新・歌舞伎町ガイド

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歌舞伎町と音楽/アートが繋がった新しい祭りのはじまり『あーとの禱り』

DATE : 2023.02.22

新宿のカルチャーが一直線に繋がった夜

17:00 辻コースケ、Echostics

2日目は生のバンド演奏からスタート。パーカッショニストの辻コースケと、メロディックインプロバンドEchosticsのセッションだ。この日はクロマチックハーモニカとメロディオンの西村大助、ギター坂ノ下典正、ベース加藤秀、ハンドソニック清水博志という編成。

パーカッションと一口に言っても、コンガはキューバ、ジャンベは西アフリカを発祥としているなど、さまざまな文化的ルーツを持っている。それらを組み合わせて叩かれる辻のリズムは、同じく雑多な文化を吸収して発展してきた歌舞伎町との相性がすこぶるいい。

Echosticsのオーガニックな演奏がビルに反響して、自然とリバーブがきいた音像を浮かび上がらせ、緩急自在のグルーヴが心地いい。最後はスチャダラパーと小沢健二の「今夜はブギー・バック」をインストカバー。メロウなハーモニーのなかで暴れまわるパーカッションと、激烈なギターソロで鮮烈な印象を残した。

西村「街自体が生まれ変わってる感じで、その鼓動を感じられて面白かったですね」

坂ノ下「ゴジラに見られながらね」

清水「もう俺の知ってる新宿じゃないなって気もしたけど、変化の早い街だから、いまはその途中なんだろうなと。ビルの音の跳ね返りも、また変わっていくんだろうね」

西村「街って特定の人のためのものじゃないから、混ぜることが大事だと思うんですよ。こういうイベントは、そういう役目があるのかなと思いますね」

辻「こうやって街中で演奏する機会は、10年前くらいはもっとあったんでしょうね。だんだんできなくなってきた。こうやって人が集まるのはもちろん悪いことじゃないから、もっと音楽だったりアートだったりで集まれるようになればいいですよね」

18:00 CONDENSE

続いて登場したのはテックダンスフュージョン集団CONDENSE。ヒップホップを中心としたダンス、ラップ、ビートボックスに加えて、バスケットボールやフープを使ったパフォーマンス、タップダンス、ギターなどが有機的に作用し合う「なんでもあり」なステージを繰り広げた。

「バスケットボールをトリガーの上でドリブルすると音がなる」というシステムを取り入れたり、MPCにゴジラのテーマをサンプリングしたりと、スペシャルな演出もあり、客席を巻き込んで大きくヒートアップ。

Toyotaka「今日は野外だということもあって、みんなで声出したりジャンプするような、お客さんとコミュニケーションをとれるセットリストを用意しました。そうしたらめちゃくちゃ沸いてくれて。コロナ禍で僕らもずっと大変だったんですけど、久々にテンション全開のライブができました。今日はすごく寒いじゃないですか。リハーサルから見てくれているファンの方もいたんで心配だったんですけど、飛び跳ねすぎて暑かったですって言ってもらえて、パワーを発信できたかなって。エモーショナルな感じがうれしかったです。

こういう広場って、ストリートカルチャーが生まれる場所というか、いろんなものが交差する場所じゃないですか。ここからどんどん新しいエンターテインメントが生まれると思うとワクワクしますよね。ここの東急歌舞伎町タワーにはライブホールも劇場もあって、僕らもメンバーがヒプノシスマイクのライブとかで出演させてもらうので、いまから楽しみです」

19:00 城品萌音

昨日に続いての出演となった城品は、CONDENSEで熱くなった広場のエネルギーを「ダンスミュージック」の一点に絞っていくようなプレイを展開。スムースに曲をつなぎ、マイペースに観客を揺らしていく。気づけば続々とダンスミュージックラバーが集結しはじめ、広場の温度がジリジリと上がっていくような、いまにも大爆発するような予感にあふれた時間になった。

19:40 石野卓球

大トリを飾るのは石野卓球。姿を見せるだけで大歓声が沸き起こる。卓球がシネシティ広場でDJをするのは、音楽サーキットイベント「CONNECT歌舞伎町」が初めて開催された2014年以来、約9年ぶり。

途中にゴジラのテーマを差し込んだりしつつ、観客を容赦なく踊らせていく。「かっこいいー」「これ無料でいいの?」という感嘆の声が出たところで流れてきたのはKAGAMIの「Tokyo Disco Night All Night Long」。このタイトルがこの場にいた全員の気持ちを表しているだろう。

続いてはDead or Aliveの「You Spin Me Round(Like a Record)」。この日、卓球は伝説のハードコアバンドG.I.S.M.のTシャツの上にインディーズレーベル「殺害塩化ビニール」のジャケットを羽織っていた。まさに新宿のディスコカルチャー、アンダーグラウンドライブハウスカルチャー、クラブカルチャーが一直線に繋がった瞬間だ。そして、目の前にはゴジラ。日本のサブカルチャーのすべてがここに集まっていると言っても、言い過ぎにはなるまい。

絶頂のまま卓球のDJは終わりを迎え、なかなか帰ろうとしない観客に向かってスタッフが「まだほかにも開いているお店はたくさんあります。夜の歌舞伎町を盛り上げてください!」とアナウンス。あちらこちらから「何か食べに行く?」「飲もう飲もう」、「映画でも観ようか」といった会話が聞こえ、観客たちは笑顔で歌舞伎町に繰り出していった。

イベント情報

日時:2023年1月21日(土)~2月5日(日)12:00~21:00
※1/28、29、2/4、5には音楽ライブイベントを開催
出演者(五十音順):
[1/28]BIGHEAD/picco/YUC’e/しらゆき
[1/29]@raki/kunji/SLUM/Takahiro/TAKU
[2/4]城品萌音/みんなのきもち/CAKRA/yummy/ロケットマン/Drunken Kong
[2/5]辻コースケ+Echostics/CONDENSE/城品萌音/石野卓球
場所:歌舞伎町シネシティ広場(東京都新宿区歌舞伎町1丁目19)
入場:無料

主催:歌舞伎町商店街振興組合
後援:新宿区
共催:株式会社ティーアンドエス、株式会社TSTエンタテイメント
協賛:東急株式会社、株式会社東急レクリエーション
協力:一般社団法人歌舞伎町タウン・マネージメント、集英社XR
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文:張江浩司
写真:落合由夏