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新宿音楽イベント『SHIN-ONSAI 2021』10月3日(日)DAY 2 小林私、GOMA & The Jungle Rhythm Section、KID FRESINO、サニーデイ・サービス

DATE : 2021.10.08

音楽、美術、演劇といった多彩なイベントの主催者が、文化芸術の振興と賑わいを創出するべくイベントを発信する“新宿フィールドミュージアム”の主催による、音楽イベント『SHIN-ONSAI 2021』が、10月2日(土)、3日(日)の2日間に渡って開催された。<新宿の“文化的な混沌と洗練”>をコンセプトに、2018年に立ち上げられたこのイベント。本来は新宿文化センターにて、有観客で行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、有観客での開催を断念。ここでは無観客配信ライブで、2日間に渡って行われた『SHIN-ONSAI 2021』2日目の配信ライブレポートをお届けする。

小林私

スマホをいじる姿から、マイペースにふわっと配信が始まった小林私。1曲目「遊歩する男」を勇ましく歌い始めるも、曲を忘れてサビを飛ばすという豪快なミスでライブがスタート。「ミスとかあるライブ、好きなんですよ」と気にする様子もなく笑う小林は、「次の曲は、スウィングでやったらめっちゃカッコいいんじゃないか?って昨日言ってて。今日はどこにもないヴァージョンでやりたいと思います」と初挑戦のアレンジで「HEALTHY」を披露。また失敗するのでは?と思わせるも、今度はそのカッコ良さと完成度の高さで視聴者を驚かせる。この緊張と緩和、シリアスと脱力の二面性や振り幅こそが小林のライブの魅力であり、彼の真骨頂。

「コメントでも見てみましょうか?」と再びスマホを覗き、「『ライブ中にスマホを触るな』って書いてありますね、誰が決めたんだ!?」なんて軽口叩きながら、「スープが冷めても」で曲に入ると、渋みと色気を併せ持つ歌と演奏でしっかり魅了。「光を投げれば」で熱い一面も見せると、「最後に僕の顔と名前を忘れて帰って下さい」と不敵に笑って始まった「サラダとタコメーター」でしっかり爪痕を残し、トップバッターの役割を果たした。

GOMA & The Jungle Rhythm Section

大地の唸りのようなディジュリドゥの野太い響きで、雰囲気たっぷりに始まったGOMA & The Jungle Rhythm Section。ディジュリドゥと打楽器のみという編成による原始的な演奏と野性味溢れるグルーヴが、耳や脳に直接響き訴えかけてくるサウンドはモニタ前でも胸が騒ぎ、心が躍りだす。「ハイチ」、「表」、「リム」と壮大な楽曲風景を描き、脳内旅行させてくれた前半戦を終えると、「今年は色々あったんですけど、パラリンピックの開会式にも参加させていただきました」とGOMAが挨拶。始まった曲は、開会式で演奏した「Afro Sand 開会式 ver.」。

さらにドラムの軽快なビートがリードした「Drum & Didg」と続き勢いを増すと、ライブは早くも終盤戦。「ディジュリドゥは、オーストラリアで数年前から演奏されている世界最古の管楽器。音の波動は地球が自転している音に近いと言われています」と改めて楽器について説明し、ラストは笛や鐘の音も陽気な「Bul Bop ~Brazil~One Groove」で視聴者を踊らせた。生でグルーヴを感じ、踊れる日が本当に待ち遠しく感じるステージだった。

KID FRESINO(DJ set)

「これが無料で見れるとかヤバすぎる!」とコメント欄が沸いたのは、DJのみのシンプルな編成で全13曲40分をノンストップで駆け抜けたKID FRESINO。最新アルバム『20,Stop it.』の1曲目「Shit,V12」で幕を開けるや、圧倒的スキルを誇るラップとしなやかでたくましいパフォーマンスで視聴者を釘付け。「Coincidence」、「720」、「Cherry pie for ai qing」とハイテンポな曲を畳み掛けた後は「Let it Be」、「Arcades」、「No Sun」でしっかり聴かせ、緩急付けたセットで観る者の心を揺さぶると、「youth」、「Rondo」、「Presence I」と人気楽曲も惜しみなく披露。

日本語も英語も多彩なビートもクールに乗りこなす、圧巻のラップスキルを見せつけながら、時折見せる笑顔も可愛いKID FRESINO。「新宿文化センターからお送りしております『SHIN-ONSAI』!」と挨拶を挟んで始まった終盤戦は、新宿を題材とした「Retarded」から「Easy breezy」を叩きつけ、「日曜の夕方の良い何かになったでしょうか?」と「Love」で視聴者に愛をばら撒いてフィニッシュ。短い持ち時間を最大限に活かし、「KID FRESINO、ここにあり!」を知らしめた、濃密濃厚な時間だった。

サニーデイ・サービス

ドラムカウントから「ここで逢いましょう」で熱くエモーショナルに始まったのは、大トリを務めた、サニーデイ・サービス。「白い恋人」、「さよなら!街の恋人たち」と初期の名曲たちが続いた前半戦。モニタ越しでも伝わる迫力と熱量にドキドキしながら見てると、続く曲は最新アルバム『いいね!』収録の「春の風」。十分なキャリアと貫禄を持って鳴らす過去曲と失うことのない蒼さと新鮮さを持って鳴らす最新曲が、こうして並列に違和感なく並ぶところに、このバンドの凄まじさを感じる。

曽我部恵一(Vo&Gt)の胸に迫る悲痛なシャウトが印象的だった「コンビニのコーヒー」に続く「セツナ」では、曽我部と田中孝が荒ぶる感情をぶつけ合う、異常なほどの熱演で観る者を圧倒し、興奮する視聴者でコメント欄も大盛り上がり。ラストは「サマーソルジャー」で2021年の夏、そして最高だった『SHIN-ONSAI 2021』の終わりを告げた。来年は必ず、生で観戦出来ますように。僕は配信の終わったモニタを眺めてライブの余韻に浸りながら、心からそう祈った。

出演アーティストにコメントいただきました!

小林私

— 「SHIN-ONSAI」のステージを終えての感想を聞かせて下さい。
「5曲目辺りから記憶がありません」

— ご自身のライブの選曲や演出、パフォーマンスなどで、「SHIN-ONSAI」を意識した部分があったら教えて下さい。
「全身に「SHIN-ONSAI」というタトゥーを彫ってます!!!」

— 今回、残念ながら無観客配信ライブになってしまった「SHIN-ONSAI」。来場を楽しみにしていた人、モニタの前で観覧していた人へのメッセージを下さい。
「初めて観てくれた方々、ありがとう」

— 新宿という街にはどんなイメージがありますか?
「都心で僕の最寄りまで一気に行ける数少ない駅」

— 新宿や歌舞伎町の思い出やエピソードを教えて下さい。
「友達のシンガーソングライター・根本。さんと猫カフェに行った。根本。さんは「猫に触って良いか」と確認をとっていた」

— 新宿で好きな場所、好きなお店、思い出のライブハウスなどありましたら教えて下さい。
「珈琲ピース」

— 次回、有観客かつ万全の状況で「SHIN-ONSAI」が開催出来た際、やりたいことや楽しみにしていることを教えて下さい。
「ブーケトス」

Photo:Kumagai Yoshitomo
text:フジジュン