今回は、東急歌舞伎町タワーで定期的に「わっしょいLive」を行っているMATSURIにインタビュー。そんな彼らは、メジャーデビューを目標に活動。毎週レギュラーで番組出演しているフジテレビの「ぽかぽか」内で、「2024年8月31日までに2万218票以上の署名を集めれば、メジャーデビューが決定する」というミッションが課せられていた。取材は、その署名活動のさなかである8月中旬に実施。「昭和ポップス」を軸としたライブパフォーマンスの様子やメンバーのパーソナリティなどを深堀りし、魅力をたっぷりお届け。ブレイク必至の彼らに注目だ。
(写真左から順に)渡辺真、橋爪健二、小野寺翼、松岡卓弥、鈴木渉、柳田優樹
MATSURI
渡辺真、橋爪健二、小野寺翼、松岡卓弥、鈴木渉、柳田優樹の6人による昭和歌謡&ポップスグループ。2023年開催の「夢をあきらめるな!オーディション」によって選ばれ結成、2024年1月からは東急歌舞伎町タワーで定期的なライブを実施。2024年9月4日にメジャーデビューが決まっている「SHOW-WA」は同オーディションから誕生した兄弟グループ。
昭和の懐メロでお祭り騒ぎ!わっしょいLiveレポート
東急歌舞伎町タワーの2階にある「新宿カブキhall」で、定期的に行っているMATSURIフリーライブの様子をお届けする。
ライブ当日、会場に着くと、そこは想像以上の熱気に包まれていた。ファンの中でも早い人は、開演の数時間前から待つほどの人気ぶり。「昭和歌謡・ポップス」がコンセプトであるが、ファンは小学生くらいの子どもや夫婦で訪れている人など、老若男女の幅広い世代に支持されているようだ。
その数は次第に増え、吹き抜けの上層階にもぎっしりと。オンタイムの17時にはMATSURI一色といえるボルテージに。
「こんにちは! 今日は楽しんでくれますか?」の第一声からコール&レスポンスの応酬。メンバーは個々のキャリアもあるうえ、すっかり慣れた様子なのはこの地だからという理由もあるだろう。「歌舞伎町タワーは僕たちMATSURIのホームみたいなもの。おうちに帰ってきた気持ちです!」と、リラックスした表情も印象的だ。
そんな和やかなムードの中、カバー曲を中心に「ジュリアに傷心」から幕を開けた。続く「飾りじゃないのよ涙は」もだが、セレクトした昭和ポップスはノリやすく、手拍子や掛け合いなどファンとの一体感を楽しめる曲ばかり。
彼らの魅力はクオリティの高さにもある。もともと歌手を生業としてきたメンバーがほとんどであり、各人のソロパートはもちろん、3声以上で重なり合うコーラスやハミングも心地いい。
「勝手にシンドバッド」では、夏らしいホットな名曲に、盛り上がりは最高潮に。そしてラストはオリジナル曲の「今さらカッコつけてらんねえ」へ。
こちらもイントロから「ヘイ! ヘイ!」と掛け合いが入る、ミドルテンポで横ノリしやすいナンバー。抑揚も豊かで、往年の名曲にも引けを取らない味のある一曲だ。こうして全6曲を歌い上げステージは終了。
会場には、彼らを初めて観るオーディエンスもいたはず。しかし、どの曲も歌詞がキャッチーで覚えやすく、口ずさみやすい曲調のため、自然と足を止めて体を揺らし一緒に歌いたくなる。オーディエンスとメンバーが溶け込んだ、ハートフルな空間が印象的だった。
ライブ後は署名活動。彼らには「2024年8月31日までに2万218票以上の署名を集めれば、メジャーデビューが決定する」というミッションが課せられていた。ライブ当日までに集まった署名の数は、約1万7000票。この日もファンは彼らの元に駆け付け、署名活動をしながら、にこやかな笑顔でコミュニケーションをとっていた。
看護師からの転身も!?謎の多いMATSURIメンバーに迫る
ライブで盛り上がりを見せたMATSURIだが、そもそもどんなグループなのか。ここからはそんな彼らの来歴や素顔に迫った。
MATSURI結成の原点「夢をあきらめるな!オーディション」は、応募資格が25歳以上という、通常とはある種真逆の条件が特徴だった。だからこそ集まった面々も経験者が多く、それがMATSURIの高い技術力とも関係している。まずはオーディションを振り返ってもらった。
「僕は以前活動していたグループが解散となり、どこか達成感というものがなくモヤモヤしていたときにオーディションのことを知りました。当時37歳でしたけど躊躇は一切なく、チャンスをつかみたいと思ったんです」(渡辺さん)
ほかにも、橋爪さんは前グループの“戦友”に背中を押されて前を向いたり、小野寺さんは当時の仕事仲間の再起に励まされたりと、各人がエモーショナルなエピソードをもっている。一方、鈴木さんは歌手への憧れを叶えたいとオーディションにチャレンジした。芸能活動の経験こそないが、元看護師という経歴はむしろ強みになっているという。
「看護師で培った経験は、今でも生きていると感じます。たとえばコミュニケーション。特に観察力や、相手の立場になって考えることですね。あとは自分で言うのもなんですが、奉仕の心は人一倍強いと思います(笑)」(鈴木さん)
実際に小野寺さんは、鈴木さんに助けられたこともあるとか。
「この前、僕がちょっと貧血で倒れちゃったんです。でも渉くんがすぐ助けてくれて。『足上げてこうするといいよ』みたいな。的確な処置ですぐ楽になって、頼りになるなって思いました!」(小野寺さん)
現在、MATSURIの平均年齢は33.5歳。20代のころと今の30代とで活動や心境に違いはあるのか、またこの年齢だからこその表現やコミュニケーションは?
「事務所や制作会社さんなど、お仕事を一緒にする方が同世代というケースが増えました。気持ち的に共感する部分もある一方で、僕は比較的自由に生きてきたので学ぶことが多いですね」(柳田さん)
全員がたびたび口にするのは感謝の言葉だ。今だからこそわかる、陰の尽力やサポートの大切さを身に染みて実感。そして何より、貴重なお金や時間を使って観に来てくれるファンへの感謝は尽きないと繰り返す。そしてこうしたメンタル以外の、フィジカル面でもやはり変化は感じるそうだ。
「20代のころに比べると、体の疲れ方が違います(笑)。前は3日ぐらい寝ていなくても全然平気だったんですけど、さすがに続きませんね。でもその分、セルフケアの大切さを知りました。食生活も、すごく健康志向になりましたよ」(橋爪さん)
みんなが知る懐かしソングで、祭りのように日本を盛り上げたい!
東急歌舞伎町タワーでのライブをはじめ、全国を巡るライブ活動で着実にファンを増やしてきた。メジャーデビューの条件だった署名の原動力になったのも、同会場だといえるだろう。彼らにとって、ここはどんな場所なのだろうか。
「出発地点のひとつであり、成長の場ですね。最初は数えられるぐらいしかお客さんもいませんでした。でもありがたいことに、回数を重ねるごとに増えていって。今日も上の階やステージの裏などからも見守っていただき、すごくうれしいです!」(松岡さん)
聞けば、お気に入りの店もあるとか。ステージと同じフロアの「新宿カブキhall~歌舞伎横丁」では、「九州沖縄食祭」の「焼きラーメン」がオススメ。ドリンクであれば、「KABUKI CAFE」の「アイスミルク珈琲」がお気に入りだそう。
「飲食店以外だと、『109シネマズプレミアム新宿』に行ってみたいです。そして目標にしているのが『Zepp Shinjuku (TOKYO)』。ここで単独公演できたら最高ですね!」(柳田さん)
MATSURIは日本を代表するヒットメーカー、秋元康さんのプロデュースであることも特徴だ。これまで、アドバイスや指導で印象的なエピソードはあるのだろうか?
「僕は、最終審査時にいただいたコメントですね。よく、グループでは1番の人気者とかセンターになりたいとか、そういう気持ちももちろん大切だと。でもそれ以上に、『必要とされる人を目指しなさい』という言葉が響きました。それは、自分がほかのどんなグループにもない存在になることだと解釈しており、もっともっと自分らしさを磨いていきたいと思っています」(小野寺さん)
そんなMATSURIには兄弟グループとして、同じく6人組のSHOW-WAがいる。彼らとはコンセプトも、秋元康さんプロデュースという点も同じだが、先にデビューするのはSHOW-WA。どんな違いがあり、どんな関係なのだろうか。
「僕らのほうが音楽経験のあるメンバーが多いというのは特徴かもしれません。とはいえ彼らも実践経験をどんどん積んで成長しているので、自分たちも負けてられないよね、よりよいパフォーマンスをしたいねって刺激をもらっています。本当に、良きライバルであり仲間ですね」(渡辺さん)
仕事でもプライベートでも交流はあり、先日お台場冒険王にて、2グループの12人で歌うオリジナル曲「汚れちまった涙」を初披露。ともに、懐かしさを感じる昭和歌謡や昭和ポップスで日本を盛り上げたいという志は共通であり、これからも切磋琢磨していきたいと意欲を語る。
いつかは紅白歌合戦に!MATSURIが描く夢物語
先日、メジャーデビューの条件だった「2024年8月31日までに2万218票以上の署名」を見事達成し、念願を果たしたMATSURI。ここまでの道のりは、決して楽ではなかったはずだ。
「メジャーデビューは最初、僕ら6人の夢だったんですけど、署名活動を行うほどにさまざまな人の期待や想いが集まっていることを実感していきました。その点ではただ6人だけの夢ではなく、責任も重大。すごく価値のあるメジャーデビューであるとも思います」(橋爪さん)
「Zepp Shinjuku (TOKYO)」での単独公演という目標も語ったが、いつかはNHK紅白歌合戦にも出演したいと皆が揃って目を輝かせる。今回のメジャーデビューは、そのスタート地点ともいえるだろう。そして立場的にも心機一転、より活動の幅も広がっていくはずだ。ますますその活躍から目が離せない。
文:中山秀明
写真:平安名栄一