「歌舞伎町の音楽シーンをもっと盛り上げよう!」という熱い思いに共感した、歌舞伎町のライブハウスと歌舞伎町商店街振興組合が手を組み、2014年よりスタートした、歌舞伎町最大規模のサーキットイベント『CONNECT歌舞伎町 2022』が4月29日に開催された。5周年を迎えるはずだった2020年、そして2021年は新型コロナの影響で開催が中止。3年ぶりの開催となった今年は、6店舗7ステージにて、全61組のアーティストが白熱のライブを披露した。「新しい時代を受け入れながらも、みんなで音楽を楽しめる場所を作り直そう!」と、新たな決意と覚悟をもって開催された『CONNECT歌舞伎町 2022』の模様をレポートする。
前編(②和真、チャラン・ポ・ランタン、極東飯店、水曜日のカンパネラ、RED ORCA)はこちらから≫≫
スケボーキング(Guest:kj from Dragon Ash)
解散から10年の歳月を経て、2020年2月に再始動を発表したスケボーキング。RED ORCAの余韻が冷めぬ中、引き続き新宿BLAZEを熱く盛り上げてくれた彼ら。序盤に今年出た『THE NEW ALBUM』収録曲である「ビートとベースとスクラッチ」を披露。90年代から変わらないハイトーン・ボイスのSHIGEO、ロウ・ボイスのSHUNによる2MCのコンビネーションも抜群だ。BEASTIE BOYSよろしくなミクスチャー・サウンドに会場も沸いた。
「CONNECT歌舞伎町には何度も呼んでもらっている」とSHIGEOは感謝の言葉を述べ、後半にはDragon AshのKjがゲストで登場(*ちなみに今日のドラムは同バンドの桜井誠が担当)。
「episode 7」、さらに「episode V」までやってくれ、Kjを含む3MCでド派手なパーティーをブチ上げる。それを受け、観客もお祭り状態で大騒ぎし、雨降りの天候さえも吹っ飛ばす灼熱空間を作り上げてくれた。(荒金良介)
鋭児
新宿LOFTの薄暗いステージでサウンドチェックを終えると、「始めますか」と御厨響一(Vo)が告げ、ゆるりとライブをスタートした鋭児。乾いたビートとベースに歌声が乗ると、バンド演奏が重なってグルーヴと感情が生まれる。エモーショナルかつ激情的な歌声に呼応するように、激しさや切なさを増していくサウンドに思わず息を呑む。グルーヴィーな演奏やエレクトロ・サウンドで観客の体を揺らし、穏やかなバラードで包み込み、悲痛なシャウトで心震わせてと、ミクスチャーのひと言では言い表せない多面性と変幻自在ぶり、何が起きるか分からない自由奔放ぶりで観客を魅了していく彼ら。
観る者の心をガッツリ掴み、ライブが進むほどにフロアを熱狂させていく光景に、鋭児のライブバンドとしての強さと凄みを見たし、生のライブの興奮と面白さを改めて痛感した。鋭児のライブを観るのは初めてだったが、終わる頃にはすっかりファンになっていた僕は、「こういう出会いこそ、ライブハウスの醍醐味だ」と改めて思った。観れて良かった。(フジジュン)
THE CHERRY COKE$
FLOGGING MOLLY主催の「Salty Dog Cruise 2022」に出演し、カリブ海から歌舞伎町に舞い戻って来たTHE CHERRY COKES。ワールドワイドな活動で培った腕力をこの日もフル発揮し、血が滾る男臭いアイリッシュ・パンクを叩きつけてくれた。「歌舞伎町に似合う新曲」とカツヲ(Vo/Banjo)が説明すると、「TOKYO ROMEO MASQUERADE」をプレイ。まさに夜の景色に溶け込む歌メロと胸騒ぎを覚えるビート感にZirco Tokyo の会場はダンスフロアと化していた。
「CONNCET歌舞伎町、初めて出させてもらう。2年前は対バンすらできなかった。でかいサーキット・イベントが出来て嬉しい!」とカツヲは喜びを露わにし、ラストは「MY STORY」、「RISE AGAIN」の2曲で締め括る。後者の「涙もいつか乾くから」の歌詞も胸に響き、哀愁を帯びた旋律をとことんパワフルに聴かせる演奏に感動を覚えた。(荒金良介)
鳴ル銅鑼
『CONNECT歌舞伎町2022』も大詰めに差し掛かった頃、新宿SAMURAIに登場したのは岐阜出身の3人組バンド・鳴ル銅鑼。1曲目「化学舞踊」の軽快で息の合った演奏と、三輪和也(Vo&Gt)のウェットで色気あるボーカルで会場を妖しく染めると、スリリングで痛切な「道連れ」で観る者をバンド世界の奥底へと誘う。観客は少し大人びたジャズの雰囲気も含む、心地よいロックサウンドと、歌謡曲を彷彿とさせるメロディや艶のあるボーカルに酔いしれ、心地よさそうに体を揺らす。スリーピースならではのシンプルかつパワフル、エキサイティングな演奏で魅了すると、MCでは歌舞伎町での不思議な経験を話して笑わせ、観客への感謝の気持ちを告げた三輪。ラストはたっぷり気持ちを込めたバラードソング「Sympathy」で優しく美しくライブを締めくくった。(フジジュン)
ニューロティカ
新宿LOFTのトリを務めたのは、新宿LOFT出演回数300回超えという前人未到の記録を持つ、ニューロティカ! 盛り上がり必死のライブ定番曲「チョイスで会おうぜ!」で勢いよく始まると、「結成38周年! 7月の日比谷野音に向けてのワンマンツアー中ですが、新宿LOFTのためにやってきました!」とあっちゃん(Vo)が恩着せがましく告げ、ハイテンションのまま「太陽族」へ。コール&レスポンスは出来ないけれど、「気持ちいっぱいビンビンビン!!」ではタオル回しで一体感を生み、大御所ライブバンドの威厳とライブの楽しさを見せつけたロティカ。なぜか、あっちゃんの曲順表だけ1曲多く、無い曲をやろうとするというおもしろトラブルもありながら、「永遠ピエロ」、「飾らないままに」と続いた後半戦は硬派でシリアスな面も見せ、ラストは「やっちゃえ!」でパワフルにフィニッシュ。アンコールをロマンチックでちょっぴり切ない「東京花火」で美しく締めくくると、フロアからは拍手の音が鳴り止まなかった。(フジジュン)
石野卓球
本イベント2回目から新宿BLAZEのトリを務め、もはや「CONNECT歌舞伎町」の顔役と言っても過言ではない石野卓球。ステージ真ん中に設置されたDJブースに卓球が現れると、会場に詰めかけた観客から拍手が沸き起こる。今日は終日、生憎の雨模様となったけれど、DJが始まった途端、フロアはその場で踊る人たちが一気に増えていった。日々のマスク生活でストレスは溜まるばかり。そんな気持ちを雲散するためにも、頭を無にして踊れるビートが我々には必要なのだ。
会場は若い人から年配の方まで幅広い客層が集い、手を挙げたり、頭を降ったり、ステップを踏んだりと、思い思いに楽しんでいる様子であった。卓球はそんな光景を時に嬉しそうに見つめながら、ノンストップでDJを行う。最後はニヤッと笑顔を浮かべ、観客に別れの挨拶をすると、会場には万雷の拍手が轟いた。約1時間に及ぶ濃密なDJプレイに、多くの人たちが至福の”非日常感”を味わったに違いない。来年もまた新宿BLAZEにて、トリをやってくれることを切望します!(荒金良介)
text:フジジュン、荒金良介