節に訪れるか考えるのもいいだろう。

施設内は木材の香りが漂い、天井が高く開放的な佇まい。トイレや待合スペース、授乳室も完備されている。

※新宿御苑ミュージアム内での飲食は禁止されていますのでご注意ください。

カフェやレストラン併設の無料休憩所4選

散歩の合間の休憩タイムも、楽しみのひとつ。広大な園内を歩き回って疲れたら、カフェやレストランを併設した無料休憩所を訪れよう。庭園の景色を眺めながら、おいしい食事やスイーツ、ドリンクでひと休み。

各休憩所では飲食物の持ち込みもOK(※)で、持参したお弁当を楽しむ人の姿も。誰でも気軽に利用できるのがうれしいところだ。

※スターバックス新宿御苑店は無料休憩所ではないため、飲食物の持ち込みや、商品購入なしの利用はできません。

インフォメーションセンター内カフェ(NATIONAL PARKS CAFE Under the Tree)

新宿門そばのインフォメーションセンター内にあるカフェ。アップサイクルをテーマに、規格外野菜を積極的に使ったスパイスカレーや軽食を提供している。

暑い季節には、オリジナルシロップを使ったクラフトレモネードでさっぱりとリフレッシュするのがおすすめだ。

室内には観葉植物が飾られ、自然光が差し込むウッディな印象。休憩所のなかでは唯一園外からも無料で利用でき、フリーWi-fiに接続できるのもポイントだ。

ピリッと効いたスパイスでリフレッシュ。右からクラフトレモネード、クラフトコーラ、クラフトジンジャーエール

レストラン ゆりのき(つぶら乃)

「レストラン ゆりのき(つぶら乃)」には、京都発の上品な和食や和スイーツをラインナップ。休憩所内レストランでは、和モダンな落ち着いた空間で少しぜいたくな食事を楽しめる。

併設の売店には気軽につまめる和洋折衷の軽食も。一つひとつ手焼きしただし巻き玉子を挟んだサンドイッチは、頬張るたびにたっぷりのだしがあふれだして絶品! だし巻き玉子の甘みとマスタードの相性も抜群だ。

和洋折衷の軽食メニュー。右からだし巻き玉子カツドッグ、チーズすき焼きドッグ、だし巻き玉子のサンドイッチ

翔天亭売店(新宿御苑あのん)

あんこをテーマにした京都祇園のカフェ「あのん」が、日本庭園にある翔天亭売店に2023年オープン。あんことマスカルポーネチーズを組み合わせた「あんぽーね」など、和洋の要素をバランスよく取り入れた甘味が魅力だ。

小高い位置から日本庭園を眺めながら、甘いお菓子とお茶でほっとひと息。時の移ろいに身を委ねて、ゆるやかなひとときを過ごしてみては。

お菓子とお茶がセットになった「生菓子お茶セット」。写真は冷たい煎茶とあんぽーね大福の組み合わせ

中央休憩所売店(SASAYAIORI+新宿御苑)

1716年創業の老舗老舗京菓匠「笹屋伊織」が手がける、新感覚の和スイーツカフェ。ガラス張りの建物の目の前には風景式庭園の景観が広がる。ゆとりと開放感のある室内で、リラックスして過ごせるだろう。

こだわりの材料で作られたどら焼きは、見た目にも華やか。食べ応えもばっちりで疲れた体に活力を与えてくれそうだ。四季折々の美しい和菓子もお土産におすすめ。

小倉あん、ホイップ、濃厚な宇治抹茶あんを挟み、さらに宇治抹茶アイスと白玉をあしらった「宇治抹茶スペシャル」は海外からの観光客にも人気

新宿御苑で都会の喧騒から離れて、のんびりと癒されて

大都会のオアシス、新宿御苑。新宿とは思えない静けさのなかをのんびりと散歩してまわれば、日々の疲れも癒されていきそうだ。植物を愛でる、芝生に寝転ぶ、その歴史に想いを馳せる──ぜひ自分のペースで、思い思いに過ごしてほしい。季節ごとに表情を変える園内には、何度訪れても楽しめる魅力がある。広大な園内から、あなたならではの「お気に入りの風景」を見つけてみては。

※注意事項:苑内では酒類持込・喫煙・遊具類の使用(こども広場除く)は禁止されています。

文:徳永留依子
写真:坂本美穂子

こんな記事もおすすめ